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  • 2020.1.24
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書評 経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

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技術進歩によって単純作業が自動化されていくなかで、士業は顧客との関わり方を「作業者」から「参謀」へと変化させる必要がある。
「自動化されやすい業務」については、効率化と低コスト化を行い、相場が下がっても利益が出せる体制を構築するべきである。

「自動化されやすい業務」の効率化によって生まれた時間を使い、「自動化されにくい業務」を拡充させるべきだ。そして参謀、経営参謀としての付加価値を高め、高単価で顧客を獲得するのである。

顧客が抱えている課題を引き出す上で重要なスキルは、「質問力」と「共感力」だ。

これからの士業に求められること
業種業態を問わずに大きな影響を与える時代の流れとして、「少子高齢化」「グローバル化」「機械化」の3つが挙げられる。相続関連の市場拡大が見込まれる「少子高齢化」と、国際業務の機会が増える「グローバル化」の潮流は、士業にとってビジネスチャンスだ。一方で「機械化」という潮流は、士業にとって脅威となる。

機械が人間の仕事を奪う
「機械が人間の仕事を奪う」という言葉が意味するのは、「技術進歩により業務の生産性が向上して、1人の人間がこなせる仕事量が増え、仕事をこなすのに必要な人間の数が減る」ということである。技術進歩によって従業者が仕事を失うことを「技術的失業」と呼ぶ。

ここでは「技術的失業」をさらに「直接的技術的失業」と「間接的技術的失業」の2つに分けて、士業に与える影響を分析していく。

「直接的技術的失業」とは、自動改札や製造ロボットのように、新たな技術の登場で人間が不要になることを指す。

近年、AI関連分野で急速に進歩しているのが、学習機能によるパターン認識や「RPA」(Robotic Process Automation)による作業プロセスの自動化技術である。これにより影響を受ける代表的な業務が、会計の仕訳入力だ。AIなら過去の会計仕訳の内容を学習し、摘要や金額から内容を推測して自動作成できる。その他にも、パソコン上の単純作業は自動化が進んでいくと思われる。

一方で「間接的技術的失業」とは、技術革新により業務の低価格が進むことで、利益が出なくなり、ビジネスモデルが成り立たなくなることを意味する。

会計事務所であれば、かつては手書きで会計帳簿を作り、電卓を使って計算が合うかを確認し、合わなければその原因を調べて訂正していた。決算書ももちろん手書きだ。しかしいまでは会計システムに入力するだけで、会計帳簿も決算書も自動的に作成できるようになった。

このように技術革新で低コスト化に成功した企業は、売価を下げても利益が出る。そのため売価を下げることでより多くの顧客を獲得し、業界の相場を押し下げていく。

人間にしかできない仕事とは

変化し続けることが求められる時代へ

税務申告書の作成・提出や監督官庁の許認可の取得など、制度として義務づけられている手続きをサービスとしている士業の仕事は、「買わなければならない商品」という性質を持つため、常に一定の需要が存在して、比較的安定していた。

しかし技術進歩によって手続き業務が自動化され、価格競争は激化する一方だ。もはや士業の市場も安定しなくなる。単価が著しく下がることが予想される市場で、士業として生き残っていくためには、顧客との関わり方を「作業者」から「参謀」へと変化させ、付加価値を発揮する事業戦略に舵を切ることが必要になる。

参謀とは「相手が達成したい目的をより深く把握し、そのための手段を幅広い視点から提案し、達成を支援する人」を意味する。まずは士業としての専門分野のコンサルティングを行う「参謀」から始めて、そこから徐々に経営の上流に関与していき、経営コンサルティングを行う「経営参謀」をめざすべきだ。そうすれば報酬単価はさらに高くなる。

経営参謀としての適正

少子高齢化が進む現代において、企業の後継者探しは深刻化している。この先の10年間で多くの社長が引退し、後継者が新社長になる会社が一気に増えるだろう。とくに中小企業では「先代社長の子供だから」という理由で、経営の知識も経験もないまま社長になるケースも多い。つまり今後、経営参謀に対するニーズは一気に高まってくる。

ニーズが高まる経営参謀にぴったりな存在が士業だ。経営者は業務拡大や新規事業立ち上げといった「攻め」の部分は得意でも、法律や会計、税務、労務と言った「守り」の部分には疎いということがままある。この守りの部分こそ、士業の専門分野だ。士業が経営参謀として関わることで、「守り」の部分が補完でき、経営の安定化につながる。

また経営者の多くは、他社の解決事例を知りたがっている。その点で士業は多くの会社の経営課題に触れる機会があるので、その部分で価値を発揮できる。もちろん守秘義務を守ることは前提だ。

経営参謀として顧客を獲得していくうえでも、経営者との接点を持つ機会が多い士業は有利である。さらに士業は、その分野における専門能力が保証されているため、経営者の信用を得やすいのも利点となる。


自動化されやすい業務の事業戦略

第1の基本戦略は、「自動化されやすい業務」の効率化と低コスト化を行い、相場が下がっても利益が出せる体制を急いで築き上げることだ。

士業の業務でも、ITやAIを使った新技術や新システムを導入すれば、大幅に効率化と低コスト化が図られ、低価格でも利益が出せる仕組みができる。AIソフトやクラウドサービスを活用すれば、大幅な効率化も実現可能だ。著者が経営する会計事務所では、会計システムとしてクラウド会計、定例の打ち合わせとしてビデオ通話、基本的な連絡手段としてチャットワークを活用し、徹底して効率化を図っている。


経営参謀になり業務を獲得する

質問力
コンサルティングを行ううえで大切なのは、顧客が抱えている可能性が高い課題について質問し、その課題について話をよく聞き、顧客の話を踏まえた形で提案することである。

共感力

相手にとってそういう存在にならなければ、質問をしても課題の本質を突き止めることはできないのだ。

経営者の悩みについて詳しくなる
経営参謀として業務を獲得するには、「経営の相談をされる存在」にならなければならない。そのためには質問力と共感力に加えて、「それぞれの会社の悩みに詳しいこと」「経営課題の解決につながる情報を幅広く持つこと」が求められる。

経営者が常に抱えている経営課題として、「人と組織」と「売上」が挙げられる。この2つの課題が経営者の頭のなかから完全になくなることはない。そのためこの2つの課題のいずれかに関して、自身の専門分野と絡めて相談に乗れるということは、長期的に経営参謀として関わり続けるうえで、きわめて重要になる。

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