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  • 2020.2.29
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書評 ドラッカーから学ぶ多角化戦略 御社の閉塞感を打ち破る多角化手引書

事業の本質は「顧客のニーズに応えていくこと」である。しかし市場や顧客ニーズは常に変化しており、現在の主力事業がこれからも続くとは限らない。現状に固執せず、新しい市場や商品を開拓し、事業を多角化していくことで企業の可能性は大きくなる。

多角化を検討する場合には、自社の強みを認識したうえで「共通の技術」、「共通の市場」を活かせる事業へ進出することが望ましい。

多角化は組織づくりのチャンスでもある。社員が積極的にチャレンジできる「よい社風」を作ることが大切である。
要約
企業存続の可能性を広げる「多角化戦略」
「本業」にとらわれるな

「本業」には2つの意味がある。ひとつは「売上と利益が最も多い事業」、もうひとつは「創業時からの事業」だが、経営の場で使われる場合は後者を指すことが多い。しかし市場環境や顧客ニーズが激変する中、「創業時からの事業」に固執して会社を維持、発展することができるのか。よく「新規事業はリスクが高く、既存の事業はリスクが低い」と考える人がいるが、著者はこれに異を唱える。市場や顧客ニーズが変化する中で、「ニーズに応じて変化しないことが最大のリスク」なのである。著者が考える「本業」とは、これからも利益があがり続ける事業のことである。

ドラッカーの多角化戦略
ドラッカーは著書『創造する経営者』の中で次のように述べている。「専門化と多角化に関連がなければ、生産的とはいえない。専門化だけでは個人営業に毛が生えた程度で、一人の人間が死ねば消滅する。しかし専門化せず、卓越性もなしに多角化しているだけでは、マネジメントできなくなる。推奨するのは選択と集中(専門化)を前提とした多角化である」。ドラッカーの指す多角化とは、自社の強み(ノウハウ)と共通の技術か共通の分野への進出であり、これを「選択と集中」と表している。

「強み」とは、「差別化を生み、利益をあげるノウハウ」のことであり、強みを定義することで、「事業展開の核」が決まり「進出可能な事業範囲」も同時に定まる。

多角化戦略のさまざまな方向性

「細分化による多角化(既存市場に既存の技術で多角化する)」、「商品開発による多角化(既存市場に新規の技術で多角化する)」、「市場開拓による多角化(新規市場に既存の技術で多角化する)」、「飛躍による多角化(新規市場に新規の技術で多角化する)」である。

ほかにも、多角化した事業からさらに展開を広げる方向、現在の事業を川上や川下へ展開していく方向など、その可能性は多様に広がっている。

事業に乗り出す前に

4つの多角化戦略
既存市場に既存の商品で多角化する「細分化による多角化」は、現在の事業の中でニーズが強いが充足しきれていない部分を探し出し、強化することである。4つの中でもっともリスクが少なく、成功率の高い手法といえる。

既存市場に新規商品で多角化する「商品開発による多角化」は、現在の商品で満たされていないニーズを探し、そのニーズに応える商品を開発するものである。商品の開発といっても、既存のものを組み合わせて新しい価値を付加できれば十分である。ドラッカーは他社の成功をひと工夫してマネすることを「創造的模倣」と呼んだ。とくに中小企業の場合は全く新しい商品をゼロから開発するのは現実的ではなく、「創造的模倣」を基本にするべきである。

新規市場に新規商品で多角化する「飛躍による多角化」は、全く新しい分野に進出していくものである。現在の事業から考えるものではなく、目的やビジョンから導く方法であり、自社の強みが不足している可能性がある。無理に単独で進出せずに、他社のノウハウで補うためにフランチャイズやM&A、アライアンス等で連携して多角化を図るべきである。

多角化のチャンスを見逃さないために
ニーズを見つけ、多角化の機会を探る

「ギャップ」に注目することで商機を見出すことができる。ドラッカーはコンテナ船の事例でこの商機を取り上げている。貨物船の輸送効率を上げるために、船の大型化、巡航速度の高速化を図ったが、いずれのケースでも大きな成果を上げることはできなかった。ある人が港で荷役待ちをしている多くの貨物船を見て、荷役作業の効率化が必要と気が付いて、列車やトラックで使用するコンテナをそのまま積める新しい貨物船を建造した。この新しい貨物船は荷役時間が大幅に改善されて、コストが60%も削減できたという。努力の方向性の間違いに気付いて、正しい方法でギャップを埋めることが、ビジネスチャンスとなるのである。

多角化戦略における組織と人材
多角化経営の組織づくり

多角化では、各事業は他の事業に貢献するのではなく、直接、会社の業績に貢献しなければならない。事業ごとに独立採算制にして、業績評価をおこなう必要がある。したがって事業部制の導入が不可欠となる。

「人材」の重要性
新規事業、既存事業にかかわらず、経営者や人事担当者は「優秀な人材がほしい」と声をそろえる。しかし、そもそも優秀な人材とはどのような人材だろうか。優秀さにはさまざまなタイプがあり、すべてに対して優秀な人は存在しない。新規事業においてはその性格・状況を理解してそれぞれにふさわしい人材を選択することが重要である。また一人にすべてを任せる必要はない。役割分担をしてコンビを組ませ、状況に応じて柔軟に担当を交代するのも有力な選択肢となる。

「人事」の5適

新規事業に取り組むことは、もっとも合理的な仕組みや組織をつくるチャンスにもなりうる。既存事業では抵抗があることも「新規事業だから」という理由で実現できることもある。特に人事はデリケートな問題であるため、新規事業へのチャレンジという機会をとらえ、本来あるべき人事を戦略的にすすめるべきである。

「優秀な人材」とは状況次第で異なるものだ。状況に適応した人(適材)を、強みが活かせる仕事に(適所)、配置しなければならない。

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