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航空自衛隊那覇基地の軍用地売却ガイド|2025年最新相場と高値売却の秘訣

航空自衛隊那覇基地の軍用地は、2025年現在、沖縄県の不動産投資市場において非常に高い評価を受けています。

取引倍率は52倍前後の高水準で推移しており、「売却推奨圏内にある」といえるでしょう。とくに相続によって那覇基地の軍用地を取得された方にとって、適正価格での売却を実現するために、今考えておくべき事がたくさんあります。

那覇市の地価は堅調に上昇しています。2025年の地価公示によれば、那覇市の商業地は前年比+6.77%、住宅地は+5.93%の上昇を記録しました。この地価上昇が軍用地の取引倍率を押し上げる、強力な追い風となっています。

なかでも那覇基地の軍用地が「別格」として評価される最大の理由は、那覇空港との物理的一体性にあります。民間空港である那覇空港と滑走路を完全共用しているため、基地機能だけを移転することは事実上不可能であり、返還リスクが極めて低い点が投資家に評価されています。

つまり高い安定性が、他の軍用地を大きく上回る高倍率を生み出しているのです。

本稿では、複雑な軍用地市場の価格形成メカニズムから譲渡所得税の実務、そして手取り額を最大化するための売却戦略まで、実務に直結する情報を網羅的に解説します。

この記事はトーマ不動産株式会社の當間が制作しました。沖縄県内で18年間不動産売買に携わり、軍用地の実務経験も豊富な専門家が、地元ならではの視点で実践的な情報をお届けします。

軍用地とは何か…国家が借主という究極の安定資産

軍用地とは、日米地位協定や自衛隊法などに基づき、国(防衛省)が民間の土地所有者から借り上げ、米軍基地または自衛隊施設として使用している土地を指します。沖縄県では歴史的経緯から多くの民有地が基地内に存在し、駐留軍用地特措法などの法制度下で管理されています。

軍用地最大の特徴は、借地人が「日本国政府」である点です。

民間同士の賃貸借で生じうる賃料滞納や契約解除のリスクは、国家が破綻しない限り存在しません。この究極の信用力が軍用地に、不動産というより国債に近い金融商品的な性格を与えています。

また、毎年支払われる土地賃借料(軍用地料)は固定額ではありません。

軍用地料は国の算定・予算措置の枠組みのもとで決まります。また沖縄県軍用地主会連合会(土地連)が適正な予算確保・評価の見直し等を国に要請し、軍用地料改定の後押しをしています。

その結果、保有しているだけで収益が増加していく複利効果が生まれ、それが投資家にとっての魅力となっています。

米軍基地と自衛隊施設の決定的な違い

軍用地市場では、米軍基地由来と自衛隊施設由来で評価(倍率)に明確な格差が存在します。この違いを理解することが、売却価格を正しく判断する第一歩です。

米軍基地(キャンプ・キンザー、普天間飛行場など)には常に「返還リスク」がつきまといます。返還が決まれば借地料収入は途絶えます。跡地利用計画への期待で価格が維持されるケースもありますが、開発までの空白期間や土壌汚染対策などの不確定要素が投資家心理を圧迫し、価格変動幅(ボラティリティ)が高い傾向にあります。

一方、自衛隊施設(那覇基地、那覇駐屯地など)は日本の国防基盤であり、恒久的施設としての性格が極めて強い資産です。特に南西諸島の防衛力強化が国策として進められる昨今、基地機能が縮小・撤退するシナリオは考えにくく、「永続的なキャッシュフロー」が約束された資産だと投資家に認識されています。この安心感が、米軍基地を大きく上回る高倍率を生み出しています。

具体的には、2025年12月時点で、空自那覇基地の取引倍率は52倍前後で推移しているのに対し、返還が予定されている米軍の那覇港湾施設(那覇軍港)では倍率が43〜40倍程度にとどまっています。同じ那覇市内の軍用地であっても、返還リスクの有無により倍率に10ポイント以上の格差が存在しているわけです。

