相談事例1「仲介業者を変えたい」
新築一戸建の購入を検討するために、インターネットの不動産情報をみていたところ、良さそうな物件があったので、早速、不動産会社A に問い合わせて、物件を見に行きました。そこそこ気に入ったのですが、物件を探し始めて間もないのに、やたらと購入を押してくるので、A 社には適当に言って断りました。
その後も、ポータルサイトなどで物件を見ていたところ、良さそうな物件を掲載しているB社に問い合わせて、物件を見学に行きましたが、希望には今一つ合いません。
ただ、B社の営業社員は、質問にも的確に応えてくれて、安心できそうなので、他の物件も紹介してもらうことにして、いくつかの物件を見せてもらったところ、最初に見た物件も案内されました。最終的に比較すると、やはり、最初の物件にしようかと考えています。できれば、B社の世話になりたいのですが果たしてトラブルにはならないでしょうか?
もし、A社に黙って、B社の仲介で売買契約を締結した場合には、後述するようなトラブルになる可能性はあります。
そこで、まず決めなくてはいけないのが、その物件が本当にいいかどうかです。
希望のエリアに同じような物件は無いか、資金計画は問題ないか、間取り、環境、学区など希望する条件を満たしているかなど、もう一度考えてみましょう。つまり、トラブルになる可能性もあることを考慮したうえでも欲しいかどうかを再検討するということです。そのうえで、やはり最初にA社に紹介された物件がいいということであれば、次に対応方法を検討しましょう。
A社に黙って、B社に仲介してもらうという方法も考えられますが、あまりお奨めはできません。黙っていればA社には判らないかもしれませんが、何かのきっかけにA社に知られてしまうかもしれません。
A社と何らの約束も契約もしていないので問題はないはずと考えるかもしれませんが、万一、A社が法的手段に訴える可能性もゼロではありません。その場合は、例え有利な結論が出たとしても、時間と費用だけでなく精神的な負担の大きさは「推して知るべし」です。
気に入った物件を見せてもらった後に、仲介手数料を割り引いてくれる業者がみつかったから、そちらの業者に乗り換えるという場合も、同じことが言えます。大きなリスクをはらんでいることを認識しなくてはなりません。本来であれば、B社に最初の物件を紹介された時に、実は既に、別の業者から紹介されていると知らせればよかったかもしれませんが、遅すぎることはありません。契約の申込みを行う前に、B社に相談しましょう。B社が信頼できる業者であれば、きちんとした対応をしてくれるはずです。
B社の対応方法のひとつは、A社にB社から相談するということです。
そこは、プロ同士の話になりますので、両社で解決策を検討してもらえるはずです。ただ、そこで大切なのは、仲介業者をどちらにしてもらうかの希望は伝えておくことです。A社が信頼できないのであれば、そこは明確にしておく必要があります。
ただ、その場合でも、話が平行線になってまとまらないという可能性がまったくないわけではありません。その時は、改めてそこで、物件をあきらめるか、A社の仲介で契約するか再検討しなくてはなりません。
もし、B社に相談して、最終的に問題が解決出来たという結論が出ても、その理由を確認しておくのを忘れてはいけません。また、B社がA社に相談せずに、「黙っていれば大丈夫」という場合でも、前述のリスクが同じように降りかかってくる可能性が依然としてあることになるので、その場合は、今度はB社に対して、万一、A社から、仲介手数料の支払いを求められた時に、どういった対応をしてもらえるのか確認しておく必要があります。
トラブルを避けるには、不動産会社に希望や現状を伝えることが大切です。「以前に他の業者で物件を見ている」「物件はいいが、担当者が心配なので他の担当に代えて欲しい」など、正直に伝えれば、その場で、営業担当の方から、状況確認や対応をしてもらえるはずです。パートナー選びには自分の現状や気持ちを開示することも大切です。