不動産売却

中古住宅の内覧で「汚い」場合どうすべき?買主・売主両方の視点で考察

 中古住宅を住みながら売却する場合、汚ければ汚いほど売却に時間がかかり、値段も安くなります

きれいであればあるほど早く売れて、値段も高くなる傾向があります。

筆者はそのことを身にしみて知っているので、自宅を売却する時「モデルルームみたい!」と言ってもらえるくらい、徹底して整頓と清掃を行いました。

この記事では、中古住宅を売却する際の汚い家のデメリットと対策方法について考えます。また、不動産を売却する場合は、あわせて以下の記事もご覧ください。

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 この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が制作しました。

売出し中の中古住宅が「汚い」場合…

中古住宅が「汚い」場合、以下のような問題が発生します。

売主の立場価格が安くなる傾向があり、売却にかかる期間も長くなります
買主の立場本来の状態がわからず、疑問点が残るため、安心して購入できません

そこで、この記事では、次の2つの観点から汚い中古物件の対処法を考えます。

  • 売主視点で考える、きれいな物件のメリットと片付け方
  • 買主視点で考える、汚い物件を購入する時の注意点と価格交渉の要点

売主としては、不要な値下げを防ぐために室内外をきれいにし、買主としては、汚い物件の価格交渉をうまく行うことがポイントになります。

【売却時】内覧対応しても売れないのは汚いせい?

中古住宅が売れない原因の全てが汚いせいとは限りませんし、汚いからといって全く売れないわけでもありません。

ただし、中古住宅の売却において、汚い物件が売りづらいことは確かです。汚い物件は売却期間が長引く傾向があり、売却価格も安くなることが心配です。

筆者が苦労した汚宅は売却に3年かかった

売却物件の室内外が汚いために、売れない物件は多々あります。中でも筆者が最も苦労した物件は売却に3年かかりました。

この物件の売主さんは、非常におおらかな方でした。内覧時にはトイレに汚れがこびりついたままだったり、立派なウッドデッキに犬の糞が転がったままだったりといった状況で、案内しても案内しても決まらず、かなり苦戦しました。

売却期間中、アルバイトを動員して室内を清掃したり、重機とオペレーターを手配して大掛かりな庭の清掃を行ったこともあります。

苦労を重ねてようやく売却できましたが、査定額8,500万円程度の物件の成約価格は7,200万円ほどでした。もう少しきちんと清掃して、きれいな状態で買主を案内できれば、もっと高く売れたのではないかと考えています。

見に来る人は「素人」なので第一印象が勝負になる

なぜ中古住宅の内覧時に汚いことが大きなデメリットになるのかというと、やはり内覧に来る買主さんが素人であり、リフォーム後や清掃後の状況をイメージできないからです。

つまり、素人が見に来るということを意識して第一印象を大切にし、見た瞬間に「きれいだな」「感じがいいな」と思ってもらえる、そして「住んでみたい」と思ってもらえることが非常に大事だということです。

この点を意識して不動産の売却に臨むと、はやく、高く売れやすい傾向があります。

【売却時】内覧に備えて家をキレイにするポイント

ここからは、筆者の実感として「これくらい片付いていたらうれしい」という実例と、効率的な整頓・清掃方法を解説します。

そもそもどれくらいで「汚い」と判定されるか?

宅建士目線で、実際に存在した汚宅を事例に、苦労する物件とすんなり売れる物件の違いをチェックしていきましょう。筆者の経験から、不動産売却において「汚い」と判断される基準を説明します。

仲介業者が売却に苦戦する事例

人気の琉球古民家ですが長期間売れず、結局は更地にして売却した事例です。写真ではわかりにくいですが、奥の部屋にゴミが山積みになっており、ペットボトルの液体が漏れるなどしている状態でした。

苦戦するが売却可能な事例

写真は筆者が買い取りを実施した住宅の事例です。リフォーム前提であれば売却不可能ではないですが、よりきれいに片付けた方が売りやすいでしょう。

これくらい片付いていると非常にありがたい事例

短期で売却できた物件の内部

買った時より高く売れたマンションの事例です。仲介で売却活動を行い、比較的短期で成約しました。これくらい片付いていると、不動産業者としては助かります。

あまりに不要品が多い場合は廃品回収業者に依頼するのも手

まるごと一軒分の不用品回収事例

相続案件などでよく見られますが、あまりにも汚くて物が溢れている物件の場合、近くの廃品回収業者に一軒まるごと不用品を回収してもらうのもおすすめです。

筆者の経験では、大阪府下で一軒まるごとゴミを処分してもらい、各30~40万円程度の費用で対応してもらえました(自宅と事務所の2件)。

ハウスクリーニング業者は玉石混淆

筆者の経験上、ハウスクリーニング業者の質には大きなばらつきがあります。

ハウスクリーニング業者を選ぶ際には、特にアルミサッシの清掃方法について尋ねるといいでしょう。経験上、アルミサッシを外して丸ごと水洗いしてくれる業者は全体的にきれいにしてくれるケースが多く、アルミサッシを外さない業者はハズレの場合が多いです。