なお、米軍基地を含む「軍用地」全般については、以下の記事で解説しています。

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那覇基地が最高評価を受ける5つの理由

この章では、自衛隊基地の中でも那覇基地が別格の評価を受ける理由をリストアップしていきます。

1. 那覇空港との物理的不可分性

空自那覇基地の滑走路は、民間機が離発着する那覇空港の滑走路と完全に共用されています。那覇空港は年間2千万人以上の旅客が利用する日本屈指のハブ空港であり、アジア主要都市への貨物ハブとしての機能も拡大中です。

民間空港の機能を維持したまま自衛隊機だけを他へ移転させることは、管制システムの統合性や新規用地確保の困難さから、物理的にもコスト的にも不可能です。つまり、那覇空港が存在し続ける限り、空自那覇基地もまたそこに存在し続けるという「運命共同体」の関係にあります。この制約条件が返還リスクを理論上ゼロに近づけています。

2. 国防最前線としての戦略的価値

尖閣諸島を含む南西諸島空域の警戒監視活動において、空自那覇基地は唯一無二の拠点です。スクランブル発進の回数は高水準で推移し、第9航空団の新編(2016年)など、基地機能は縮小どころか強化の傾向にあります。

「国が必要としている土地」であることは、借地契約の安定性を何よりも確実化し、将来にわたる資産価値の維持を担保しています。

3. 那覇市中心部という立地の希少性

多くの軍用地が市街地から離れた場所に位置するのに対し、空自那覇基地は沖縄県の県都・那覇市の中心部付近に位置します。那覇市は慢性的な土地不足の状態にあり、2025年の地価公示では商業地の平均が47万5315円/㎡(坪単価157万1291円)と前年比+6.77%の上昇を記録しました。

周辺地価が高いということは、固定資産税評価額の算定基礎となる路線価も高く、後述する「担保価値」の観点からも、都市部にある軍用地は地方の演習場などと比較して圧倒的に有利です。

データ出典:国土交通省「令和7年地価公示」

4. 金融機関が認める担保価値

沖縄県内の地方銀行(琉球銀行、沖縄銀行など)は、軍用地を担保にした融資商品「軍用地ローン」を積極的に取り扱っています。この審査において、空自那覇基地は担保掛目(評価額に対する融資可能額の割合)が最も高い「特Aランク」に格付けされることが一般的です。

銀行が低金利・好条件での融資を引き出しやすい物件は、現金を持たない投資家層も購入に参加できるため、市場の流動性が高まり、結果として売却価格が高止まりする要因となっています。

5. 心理的負担が少ない

一部の投資家や地主の中には、「米軍基地由来の収益」に対して心理的な抵抗感を持つ層が存在します。しかし、自衛隊施設である那覇基地は、災害派遣や急患輸送など、国民の生命財産を守る活動の拠点でもあります。

「自国の平和を守るための土地」という大義名分は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点からも正当化しやすく、保有することへの心理的ストレスが低い点も、投資家に選ばれる理由の一つです。

軍用地の価格算出方法と2025年最新相場

ここでは、軍用地の倍率から価格を算定する方法を解説します。すでにご存じの人は読み飛ばしてください。

基本計算式:年間借地料×倍率

軍用地の売却価格は、通常の不動産鑑定とは異なる独自の式で算出します。計算式は極めてシンプルです。

売却価格 = 年間借地料 × 倍率

年間借地料は防衛省から地主に支払われる年間の賃料、倍率は市場の需給バランスによって決まる係数で、投資家が「利回り何%なら買いたいか」を逆算した数値とも言えます。

具体例で見てみましょう。年間借地料が200万円の土地で倍率が40倍なら8,000万円、50倍なら1億円、60倍なら1億2,000万円となります。倍率が10倍違うだけで売却価格には数千万円の差が生じるのです。したがって、売主にとっては「1倍でも高く評価してくれる買主を見つけること」に尽きます。

