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市街化調整区域かどうかの調べ方と、建築可能か調査する方法【宅建士解説】

目的の不動産が市街化調整区域内に立地するかどうかを事前調査する場合、ネットですぐに判定することができます。

上記のサイトは公益財団法人都市計画協会が作成しているため、安心して利用することができます。詳しい使い方は、この記事の前半で解説しました。

加えて、実際に不動産を売買するにあたり、厳密に調査する方法も解説しています。

また、不動産が市街化調整区域内に立地する場合、どのように活用できるのか調査する方法についても解説しました。

市街化調整区域内の不動産については様々な角度から活用方法を検討する必要があるため、そのヒントとなる情報も掲載しています。

市街化調整区域内の不動産を「売却する方法」については、以下の記事で解説しています。

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この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が作成しました。

不動産が市街化調整区域内に立地するか調べる方法

不動産が市街化調整区域内に立地しているかどうかを調べる場合は、2つのポイントを押さえておく必要があります。

①事前調査の段階では、公益財団法人都市計画協会が作成した「全国都市計画GISビューア」を使用し、自宅のPCで調べることができます。

②ただし、上記サイトで使用している国土交通省のデータは信頼性が高いものの、必ずしも最新情報にアップデートされているとは限りません。

そこで実際に不動産を売買をするなど絶対にミスできない状況では、都市計画を策定している市町村または都道府県の役所で調査をする必要があります。

事前調査はネットで十分!「全国都市計画GISビューア」の使い方

通常は、自宅のPCで調査すれば物件が市街化調整区域内にあるかどうかを調べることができます。

上記のサイトを利用して、地図上で確認してみてください。

まず、上記リンクをクリックすると、注意事項が表示されるので「同意して利用する」をクリックしてください。

すると日本地図が表示されるので、調べたいエリアをクローズアップします。ここでは、千葉県の房総半島(木更津市)を表示しました。

続いて、左メニューの「区域区分」をオンにして、市街化区域と市街化調整区域の両方にチェックを入れてください。すると次のように表示されます。

区域区分が表示されている状態

この地図上で、各区域が以下のように色分けされています。

黄色 市街化区域
グレー 市街化調整区域

また、この地図は拡大して見ることができるので、下の図のように、住宅1軒1軒について確認することができます。

ここまで拡大すれば、個別の敷地についてしっかり判断することができます。

また、この「全国都市計画GISビューア」は、用途地域や地区計画、土地区画整理事業など、都市計画に関する情報を幅広く網羅しています。

売買契約にあたっては市町村役場で確実に調査する必要あり

「全国都市計画GISビューア」は情報を網羅しており便利なサイトですが、実際に不動産を売買する場合は、都市計画を策定している市町村などの役場で確認する必要があります。

都市計画は変更される場合がありますし、区域区分も見直されることがあるため、最新情報を持っている役所で調査すべきだからです。

不動産業者が仲介依頼を受けた場合、ネット調査ですませることはなく、必ず市町村役場で最新情報を確認します。

市町村役場の担当窓口は、都市計画の担当部署です。名称は「都市計画課」「まちづくり課」など色々ですが、役所受付等で「用途地域について調べたい」と尋ねると、どの部署に行けばいいか教えてくれます。

担当部署では都市計画地図を示して、当該不動産が市街化区域内にあるか、市街化調整区域内にあるかを教えてくれます。この都市計画地図は500円~1000円くらいで販売もしています。

市街化調整区域に該当する場合は「何が建てられるか」を調べる

住宅建築が可能であれば理想的

不動産実務では、目的不動産が市街化調整区域内に立地する場合、まず住宅の建築が可能かどうかを調査します。

住宅が建築できるかどうかで、不動産の価格が大きく違ってくるからです。住宅建築が可能であれば、宅地価格での売買が可能となるケースもあります。

自己用住宅が建築可能なエリアかどうかを調べる

都道府県により大きく異なりますが、都市計画法施行以前から集落があったエリアについて、自己用住宅の立地を緩和している場合があります。

代表的な例は沖縄県の「自己用住宅の立地緩和区域」で、この制度が指定する大規模既存宅地内であれば、一定の条件をクリアした人は誰でも住宅を建築することができます。

その他にも、長年市街化調整区域に居住してきた人の中で持ち家がない人などについて、自己用の住宅建築を認める制度などもあります。

まずはこういった制度の有無を、市町村役場で確認してください。

線引き前宅地等に該当しないかを調べる

上記の制度は一定規模の集落についての緩和措置ですが、1つ1つの土地について条件を緩和する制度もあります。

市町村や都道府県によって詳細は異なりますが、以下の2つの制度に該当しないかを確認しておくといいでしょう。

線引き前宅地 都市計画法施行以前から宅地だった土地
既存宅地制度 既に廃止されているが利用可能な場合もある

線引きとは、都市計画法が施行されて市街化区域か市街化調整区域かに線引きされることを指します。線引き時点ですでに宅地だった場合、自己用住宅の建築が認められるのが線引き前宅地の制度です。