また、必要な場合にシステムキッチンの一部をばらして清掃してくれる業者も腕が良いことが多いです。

プチリフォームが効果的な場合もあり

ハウスクリーニングは費用対効果が不透明で業者により大きなばらつきがありますが、それに対して壁紙を交換するなどのプチリフォームは安定して効果があります。

すべての物件で壁紙を交換すべきだとはいえませんが、白系のクロスで汚れが目立つ場合には、壁紙を換えるだけで見違えるようにきれいになることがあります。

予算としては、一軒全部のクロスを交換して30~50万円程度の場合が多いでしょう。

ポイントを押さえて自分でキレイにする方法

業者を入れる予算をかけられない場合、自分たちでなるべくきれいに整頓するだけでも効果があります。

なかなか時間が取れない場合でも、ポイントを押さえて効果的な清掃を行ってください。面積が広い床や窓を清掃したり、印象に残る水回りに重点を置くのがいいでしょう。

物件の「顔」となる玄関周りをスッキリ片付ける

玄関に人数分以上の靴が散乱していることもよくありますが、不要な靴を片付けるだけでもかなり効果があります。玄関は内覧希望者が最初に目にする部分ですから、なるべくきれいな状態を維持するようにしましょう。

この機会に不要な靴などを処分し、すっきりさせることをおすすめします。

生活感があらわになる水回りは徹底して清掃したい

これくらいの汚れでも気になるもの

水回りの汚れは目立つだけでなく、生活感が漂ってしまうのが問題です。どうしても前の持ち主の手垢や食べ残しをイメージしてしまい、嫌悪感を抱きやすい点には注意が必要です。

逆に水回りをピカピカに磨いておくと、かなり高感度がアップします。

窓ガラスの清掃はカンタンなのに効果大

普段なんとなく清掃を忘れがちな窓ガラスですが、売却時の清掃では必ずきれいにしてください。

安いもので良いのでワイパー式の窓拭きを用意し、窓の外側を水洗いした後、ワイパーで水切りをするだけでもかなりきれいになります。

窓の内側は窓用洗剤を使って清掃してください。窓は面積が大きいため、清掃の効果が非常に大きい場所です。

フローリングにワックスを掛けると見違えるようになる

実際に筆者がワックスをかけた事例

意外と知られていませんが、床にワックスをかけると新品のようにピカピカになり、効果絶大です。

床は特に面積が広いため、きれいにすると家全体の印象が大きく変わります。このため、床のワックスがけは非常におすすめです。

クロスの汚れは消しゴムでこすってみるのがおすすめ

こういう手垢汚れは落ちる可能性あり

クロスが全体的に汚れている場合には使えませんが、部分的な汚れには消しゴムでこすってみることをおすすめします。

専用のものでなくて、普通のプラスチック消しゴムでも汚れがかなりきれいになります。子供がいつも触る部分についた手垢なども落とせることがあるので、ぜひ試してみてください。

荷物をトランクルームに移しておくのも効果絶大

トランクルームの活用もおすすめ

筆者は居住中の自宅を売却する際、トランクルームに使わないものを預けて部屋をすっきりさせました。トランクルームの月額使用料はそれほど高くないので、そのコストをかける価値は十分にあると思います。

【購入時】内覧した中古住宅が汚い時の判断基準

筆者は、どんなに汚い住宅でも、どうすればきれいになり、どこをリフォームすればいいか分かる場合には購入します。逆に、そういうイメージがわかない場合は購入すべきではないと言えるでしょう。

プロはどんなに汚くても儲かるなら買うが…

プロはどんなに汚い物件であっても、またボロい物件であっても、どこをどうリフォームすればいいのかを自分で判断し、そのコストをかけても利益が出せると判断できれば購入します。

上記の写真のような状態であっても、プロなら買取可能です。ただし、買取に関しては注意が必要なので、以下の記事もあわせてお読みください。

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壁や床が見えないケースではパスすべき

壁や床が見えない状態だと判断が難しい

しかし、一般論として、普通の人が購入するのであれば、物が溢れていてゴミ屋敷のような状態になっており、床や壁が見えないといった場合は購入しないのが無難です。

壁や床の状態が悪く、購入後にリフォーム代が必要になった場合、費用が高額になる傾向がありますので、その点は注意が必要です。

汚くても清掃・リフォーム後がイメージできればOK

逆に汚くても、清掃すれば問題なく住めそうだとか、「ここをリフォームすればかなり快適になりそうだ」といったイメージが湧くようであれば、その物件は購入しても問題ないでしょう。

もちろん、予測が外れることもあるので100%おすすめするわけではありませんが、大まかにでも購入後にかける予算が分かっているレベルであれば、購入を検討してもいいでしょう。

