この記事では、農地を青空駐車場や資材置場に転用する際の手続きや収益性について解説します。
農地(市街化調整区域内の通称「白地」)は、青空駐車場や資材置き場として自己使用や賃貸物件として活用することが可能です。
そこで、農地法や地域特性を踏まえたポイントを押さえ、安定した賃貸収入を得るための具体的な方法を紹介します。
筆者は宅地建物取引士として20年以上不動産賃貸管理業に携わっており、沖縄県那覇市小禄や豊見城市方面で主に駐車場、資材置き場としての農地転用後の賃貸管理実績があります。
その経験をもとに、本記事では具体的で詳しいノウハウをお伝えしていきます。
この記事はトーマ不動産株式会社の當間が制作しました。
なお、市街地でのコインパーキング経営については、以下の記事で詳しく取り上げています。
農地を駐車場等にする「農地転用許可」

農地を駐車場として使うには、「農地転用」の許可を受ける必要があります。農地は農業生産力を保護するため、法律で用途変更が厳しく制限されているからです。
農地法第4条・第5条に基づき、以下のような場合に農地転用の許可が必要になります。
- 農地を住宅や工場用地にするために区画形質を変更する場合
- 農地をそのまま資材置場や駐車場など耕作以外の用途に利用する場合
また農地は「耕作の用に供されている土地」と定義され、見た目が田畑であれば登記上の地目に関係なく農地として扱われます。
そのため、駐車場や資材置場として使いたい場合は許可を得なければ法律違反になります。
許可手続きは、所有者が自ら転用を行う場合の自己転用(農地法第4条)と、権利移転や設定を伴う場合(農地法第5条)で異なります。
また、市街化区域内では基本的に届出のみで済みますが、市街化調整区域内では必ず許可が必要です。行政手続における「届け出」と「許可」は大きく違いますので、事前にしっかりとポイントを抑えることが大切です。
無断で転用した場合、罰則や原状回復命令を受けるおそれがあります。
このように、農地を駐車場にする際には、法律上の制限をきちんと理解し、正しい手続きを踏むことが重要です。特に農地転用には細かい要件や規定があるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
地域区分による制限に注意が必要
農地を駐車場として転用するには、農地の種類や所在地によって制限の内容や難易度が大きく異なる点に注意が必要です。
その理由は、農地が「農業を守るための土地」として法律で規制されているためです。
特に農業振興地域内の「農振農用地」や市街化調整区域にある農地は転用にあたって非常に厳しい制限が設けられています。制限を正しく理解していないと許可が下りなかったり、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
農地の種類
具体的には、農地は主に以下のように分類されます。
分類名 | 特徴 | 転用の可否 | 備考 |
---|---|---|---|
甲種農地 | 最も保全が優先される農地 | 原則不可(極めて困難) | 農業振興地域内にある、農業基盤整備済みの優良農地などが該当 |
第一種農地 | 良質な農地で営農が継続されている | 原則不可 | 周辺に農地が多く、農業振興の必要性が高いエリア |
第二種農地 | 一部条件を満たす場合に転用が認められることもある | 条件付きで可能性あり | 周囲に農地が少なく、一定の立地条件を満たす必要あり |
第三種農地 | 市街地に近接し、農業以外の利用が見込まれる農地 | 比較的容易に転用可能 | 市街化区域に近く、他用途への利用が現実的な場所 |
農振農用地
農業振興地域整備法により指定された土地で、原則として転用不可。駐車場への利用は特別な事情がない限り認められません。
市街化調整区域内の農地(白地)
市街化区調整域内で農振指定からはずれている、いわゆる「白地」の場合も、農地法に基づく許可が必要です。
青空駐車場・資材置場への転用メリットと注意点