2025年の倍率トレンド:52倍前後の取引圏

2025年12月時点の取引事例を分析すると、空自那覇基地の取引倍率は55倍〜50倍という水準で推移しています。具体的には、那覇市宮城の物件(土地面積386㎡、年間地料244,613円)が倍率56倍で価格1,380万円で売り出されています。ただし、弊社の取扱物件による実際の成約ベースでは52倍前後が多く見られます

比較対象として、返還が予定されている米軍の那覇港湾施設(那覇軍港)では、倍率が43〜40倍程度にとどまっています。同じ那覇市内の軍用地であっても、返還リスクの有無により倍率に10ポイント以上の格差が存在することは、「安定性」がいかに重視されているかの証左です。

倍率を左右する細かな要因

「相場は52倍」といっても、すべての土地が一律52倍で売れるわけではありません。以下のような要因が倍率に影響を与えます。

借地料単価(㎡あたりの単価)が高いほど土地の効率性が良く、高評価につながる傾向があります。逆に、複雑な形状で分筆(切り売り)が難しい土地は、大口の買い手しかつかず、倍率が若干下がることがあります。

相続税対策として購入する富裕層にとっては、時価(売買価格)と相続税評価額の乖離が大きい土地ほど「節税効果」が高いため、プレミアム価格(高倍率)で取引されます。また、共有者が多数いる場合などは権利調整のリスク分として、また現況地目が墓地の場合などは倍率が割り引かれる可能性があります。

売却時の税金と手取り額最大化の実務知識

不動産売却において、「いくらで売れたか」と同じくらい重要なのが「税金を引いていくら残るか」です。個人が土地を売却して得た利益(譲渡所得)には、所得税と住民税がかかり、税率は売却した年の1月1日時点での所有期間が「5年を超えるかどうか」で大幅に変化します。

所有期間が5年以下の短期譲渡所得では合計税率39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、5年超の長期譲渡所得では合計税率20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となります(復興特別所得税を含む)。短期なら利益の約4割が税金で消え、長期なら約2割で済むのです。

具体例を見てみましょう。売却益が2,000万円出た場合、短期譲渡なら約800万円、長期譲渡なら約400万円が税額となり、その差は400万円にもなります。この差はかなり大きいといえます。

データ出典:三井のリハウス「譲渡所得の計算方法|2025年度税金の手引き」

相続オーナーのための特例「取得日の引継ぎ」

相続によって取得した軍用地を売却する場合、所有期間の判定は「相続人が相続した日」からではなく、「被相続人(亡くなった親御さん等)がその土地を取得した日」から計算されます。

つまり、親御さんが数十年前に購入した土地であれば、あなたが相続してすぐに(例えば相続から1か月後に)売却したとしても、所有期間は数十年とみなされ、税率の低い「長期譲渡所得(約20%)」が適用されます。

「相続したばかりだから、まだ5年経っていない」と勘違いして売却を躊躇する必要はありません。むしろ、相続手続き完了直後は権利関係が整理されており、売却活動をスムーズに開始できる好機と言えます。

譲渡所得の計算と取得費の重要性

課税対象となる譲渡所得は、次の式で計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用)

譲渡価額は売却代金、取得費は親御さんが当時その土地を買った時の代金、譲渡費用は売却時の仲介手数料や印紙代などです。

注意したいのは、先祖代々の土地などで購入時の契約書がなく「いくらで買ったかわからない」ケース。この場合、売却代金の5%相当額を取得費とみなす「概算取得費制度」を使いますが、売却代金の95%が利益とみなされるため税額が高くなりがちです。

古い売買契約書や購入時の通帳の記録、当時の価格が推測できる資料などを可能な限り探索することが、節税への近道となります。専門の不動産会社や税理士は、こうした資料探しのサポートや合理的な取得費算定のアドバイスも行います。

失敗しない売却の流れ「査定から引渡しまで」

軍用地の売買は、一般的な宅地建物取引とは異なる商慣習や手続きにのっとって進めます。ここでは、トラブルなく、かつ高値で売却するための標準的なフローを解説しましょう。

1. 資料確認と現状把握

まず最初に、以下の書類を準備します。

  • 土地賃借料算定調書(毎年防衛省から送られてくる、借地料の詳細が記載された書類)
  • 固定資産税納税通知書
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報