ただし、詳細は都道府県や市町村の条例によって規定されており、大幅に異なっているのが実情です。

詳しくは、市町村等の都市計画担当部署に確認する必要があります。

また、既存宅地制度は2000年代前半に廃止されていますが、都道府県によっては条例で類似の制度が残っているケースがあります。

たとえば沖縄県では、線引き前の地目が宅地以外であっても、宅地課税されていれば既存宅地として認める制度があります。

こういった点を丹念に調査し、住宅建築が可能かどうかを調べる必要があります。

住宅が建築できない場合の土地活用戦略

ここまでに紹介した項目を調査しても住宅建築ができない場合、その土地をどのように生かすかを考える必要があります。

その際「都市計画は変更される可能性もある」という点を押さえておいてください。現状は市街化調整区域内で会っても、もしかしたら市街化区域に編入される可能性もあります。

そこで、市町村が出している「都市計画マスタープラン」を参照しておくことをおすすめします。

マスタープランには、その自治体の都市計画を整備する基本的な考えが書かれています。「このエリアには自然を残し公園を作ろう」「このエリアには幹線道路を整備しよう」といった基本計画がわかるので、手持ち不動産が将来どういうエリアに立地するかを確認できます。

こういった資料を参照し、将来値上がりする可能性を見越して長期保有するというのも、土地活用戦略のひとつといえるでしょう。

そもそも市街化調整区域とは何か

市街化調整区域とは、都市計画法に基づいて、都市の無秩序な拡大を防ぎ、農地や自然環境を保護するために、原則として建物の建築や開発を抑制するために指定された区域です。この区域では、建築や土地利用に厳しい制限が課されており、原則として住宅建築などは認められません。