農地を青空駐車場や資材置場へ転用することで、比較的少ない初期投資で土地を収益化することが可能です。
その理由は、建物を建てる必要がなく、整地や転圧といった基本的な作業のみで運営を開始できるためです。とくに農地を転用して駐車場・資材置き場という形で事業化する場合、レンタカー需要の高い地域や資材保管のニーズがあるエリアでは、一括貸しによる安定的な収益も期待できます。
加えて、事業所向けの需要があるエリアであれば、個人向けよりも高い賃料で貸し出すことも可能です。
メリット
- 初期投資が比較的少ない
- 継続的な賃貸収入が期待できる
- 土地の一括貸しが可能
沖縄のように観光や建設需要が高い地域では、農地を転用し、青空駐車場として整備するケースが増えています。初期投資を抑えつつ、土地の放置による雑草や不法投棄のリスクも同時に回避できるという点で、非常に合理的な選択肢といえるでしょう。
一方で注意点もあります。農地法に基づく転用許可を得ずに無断で用途変更すると、法律違反となり罰則や原状回復命令の対象になります。また、転用許可の申請には厳格な審査があり、市街化調整区域などでは不許可となることもあるため、慎重な事前調査が不可欠です。
さらに、運営後は騒音や台風時の被害リスクにも配慮する必要があります。確定申告や契約トラブルへの対策も忘れずに行ってください。
また、土地を借りてくれる企業の業績悪化によっては賃料滞納リスクも発生します。
こういった様々なリスクへの対応は、事業としての安定運用には欠かせないポイントです。
注意点
- 違反転用による罰則
- 転用許可申請時の審査が厳格
- 周辺環境への影響への配慮
- 不動産所得として確定申告が必要
- 賃借人との退去処理でのトラブルに注意
- 家賃保証会社が利用できない場合も
- 企業業績悪化による賃料滞納リスク
✅業務経験が浅い不動産管理会社では、賃借人の企業業績が悪化した時の家賃滞納や賃貸借契約の認識の齟齬や説明不足、賃借人からの各種クレーム、退去精算に対する対応がスムーズに進まないことがあります。慣れている会社に依頼しましょう。
農地転用手続きの流れ

農地を駐車場や資材置場として利用するには、農地法に基づく手続きを適切に行う必要があります。
その理由は、農地には地域や区分に応じて転用制限が設けられており、許可なく転用を行うと法律違反となり、原状回復命令や罰則の対象になるからです。特に市街化調整区域や農業振興地域における農地は制限が厳しく、用途変更には慎重な審査が行われれます。
また、市街化調整区域と市街化区域では手続きの内容が大きく異なるため、以下の比較表で整理してください。
項目 | 市街化調整区域 | 市街化区域 |
---|---|---|
申請方法 | 農地法第4条・第5条 許可申請 | 届出 |
目的 | 農地を農地以外の用途に転用するための許可取得 | 農地を農地以外に転用するための届出 |
適用法条 | 農地法第4条(自己使用)/第5条(権利移転) | 同上(ただし届出扱い) |
手続き内容 | 厳格な審査があり、許可が下りるまでに時間がかかる | 書類不備がなければ受理され完了 |
審査の有無 | あり(転用理由・周辺環境など) | なし(届出内容の形式確認のみ) |
必要書類 | 転用計画書、登記簿、位置図、公図、事業計画書など | 登記簿、位置図、公図など最低限の書類 |
手続き期間 | 数週間~数ヶ月(案件により異なる) | 約1週間程度 |
適用地域 | 市街化調整区域にある農地 | 市街化区域にある農地 |
転用のしやすさ | 条件が厳しく許可されないケースもある | 市街地促進区域のため比較的容易 |
罰則 | 無許可転用で最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金、原状回復命令あり | 届出漏れも罰則対象になる可能性あり |
農地を転用して駐車場等として活用する際には、まず市町村の農業委員会に相談し、農地の区分や転用の可否を確認します。
その後、位置図・土地利用計画図・事業計画書などの必要書類を整えたうえで、都道府県知事(または市町村長)に対して許可申請を行う流れになります。申請の際には、転用の理由や必要面積が適切か、周辺環境への影響がないかといった点が詳細に審査されます。
農地転用の基本ステップ
農業委員会への相談
土地が所在する市町村の農業委員会に相談します。農地の区分(農振農用地、市街化調整区域内の農地など)や転用可能性について確認し、転用の目的や計画内容を説明。必要な手続きや書類について案内を受けます。
必要書類の準備
許可申請に必要な土地利用計画書、位置図、事業計画書、その他必要書類を用意します。
許可申請を提出
必要書類を揃えたら、都道府県知事(または市町村長)に対して正式な許可申請を行います。一般に市町村の農業委員会が窓口となり、申請書を取り次ぎます。
農地転用許可申請において重要なポイント

