持ち家ではなく賃貸という選択肢もあり
これまで、不動産という多くの人が人生で1度もしくは数回取引するかどうかという、高額な商品(土地、建物)を不動産業者として仲介してきて私なりの考え方をまとめてみました。特に、沖縄県内の方に読んでいただきたいです。 ”国土交通省は2日、2012年度版の「国土交通白書」を発表し、賃金上昇率の伸び悩みなどを背景に40歳未満の若い世代で持ち家比率が低下したとの分析結果をまとめた。 国交省は、持ち家の取得や良質な賃貸住宅の供給を支援する必要があると指摘した。 30~39歳の持ち家比率は、1983年は約半数の53・3%だったが、08年には39・0%と4割を割り込んだ。30歳未満でも、17・9%から、7・5%と大きく低下した。 また、89年と09年の可処分所得に占める住宅ローン返済額の割合では、全世代で10・7%から16・9%と上昇したのに対し、30歳代では13・2%から19・8%と家計の約2割を占めた。若い世帯で経済的負担が増加している傾向が鮮明になっており、白書は「若者の持ち家率の減少の一因」と分析した。”(2013年7月2日 読売新聞抜粋) 県外からの人口流入、比較的高い特殊出生率を背景とした沖縄は例外ですが、すでに日本全体で考えると人口減少が始まり、空き家の比率が13%もあり、地価は上がらない状況です。 シェアハウスやカーシェアリングが認知され、広まっているのは「所有」にこだわらず、「共有(シェア)」という概念が受け入れられてきているからと考えていいと思います。 私の母校の福岡県久留米市に1年に1度行きますが、既に賃貸不動産に関して言えば余っています。不動産業者の数も大学時代と比較して3倍くらい増えた印象です。 空き家が増えれば、基本的に不動産業者のビジネスチャンスが増えます。そして、私が通学していたころは若者が多かったと思っていた西鉄久留米駅もだいぶ年寄が増えた印象を感じます。また、市内では製造工場が中国、東アジアへ移転しているため、行政の重要施策は「失業対策」と聞きました。 今の日本の状況に鑑みれば、「持ち家ではなく賃貸という選択肢を取るのはあり」と思うからです。 正直、あなたの会社が30年後も存続してるかどうかは、今の時代わからないと思います。 沖縄では、まず持ち家を取得することを検討し始める年齢が「結婚、子育てし始めた30代~40代」、主に平均年収300万円~350万円、これに夫婦共働き(パートを想定)、合算所得450~500万円位で考えた場合、土地付き(35~50坪)+鉄筋コンクリート住宅で約2700~3000万円前後が予算になりそうです。 30年返済で毎月11~13万円(ボーナス返済考えず)になりそうですが、この状況からすれば、無理をして持ち家を買うのではなく、賃貸という選択肢もリーズナブルと思います。 無理をして持ち家を買うために、数千万円の借金を抱えるのはよくよくご自身の家族のライフプランを考えたうえで判断した方がよいと思います。 任意売却物件や競売物件を取り扱うと、やはり住宅ローンが支払えず、泣く泣く住宅を処分することになりますが、当初想定していた予想外のイベントがあります。「失業、病気、ご両親の介護など」で収入と支出のバランスが崩れ、支払いに窮するケースも見かけます。 自分で余裕を持って支払える範囲内で賃貸を利用する方法もありだと思います。 今の日本では、持ち家よりも賃貸の方がリーズナブルという選択肢もありです。 今後、沖縄でも2030年以降人口減少が始まることが予想され、空き家も徐々に増えるでしょう。 「将来間違いなく地価が上がるから今買っておかないと損だ」という時代であれば、無理をしてでも持ち家を買うほうが良いです。 ただ、80~90年代の日本で地価が上がり続けると思って持ち家を買った人達は未だにそのときの借金を抱えている人が多くいます。 大きな買い物して持ち家を手に入れて、大きな負債を抱えるのは避けたほうが良いと思います。返済比率に余裕を持たせたほうが良いです。 また住む場所を固定してしまうと、動きたいときに自由に動くことが難しくなります。 それでも持ち家が欲しい人は、リーズナブルな家(中古住宅、戸建賃貸併用住宅)を見つける選択肢も良いと思います。 1.人口動態 2.人口の増減(首都圏と沖縄) 3.賃貸住宅(アパート)の空き室率(全国)※少し古いデータですが、2013年現在沖縄は13%前後と言われています。