沖縄の不動産

沖縄における民泊投資のメリット・デメリットと旅館業の許可取得手順

民泊事業は、沖縄における不動産投資の中でも特に観光産業に密接に関連した選択肢です。

民泊とは、自宅の一部や空き物件を宿泊施設として提供するビジネス形態を指し、観光客を主なターゲットとしています。

近年、コロナ禍で一時的に観光客が減少し、民泊の稼働率が低下しましたが、その後の観光需要の回復とともに再び注目を集めています。特に国内観光客の増加と訪日外国人旅行者の増加により、民泊需要は拡大しています。

メリット高収益の可能性民泊の収益は賃貸の2~3倍以上になるケースも。
観光需要の恩恵訪日外国人や国内観光客の需要が見込まれる。
成長見込み新たなテーマパーク開業や観光需要の増加が追い風。
デメリット運営の複雑性清掃や予約管理など、通常の不動産運営以上の負担。
法規制と地域対応許可取得や住民の理解が必要。
シーズナリティオフシーズンに収益が落ちるリスク。

そこで、この記事では沖縄県における民泊投資の概要を紹介していきます。なお、沖縄における不動産投資全般については、以下の記事で詳しく解説しています。

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民泊事業に関する沖縄県のポテンシャル

沖縄は日本を代表する観光地であり、国や県も観光振興に力を入れています。その結果、宿泊単価が上昇し、民泊事業への参入も増加しています。特に2025年夏に沖縄県北部で予定されているテーマパーク「ジャングリア」の開業は、新たな観光需要を生む大きな要因となり、さらなる成長が期待されています。

ジャングリアとは?

ジャングリアは東京ドーム約13個分というスケールで計画されているテーマパーク。装甲車に乗り込み恐竜から逃げるサファリライドや、気球に乗って沖縄の自然を360度体感できるアトラクションなどを予定しています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの業績をV字回復させた森岡毅氏が率いるマーケティング集団「株式会社刀」がマーケティングを担当。沖縄北部地域の観光活性化と経済効果が期待されています。

データで見る沖縄県の観光業の魅力

観光庁が公表している「宿泊旅行統計調査」によれば、2023年の都道府県別延べ宿泊者数は以下の通りです。

都道府県延べ宿泊者数(万人)
東京都約5,000
大阪府約4,500
北海道約4,000
沖縄県約3,500

また、沖縄県の公式統計によると、2023年の入域観光客数は約1,000万人であり、前年と比較して増加傾向にあります。 

これらの統計からも、沖縄県は日本国内の観光地の中で上位に位置し、多くの観光客を引きつける重要なデスティネーションであることがわかります。

民泊新法から旅館業の許可にもとづく営業への転換

実際に稼働中のバケーションレンタル物件

沖縄の民泊事業は、旅館業法の簡易宿所の許可を取得したうえで、新築や改装物件を1棟単位で運営する形式が主流です。立地やアクセス、設備、内装デザイン、運営体制などが重要なポイントであり、成功すれば賃貸経営を超える収益を見込むことができます。

例えば、民泊物件の家賃収入は通常の賃貸物件の2倍から3倍に達することがあります。1泊あたりの料金をホテルより安価に設定し、稼働率を高めることで収益を最大化できます。また、大人数での宿泊が可能な1棟物件は、家族旅行などに適しており、特に訪日外国人観光客に人気です。

旅館業における簡易宿所営業の定義と特徴

旅館業法では、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を「旅館業」と定義し、以下の3種類に分類しています。

  1. 旅館・ホテル営業:主に個室を提供する施設。
  2. 簡易宿所営業:宿泊場所を多数人で共用する構造や設備を主とした施設。
  3. 下宿営業:1カ月以上の期間を単位とし、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業。

その中でも、民泊新法による営業から旅館業にシフトする場合、最も多く利用されるのが簡易宿所営業です。

簡易宿所営業の特徴

簡易宿所営業は、本来ドミトリー形式のホステルやゲストハウス、一棟貸しの宿泊施設などが該当するものです。

沖縄の民泊事業においては、簡易宿所営業の許可を取得した上で、1つの客室を多人数で使用する形態ではなく、一棟貸し切りのバケーションレンタルという形態で運営することが一般的です。

簡易宿所の許可取得の要件

簡易宿所営業の許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

構造設備の基準

  • 客室の延床面積が33平方メートル以上であること(宿泊定員が10人未満の場合は、3.3平方メートル×宿泊定員以上)。
  • 適切な換気、採光、照明、防湿、排水設備を備えていること。
  • 宿泊者の需要を満たす規模の入浴設備、洗面設備、トイレを設置していること。

申請者の資格

  • 成年被後見人や被保佐人でないこと。
  • 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ていない者でないこと。
  • 旅館業法違反などによる刑の執行が終わってから3年が経過していない者でないこと。

立地条件

  • 学校や児童福祉施設などの周囲おおむね100メートル以内に設置する場合、これらの施設の清純な環境が害されるおそれがないこと。

旅館業の許可申請の手順

許可申請は、施設の所在地を管轄する保健所で行います。一般的な手順は以下の通りです:


  • 事前相談


    保健所に事前相談を行い、必要な書類や手続きを確認します。

  • 申請書類の提出


    申請書、施設の図面、各種証明書などを提出します。

  • 施設検査


    保健所の職員が施設を検査し、基準を満たしているか確認します。また、別途消防の検査も必要です。

  • 許可の取得


    検査に合格すると、営業許可が下り、営業を開始できます。

旅館業の許可を取得する際の注意点

用途地域の確認:施設の立地が旅館業の営業可能な用途地域であるか確認が必要です。第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域での営業が可能です。 

消防法や建築基準法の遵守:消防設備の設置や建築基準法への適合も求められます。

自治体の条例:各自治体で独自の条例が定められている場合があるため、事前に確認が必要です。

民泊事業における課題とリスク

一方で、民泊事業には課題もあります。観光シーズン中は高い稼働率を維持できますが、閑散期には収益が低下するリスクがあります。

また、運営には清掃や顧客対応といったオペレーションコストがかかり、不動産賃貸経営とは異なる「宿泊サービス業」としての特性を持つため、運営ノウハウが必要です。許可取得や地域住民の理解を得る必要があるほか、オーバーツーリズムによる地元住民の反発も無視できません。法規制を遵守し、地元の協力を得ながら運営することが求められます。

最近では競争も激化しており、民泊のレビューサイト(AirbnbやBooking.comなど)での高評価の獲得が長期的な成功の鍵となっています。運営を外部の代行業者に委託する事例も増えていますが、それに伴うコストや、期待した収益を得られないケースも存在します。

以上のように、沖縄の民泊事業は観光需要の恩恵を受けやすい反面、運営面での工夫や法規制への対応が必要です。沖縄の不動産投資の選択肢としては、市街地でのアパート経営や商業不動産投資、軍用地の購入、そして民泊やリゾート物件への投資が挙げられます。それぞれのリスクやリターンを踏まえ、ご自身の投資目標に合った方法を選ぶことが重要です。

沖縄特有の文化や自然環境を理解しながら、持続可能な投資を目指すことが成功の鍵となるでしょう。

FAQ「沖縄の民泊投資に関連するQ&A」

ここでは記事本文中に記載できなかった、沖縄の民泊投資に関するその他の質問と回答を列挙していきます。

沖縄で民泊物件を探す際のポイントを簡潔にまとめると?

沖縄で民泊物件を選ぶ際は、観光地へのアクセス、周辺環境、法的規制を確認することが重要です。特に那覇市や国際通り周辺は人気エリアとされています。

沖縄で信頼できる民泊代行業者はどこですか?

沖縄で実績のある民泊代行業者として、マイズインバウンドやオキサポが挙げられます。これらの業者は物件紹介から運営代行まで、民泊関連業務を幅広くサポートしています。ただし、リンク先のサービスについては当社では保証できません。ご自身の責任において、サービス提供者と打ち合わせの上ご判断ください。

沖縄で修学旅行生を対象とした民泊運営は可能ですか?

沖縄では修学旅行生を受け入れる民泊も存在します。今帰仁村など一部の自治体が実施していますが、教育機関との連携や安全管理が求められるため、事前の準備が重要です。詳しくは市町村役場にご相談ください。

まとめ「沖縄の民泊投資を成功させるポイント」

沖縄は観光地としての魅力に富んでおり、国内外からの観光需要が堅調です。特に2025年のテーマパーク「ジャングリア」開業は新たな投資機会を生むと期待されています。

そのため、沖縄の民泊事業は通常の賃貸を超える収益性が期待できますが、閑散期のリスクや運営コスト、法規制の存在などのハードルも存在します。

項目内容
メリット
高い収益性1棟物件の民泊では賃貸収入の2~3倍の収益が期待可能。
観光需要の拡大国内旅行者、訪日外国人観光客の増加に伴い需要が堅調。
地域特性沖縄特有の観光資源と国や県の観光振興政策が事業を後押し。
課題とリスク
閑散期の低稼働率観光シーズン外の収益減少リスク。
運営コスト清掃や顧客対応を含む宿泊サービス業としての運営負担。
地域との調和地域住民との摩擦を避けるための配慮と法規制遵守が必要。
投資を成功させるポイント
立地と物件選定アクセスの良い場所に新築・改装物件を用意。
運営の効率化運営代行業者の活用やレビューサイトでの高評価を目指す。
地域理解と法遵守地元住民の理解を得つつ、持続可能な運営を行う。

沖縄の民泊投資は、観光需要を背景に大きな可能性を秘めていますが、投資である以上、慎重な計画と適切な運営が必須となります。

投資目標とリスク許容度を見極め、最適な戦略を選びましょう。

民泊物件の売却相談はトーマ不動産まで

沖縄の民泊物件に関する売却、活用のご相談もトーマ不動産で承ります。トーマ不動産では、AIを使用した正確な価格査定システムを使用しています。まず、現在の資産価値を把握することで、売却すべきか、賃貸などへの転用を行うべきかの判断が可能となります。

しつこい営業などは一切ありませんので、お気軽にご相談ください。

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