農地を駐車場に転用するには、許可を得る際に押さえるべき重要なポイントがあります。
その理由は、農地転用の許可は単に「使いたい」というだけでは通らず、転用の理由が妥当であることや面積が適切であること、そして周辺環境への影響がないことなど、厳密な審査基準に基づいて判断されるからです。
基準を満たしていない場合は、不許可になることもあります。
たとえば、「駐車場として使いたい」というだけでは説得力に欠けますが、「近隣の事業所施設における車両台数の増加に対応するため」といった具体的で合理的な理由を示すことで、審査通過の可能性が高まります。
また、必要以上の広さを申請すると、営農地保全の観点から却下される場合もありますので、申請面積は実情に即した適正な範囲にとどめることが重要です。
また前述したように、農地には様々な区分があり、それぞれ転用の難易度が異なります。中でも「農振農用地」は原則として転用不可のため、対象地が該当するかどうかの事前確認は非常に重要です。
加えて、駐車場利用によって周辺の営農条件や交通環境に悪影響が出ると判断されれば、審査で不利になることもあるため、周辺環境への配慮も忘れてはいけないポイントです。
このように、農地を転用して駐車場として活用するには、転用理由・土地規模・立地環境といった点を丁寧に整えることが、許可取得への近道となります。
農地転用の補足事項
農地を駐車場として転用する際には、その土地が立地する区域によって、必要な手続きや規制内容が異なります。
市街化調整区域と市街化区域では、それぞれ適用される法律や手続きが異なり、特に調整区域では都市計画法や農業振興地域整備法など、複数の法律に基づいた厳しい審査を受ける必要があるからです。
一方、市街化区域であれば、原則として届出のみで転用が可能ですが、それでも記載内容に不備や虚偽があった場合は、罰則の対象となることがあります。
具体的な必要書類や申請内容については、農業委員会や各市町村農業委員会のホームページを確認するのが確実です。
また、沖縄における農地転用に関するご相談は、トーマ不動産でも対応可能です。ご不明点があればお気軽にご相談ください。
お問い合わせ|トーマ不動産
後述するように、トーマ不動産では農地活用について豊富な実績があります。
沖縄における農地転用のメリット

沖縄では観光業が盛んなため、農地を駐車場へ転用するニーズが高まっています。
とくに那覇空港に近い豊見城市の瀬長や与根周辺は、高速道路の入口にも近く、観光や業務利用に便利な場所です。
こうしたエリアでは観光客のレンタカー利用が多く、空港周辺の駐車場は慢性的に不足しています。筆者の経験でも、旅行シーズンになると空港内の約2,400台分の駐車場だけでは対応しきれず、民間駐車場も満車になることが少なくありません。
このように、観光地である沖縄では「農地転用をして駐車場を整備する」ことは有効な活用方法といえるでしょう。
アクセスの良い立地であれば、農地を駐車場にすることによって、高い需要に応えることが可能です。
駐車場を運営するなら沖縄特有の自然災害対策も必要
沖縄で農地を駐車場に転用して活用する場合は自然災害への備えも非常に重要です。
沖縄は台風や豪雨の影響を受けやすい地域ですが、特に瀬長・与根エリアは海抜が低く、ハザードマップでも高潮や津波のリスクが指摘されています。こうした立地では、土地整備と排水管理をしっかり行わないと、運営上のトラブルや災害時の被害が発生しかねません。
筆者の実体験としても、排水不良による水たまりの発生や、軽量物の飛散、さらには廃棄物の不法投棄などの問題を処理したことがあります。
そのため、砕石コーラルによる転圧、排水溝や勾配の調整、防風ネットやフェンス設置などの対策を施し、自然環境に対応した整地を行うことが必要です。
さらに、周辺道路が狭い地域では、住民への配慮として交通ルールの周知も欠かせません。
沖縄ならではの自然条件を見据えた対策を講じることで、農地を駐車場へと転用した土地でも、長期にわたって安定的に運営することができます。
沖縄県豊見城市、糸満市での農地活用成功事例

農地転用によって、沖縄県内で駐車場として有効活用できた成功事例は多数あります。
また市街化調整区域に多く存在する遊休農地を、法律に則った手続きを経て整地し、需要の高い事業用駐車場や資材置場として活用することで、不法投棄や雑草繁茂といった管理上の課題も同時に解決できます。
たとえば、豊見城市与根では、300坪の農地を農地転用許可後に整地し、事業所向けの駐車場として運用。雑草が生い茂る遊休地が、利便性の高い用途に変わりました。ほかにも、同市渡橋名(約500坪)や瀬長(約1,000坪)などでも同様のの成功事例があります。
いずれも農地法に基づく手続きを経て整地し、事業用に転用しています。市街化区域にある糸満市西崎町(約150坪)でも整地により駐車場として活用できました。
事例①沖縄県豊見城市与根(約300坪)利用用途:事業所向け駐車場