なぜ市街化調整区域をもうけるのかというと、以下のような理由があります。

  1. 農地や森林などの自然環境を守り、過度な都市化を抑制する
  2. 市街化区域にインフラコストを集約することで公共投資をおさえる

また、上記の区域区分は、都市計画法に基づいて行われます。

市街化調整区域内の場合の許可申請手順

法令に定められた要件をクリアする必要がありますが、市街化調整区域内であっても、以下の手順で建築(開発許可)が認められる場合もあります。


  • 事前相談

    市町村または都道府県の窓口で、開発許可申請が可能かどうかの事前相談を行います。工務店や設計事務所に相談している場合、こういった業者が代行してくれます。


  • 必要書類の準備

    開発許可申請書など専門的な書類が必要になります。一般に、建築設計事務所が代行してくれます。


  • 開発許可申請を提出

    事前協議の内容等に基づき、都道府県知事または市町村長に対して、開発許可申請を提出します。


  • 審査

    都市計画法78条に基づいて設置された開発審査会が内容を審査します。


  • 開発許可証交付

    開発許可が下りた場合、開発許可証が交付されます。


  • 開発行為の実行

    開発許可に基づき開発・建築を行います。


  • 開発行為の完了報告

    完了後、開発行為が許可通りに行われたかを確認するため、完了届を提出します。


ほとんどの場合、建築士・建築設計事務所が手続を代行してくれます。

市街化調整区域のメリット・デメリット

本記事の読者には、市街化調整区域内の土地を売る人、買う人の両方がおられると思います。

どちらの立場であっても、市街化調整区域内の土地を処分する前に、メリット・デメリットを整理しておきましょう。

土地を買うべきか、所有し続けるべきか、どう活用すべきかを考えるヒントになります。

市街化調整区域のメリット

市街化調整区域のメリットが感じられるかどうかは、自分自身のライフスタイルや価値観による部分が大きいといえるでしょう。

自然が豊かな環境で、格安な不動産を探したいという価値観に立脚すると、市街化調整区域には大きな魅力があります。

格安で土地が買える可能性がある

一般論として、市街化調整区域内の土地には格安な物が多く、市街化区域内の土地よりも低予算で手に入る可能性があります。

また、同じ予算であれば広い土地が手に入る可能性があります。

こういったコストパフォーマンス面を重視する場合、市街化調整区域内の土地・不動産を購入するメリットが感じられます。

自然豊かな環境が手に入る可能性が高い

市街化調整区域は市街化を抑制するエリアなので、建物が少なく、農地や森林など緑が多く残されている傾向があります。

そのため、自然豊かな環境で暮らしたいという場合は、市街化調整区域内に不動産を持つメリットが感じられます。

ただし、場所によっては、市街化調整区域であっても建物が密集しており、市街化区域と変わらない場合もありますので、現地を確認して判断する必要があります。

なお、建物が密集しているようなエリアでは、地価も市街化区域とあまり変わらないケースが見られます。

市街化調整区域のデメリット

筆者が考える市街化調整区域のデメリットは、自分自身の老後を含めた「将来」の不透明さ。

ずっとその土地に住み続けられるのかどうかをイメージして、買うべきか、手放すべきかを決断した方がよいでしょう。

将来性に不安が残る

市街化調整区域の不動産には、2つの面で将来性に不安が残ります。

  1. 将来、法令が変わって再建築できなくなる可能性がある
  2. 将来にわたってインフラが整備されない可能性がある

筆者は、こういった点を考慮してもなお魅力がある場合にのみ、市街化調整区域内の不動産を購入・活用すべきだと考えます。

市街化調整区域であっても市街化区域に隣接し、ほとんど市街化区域と変わらないエリアもあります。その場合、将来性についての不安はかなり少ないと考えていいでしょう。

生活環境が不便な場所が多い

一般に、市街化調整区域では公共交通機関が整備されにくく、大規模な商業施設や病院などが立地しにくい傾向があります。

そのため、市街化調整区域の不動産の場合、生活環境が不便なケースが多く、老後不安などは考えておきたいところです。

老後、運転免許証を返納しても暮らしていけるのかなど、将来のライフステージも考慮しておいたほうがいいでしょう。

市街化調整区域に強い不動産会社の探し方

市街化調整区域の物件は売却が難しいケースが多いため、専門の知識や経験を持つ不動産会社を選ぶことが重要です。

市街化調整区域に強い不動産一括査定サイトを利用することで、効率的に複数の不動産会社に査定を依頼し、最適な会社を見つけることができます。

イエウール

「イエウール」は、日本全国の不動産会社が登録しており、幅広いエリアの物件に対応しています。エリアにもよりますが、市街化調整区域の物件に強い不動産会社も登録しているため、専門性の高い査定を受けることが可能です。

  • 特徴:大手から地方の不動産会社まで、登録企業が多い。
  • メリット:全国展開しているため、広い地域での査定が可能。

HOME4U

「HOME4U」は、NTTデータグループ企業が運営する不動産一括査定サイトで、大手から地域密着型の不動産会社まで幅広く提携しています。地方に強い業者が多く登録しているため、市街化調整区域の物件に対応できる会社が見つかりやすいというメリットがあります。

  • 特徴:全国展開で、対応する不動産会社の数が多い。
  • メリット:市街化調整区域などの特殊な土地にも対応可能な会社も見つけやすい。

LIFULL HOME'S

「LIFULL HOME'S」は、豊富な情報量を持つ不動産ポータルサイトで、売却に関しても多くの不動産会社が登録しています。特に、住宅だけでなく土地の売却に強い不動産会社が多く、市街化調整区域の土地の売却も相談できます。

  • 特徴:情報量が豊富で、物件の種類や売却方法に応じた幅広い選択肢がある。
  • メリット:大手から地域に強い中小不動産会社まで提携している。

リビンマッチ

「リビンマッチ」には、市街化調整区域など、通常の不動産とは異なる物件にも対応できる会社が多く登録されています。地方や難易度の高い物件に対応している不動産会社が見つかる可能性があります。

  • 特徴:地方や市街化調整区域に強い業者が多い。
  • メリット:倉庫など特殊案件に対応できる不動産会社も見つかる。

リガイド(Re-Guide)

「リガイド」は、都市部の不動産だけでなく、地方の土地や市街化調整区域にも対応している査定サイトです。地元不動産会社が多く登録しており、市街化調整区域における土地の売却に強い不動産会社が見つかることも期待できます。

  • 特徴:地方の不動産に強い業者を見つけやすい。
  • メリット:地域密着型業者が多く、地域に根ざした査定を受けられる。

不動産一括査定サイトをうまく利用して地元不動産会社を探す方法について、詳しくは以下の記事で解説しています。

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まとめ「市街化調整区域かどうかの調べ方」

この記事では、不動産が市街化調整区域内にあるかどうかを調べる方法を解説しました。自宅のPCだけで簡単に調べることもできます。

上記サイトであれば、国土交通省のデータを使用した正確な情報を提供してくれているので、まず間違いなく判定することができます。

ただし、実際に不動産を売買する場合は、市街化調整区域に強い不動産会社に調査を依頼してください。都市計画を策定している市町村等の窓口で、最新の情報を確認してくれるはずです。

また、市街化調整区域に対応している不動産会社は、大手よりも地元不動産屋に多く、地元業者の中から信頼できる会社を探す必要があります。

以下の記事を参考に、何社かの意見を聞いた上で、信頼性の高い不動産会社を選んでください。

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