【購入時】内覧した中古住宅が汚い場合の具体的注意点

内覧した中古住宅が汚い場合、筆者が注意したいのは以下の3点です。

  1. 売主の人格がルーズな場合、その他にも不具合があるかもしれない
  2. 散乱した物で見えない部分に建物のダメージが隠れているかもしれない
  3. 結果的にリフォーム代や清掃代がかかるかもしれない

上記について具体的な注意点を見ていきましょう。

売主と話をしてみて変な人ではないかを確認

ゴミ屋敷とまではいかなくても、内覧時にキッチンに洗い物が山積みになっているようなケースでは、売主の人格について疑問を差し挟んでもいいと思います。

通常、ほとんどの人は内覧時にキッチンなど重要なポイントはちゃんと片付けてあるからです。

内覧時に内部が汚い物件に関しては、売主と話をしてみて、どのような人物かを確認しておくべきでしょう。

特に変わった人であれば、その物件の売買はよほど注意して行うか、避けるかどちらかにした方が無難です。

その他、売主居住中物件の注意点については、以下の記事で解説しています。

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できれば近所の人に挨拶がてら聞き込みをしてみる

どんな場合でも近所に住んでいる人に聞き込みをした方が良いと思いますが、物件内部が汚い場合は特に注意が必要です。近所の人とトラブルを抱えているかもしれません。

その際、探偵のように家を回って聞き込みをする必要はありません。

物件付近を歩いていると、近くの人が目に入るはずです。その人と話をして、「今度この物件を買おうと思っています」と声をかけて、世間話をしてみてください。

世間話の中から売主の人となりがわかることがよくあります。

雨漏り跡などが隠れている場合もある

家の中に物が溢れている場合、内覧をしても壁や天井の雨漏り跡が隠れていて、建物の欠陥に気がつかない場合もあります。

内覧時に汚い物件の場合、通常の物件に比べて注意深く観察することが必要です。

建物・設備の劣化具合からリフォーム代を推定して交渉

内部が汚いということは、普段から建物を大事に使ってこなかったということですので、それなりに劣化や破損などが見られる可能性があります。

筆者が経験した事例では、換気扇の開口部から雨水が浸入していることに売主が気づいておらず、長年放置した結果木部が朽廃していたことがありました。

その点、注意深く物件の内部を観察し、劣化具合を見逃さないようにしてください。

また、価格交渉においては、劣化している部分や破損している部分の修理代やリフォーム代を推定し、その分の値下げ交渉を行うことが必須です。

キッチンや浴室の取り替えが必要なら各100万円以上

LIXILのシステムバス

キッチンや浴室を単独で交換する場合、筆者はホームセンターの交換パックなどを利用します。浴室のまるごと交換は普及品で100万円程度~、キッチンの全交換であれば普及品で交換工賃を入れて50万円ぐらいが1つの目安になります。キッチンでも高級なものを入れると、工賃込みで100万円はすぐに超えてしまうので、そのあたりの予算を踏まえて計画を立ててください。

外壁塗装ならざっくり100万円程度見込んでおく

建物に無頓着な売主さんの場合、外壁塗装などもおろそかにしていることが多いでしょう。一戸建て住宅まるごと塗装する場合、ざっくりと100万円ぐらいの予算が必要になります。

また、同時に屋根を施工してしまうこともよくあります。屋根の再塗装やガルバリウム鋼板でカバーするカバー工法などの修繕で、外壁塗装に加えて70万~100万円くらいの予算が必要になります。

まとめ「中古住宅は売る方も買う方もキレイな方がいい」

この記事では、売主・買主それぞれの視点から、汚い物件に関する問題点や、より良い取引を行うための対策を解説しました。

  • 清掃の重要性: 内覧時に清潔な状態を保つことで、より早く高値で売却できる可能性が高まります。
  • 具体的な清掃方法: 玄関、水回り、窓ガラスなど、特に印象に残る場所の清掃方法を具体的に解説しました。
  • リフォームの検討: 必要に応じて、ハウスクリーニングやプチリフォームを行うことで、物件の価値を高めることができます。

どうしても売却物件の清掃を行う余力がない場合や、相続した実家が遠くて管理できないといった場合は、訳アリ物件でも買い取ってくれるサービスを利用する方法もあります。

上記のサービスであれば、ていねいに相談に乗ってもらえますし、清掃などを行わなくても買取可能です。

また、沖縄県内であれば、トーマ不動産でご相談に応じます。トーマ不動産では賃貸物件の管理も行っており、物件清掃や残置物処理のノウハウも豊富です。

ご相談いただければ、清掃方法・売却方法をご提案いたします。

  • 汚い物件の購入リスク: 建物内部が片付いていないと、重大な問題点を見逃す可能性もあります。
  • 内覧時の注意点: 壁や床の状態、水回り、周辺の環境など、注意深く観察することが重要です。
  • 価格交渉のポイント: 汚れている部分やリフォームが必要な部分を考慮し、適切な価格交渉を行うことが大切です。

また、不動産売却時には以下の記事もおすすめです。

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