これらの書類から、年間借地料、土地面積、現在の所有者などを確認します。

2. 専門業者による価格査定

軍用地に精通した不動産会社に価格査定を依頼します。ここで重要なのは、「倍率」の根拠を聞くことです。

「相場だから50倍です」という業者よりも、「直近の空自那覇基地の事例では52倍が出ており、お持ちの土地は借地単価が高いため、さらに強気の価格でチャレンジ可能です」といった具体的な戦略を提示できる業者が信頼できます。

3. 媒介契約の締結と販売活動

査定後、不動産会社と媒介契約を結びます。軍用地の場合、レインズ(不動産流通標準情報システム)への掲載だけでなく、業者が抱える「購入希望者リスト(会員)」への直接アプローチが最も効果的です。

優良な軍用地は、一般公開される前に待機している投資家に水面下で紹介され、即日完売することも珍しくありません。したがって、「顧客リストをどれだけ持っているか」が、業者の実力差となります。

4. 売買契約の締結

買主が見つかったら売買契約を締結し、手付金の授受(通常、価格の5〜10%)が行われます。この際、次回の借地料の受取権利をどちらに帰属させるか、日割り計算をどうするかといった「軍用地特有の精算条項」を契約書に盛り込む必要があります。

5. 決済と所有権移転

残代金の決済と同時に司法書士が所有権移転登記を申請します。買主は、沖縄県軍用地主会連合会(土地連)に対し会員資格の承継や名義変更の届出を行います。地主会の手続きは、慣れている業者であれば代行・サポートしてくれます。

県外に住む相続オーナーへの3つの戦略提言

ここでは特に、県外在住のオーナーに向けた売却戦略を提案します。

1. 管理不全と共有リスクの解消

県外に住んでいると、地主会への出席や毎年の書類確認、更新手続きなどはかなりの負担になります。また、いずれ相続することになった場合、お子様が複数いると土地が共有名義となり、権利関係が複雑化する「共有リスク」があります。

共有状態になると売却には全員の同意が必要となり、意見が割れて塩漬けになるケースが多発しています。権利関係がシンプルな単独名義のうちに、流動性の高い現金や分割しやすい金融資産に組み替えておくことは、次世代の「争族(そうぞく)」を防ぐ賢明な資産防衛策といえます。

2. 高値圏での利益確定

前述の通り、現在の52倍前後という倍率は、売却推奨圏内にあります。那覇市の地価公示の上昇は追い風ですが、金利上昇リスクという向かい風も吹き始めています。

投資の世界には「頭と尻尾はくれてやれ」という格言があります。最高値を狙いすぎてタイミングを逃し、相場下落に巻き込まれるよりは、誰もが欲しがる現在の水準で確実に利益を確定(利食い)させることは、資産運用の鉄則といえるでしょう。

3. 資産の見える化だけでも実施する価値

すぐに売るつもりはなくても、「今売ったらいくらになるのか」を正確に把握しておくことは重要です。

「那覇基地を持っている」という漠然とした認識ではなく、「時価1,400万円、利回り1.8%、担保余力1,200万円の金融資産を持っている」という具体的な数値として認識することで、ご自身の老後資金計画や相続対策の解像度が飛躍的に上がります。

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那覇基地の軍用地売却なら専門性と実績で選ぶ

軍用地、ことに航空自衛隊那覇基地は、非常に価値の高い、しかし取り扱いの難しい資産です。売却をどの会社に依頼するかで、数百万円単位の結果が変わる特殊な市場といえるでしょう。

トーマ不動産株式会社は、沖縄県内の軍用地取引において豊富な実績と独自のノウハウを持つ専門家です。最新の地価公示データや銀行の融資姿勢、そして水面下の投資家動向をリアルタイムで分析し、あなたの土地が持つポテンシャルを最大限に評価します。

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参考文献

トーマ不動産株式会社「令和7年地価調査で沖縄県内の地価は6.1%上昇」https://lequio-wing.co.jp/media/land-price-survey-in-okinawa/

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