※市街化調整区域で遊休地活用、不法投棄対策として提案。農地転用許可後、整地作業実施。
事例②豊見城市与根(約300坪)利用用途:事業所向け駐車場


※市街化調整区域で雑草が繁茂しており遊休地活用として提案。農地転用許可後、草木抜開・整地作業実施。
事例③沖縄県豊見城市渡橋名(約500坪)

利用用途:事業所向け駐車
※市街化調整区域で遊休地活用。農地転用許可後、整地作業実施。
事例④沖縄県豊見城市瀬長(約1000坪)

利用用途:事業所向け駐車場
※市街化調整区域で遊休地活用として提案。農地転用許可後、整地作業実施。
事例⑤沖縄県糸満市西崎町(約150坪)

利用用途:事業所向け駐車場
※市街化区域内で遊休地活用として提案、整地作業実施。
他、豊見城市、糸満市、那覇市小禄、浦添市で賃貸実績があります。
沖縄では、観光需要と地理的特性が重なり、農地を転用しての駐車場経営にメリットがあります。
沖縄には毎年1,000万人を超える観光客が訪れ、レンタカーを利用する観光スタイルが主流です。また那覇空港を拠点とする移動の流れは高速道路を経由して各地へ向かいます。
そのため、豊見城市の瀬長や与根といった空港周辺エリアは、車両の置場として非常に需要が高いのです。
加えて、豊見城ICや名嘉地ICに近いこれらの地域は、空港からのアクセスも抜群であり、観光事業者やレンタカー業者にとって理想的な立地です。
さらに那覇市中心部と比べて土地価格が比較的安いため、新規参入にかかる初期コストも抑えられます。市街化調整区域では建物の建設が制限される一方で、青空駐車場や資材置場といった用途に活用しやすいという特性もあります。
このように、沖縄ならではの土地事情と観光構造を踏まえると、農地転用による駐車場経営は、地域ニーズに合致した土地活用の一つといえるでしょう。
まとめ「沖縄での農地転用・駐車場経営はご相談ください」

沖縄県豊見城市の与根・瀬長エリアは、駐車場経営においても可能性を秘めた地域です。
高速道路へのアクセスが良く、レンタカー需要の高まりに伴って駐車場不足が顕在化しているためです。特に観光客の増加により、空港周辺や幹線道路沿いに駐車スペースを求める動きが強まっており、農地を合法的に転用して駐車場として活用することは、地域のニーズにも合致しています。
例えば与根や瀬長では、市街化調整区域に指定されている土地が多くありますが、建物の建設が難しい一方で、青空駐車場として活用可能なケースが多く見られます。
このように、用途制限や法規制を十分理解したうえで計画的に取り組めば、豊見城市与根・瀬長エリアでの土地活用による成果が期待できます。
詳しくは、トーマ不動産までご相談ください。整地の見積りや農転後の収益計算まで、専門的な分析を行いご報告します。
お問い合わせ|トーマ不動産
ファイナンシャルプランナーによる税制のご説明を含め、初回ご相談は無料です。
【付録】よくある質問(FAQ)

最後に、本文に収録できなかった情報をQ&A形式でまとめました。
農地法違反にならないためにはどうすればいい?
農地法違反を防ぐためには、転用手続きを適切に行うことが重要です。まず、各市町村の農業委員会に相談し、対象地の区分や転用可能性について確認を行いましょう。また、専門知識を持つ行政書士や、慣れている不動産会社に相談することで、手続きのスムーズな進行が期待できます。これにより、無許可転用による罰則やトラブルを回避できます。
市街化調整区域でも転用可能?
市街化調整区域内でも農地転用は可能ですが、農用地(農振農用地)は原則として転用が認められません。そのため、事前に土地の区分を調査し、転用可能かどうかを確認する必要があります。市街化調整区域内での転用には厳格な審査があるため、計画内容の具体性と妥当性を示すことが求められます。
農地転用許可はどれくらいかかる?
農地転用許可申請は、各市町村の農業委員会経由で都道府県へ送付され審査許可がおりるまでに一般的に約3か月を要します。不備や補正等があればその分時間を要します。その後、整地作業の実施となることから、準備期間を含めると約6か月程度のスケジュールとなります。
整地作業や申請の初期費用はどれくらいかかる?
初期費用は土地整備の内容や規模によって異なりますが、昨今の資材価格や労務費の高騰により整地作業代が以前よりも上昇しています。一般的には以下のような費用感となります。
- 砕石敷き: 面積、整地内容によりますが、おおよそ150万円~
- アスファルト舗装: さらに高額で、砕石敷きよりも費用がかかります。
- 農地転用許可申請代:行政書士事務所 6万円~10万円前後