沖縄県には多くの在日米軍施設があり、米軍人やその家族を対象とした「外人住宅(米賃)」の需要が存在しています。これらの住宅は、基地外での居住を希望する軍人や軍属向けの賃貸物件です。
全国的に見ても、外人住宅は青森県三沢基地、神奈川県相模原、山口県岩国基地、長崎県佐世保基地といった米軍駐留地周辺で提供されています。その中でも沖縄は、米軍基地の規模が大きく、嘉手納飛行場、普天間基地、キャンプシールズ、キャンプバトラーなど、多数の基地が集中しているため、国内でも有数の不動産市場となっています。
なお、沖縄におけるその他の不動産投資について、以下の記事で詳しく解説しています。
沖縄における外人住宅需要の背景
総務省の統計では在日米軍関係者やその家族の人数は含まれておらず、正確な人数は公表されていないのですが、沖縄県の資料に記載のある2011年時点で米軍人数2万5853人、軍人に軍属(米軍関連の仕事に就いている米国籍の文民)と家族を含めた沖縄の米軍関係者の数は軍属1994人、家族1万9463人、合計4万7300人となり、現在でも約4~5万人程度が沖縄で生活していると推測されています。
米国占領下の時代、基地内住宅の収容能力が不足したため、基地外に米軍関係者向けの家族住宅が建設されました。現在では、宜野湾市、沖縄市、北谷町、北中城村、読谷村、うるま市といった沖縄本島中部が外人住宅市場の中心地となっています。
外人住宅の特徴
外人住宅は、米軍住宅検査官による「軍検(ぐんけん)」と呼ばれる性能検査を通過した物件のみが認定されます。この検査では以下の基準が確認されます:
- アメリカ人の生活様式に適しているか
- 住宅の広さや耐震基準
- 生活の安全性が確保されているか
以前は検査合格日から5年間は次の軍検査が免除されていましたが、現在は退去のたびに再検査が必要になり、また新たに米軍用賃貸住宅の基準としてガイドラインを順守する必要があり、手間と費用が増加しています。
それでも軍人向け賃貸住宅の最低家賃が175,000円へ値上がりしたことから、引き続き不動産投資として人気がありますが、物件の供給数も増加し競争が激しくなってきています。選ばれない物件は空き室期間が長期化しやすくなります。シーサイド物件(海が見える、海に近い)やガレージ付、BBQパーティーができる広い庭があるなど魅力のある物件は安定した稼働が見込めるでしょう。
住宅の規模は軍人の階級によって異なり、将軍クラスでは60坪を超えるものもあります。一方、下司官クラスでは25坪程度の住宅が一般的です。建物の種類も多岐にわたり、新築一戸建てや平屋、借地上の戸建て、連棟型(デュープレックス、4プレックス)やマンションの一室などがあります。
外人住宅の人気エリアと需要
米軍人にとって、広大な国土を持つアメリカと同様、海が見える「シーサイド」は特に人気です。若い独身の軍人は市街地に近い北谷町を好む傾向があり、一方でファミリー層は落ち着いた環境の住宅を選ぶことが多いです。この点は、米軍人と日本人の嗜好が似ている部分かもしれません。
外人住宅投資の基本
外人住宅投資を成功させるためには、以下のポイントが重要です:
- 基地に近い立地であること
- 海が見える、または海に近いこと
- 軍検を通過できる物件であること
- 外人向け賃貸が難しくなった場合、日本人向けマーケットでも活用可能であること
- 空室リスクを軽減するため、一戸建てではなく2戸イチ(デュープレックスなど)も検討すること
投資のポイント
- 立地条件:基地近く、または海が見える物件が人気。
- 多棟型物件:入居リスクを分散するため、ニコイチや複数戸の物件が推奨されます。
- 競合状況の把握:供給過剰や築年数の古さに注意が必要です。
エリアの供給状況を調査し、需要が少ない地域やマーケットが飽和している地域では慎重に進める必要があります。築年数が古くなると競合物件が増え、空室期間が長引く傾向もあるため、投資計画の中で十分に考慮すべきです。
沖縄の米軍人向け住宅リーシングに関連したよくある質問
米軍向け賃貸住宅を端的にまとめると?
ミリタリー ハウジングとは、米軍関係者やその家族が居住するための住宅を指します。これらの住宅は、基地内外に設けられ、米軍の生活様式やニーズに合わせた設備や間取りが特徴です。
沖縄で外人住宅を賃貸する場合、どこに相談すべきですか?
沖縄で外人住宅を賃貸するには、米軍向けの賃貸物件を取り扱う不動産会社に相談するのが一般的です。通常の不動産会社は米軍基地内に入ることができず、米軍内のハウジングオフィスに物件を登録できません。しかしそのための特殊な資格を取得している不動産会社は、米軍のオフィスに賃貸物件を登録し、そこから客付けすることができます。
沖縄で外人住宅の売買を検討しています。どのように進めればよいですか?
賃貸の客付けとは異なり、米軍人向け住宅の売買に関しては、どの不動産会社でも取り扱い可能です。
ただし、できるだけ米軍向け不動産の取り扱いに精通した不動産会社に相談するべきでしょう。米軍向け不動産に強い不動産会社は、沖縄本島中部に多く、軍人・軍属向け住宅投資に関する情報やサポートに精通しています。
まとめ
沖縄での外人住宅投資(ミリタリーハウジング投資)は、安定収入を期待できる一方で、いくつかの注意点が存在します。
米軍人やその家族を対象とした外人住宅は、基地外の居住希望者をターゲットとした投資手法で、特に基地近くや海が見える物件が高い需要があります。一方、軍検を通過した米軍の基準に合致する住宅のみが認定されるため、投資を成功させるためには品質基準を満たすことが不可欠です。
投資成功のポイントは、まず立地選びにあります。
嘉手納や普天間などの基地に近いエリアや、北谷町や読谷村などの人気エリアが特に狙い目です。さらに、物件選定では「デュープレックス」などの多棟型物件が空室リスク軽減につながります。一方で、築年数が古くなると競争が激化し、長期空室のリスクが高まるため、マーケット調査と計画的な投資は必須といえるでしょう。
近年の規制強化により賃借人が入れ替わるたびに軍検の再検査が必要となり、運営の手間とコストも増加しています。そのため、米軍向け賃貸が難しくなった場合でも、日本人向けに活用できる柔軟性を備えた物件選びが重要です。
外人住宅投資投資は高利回りを狙える一方、初心者には注意すべき点が多い市場です。地域の需要や規制を深く理解することで、成功の確率を高めることができます。