筆者が宅建業の実務を行うなかで出会ったお客さんの中には、すべて不動産会社に丸投げという姿勢の方もいました。
しかし、時に売主と不動産会社の利害が対立しますから、それは危険な売却方法です。
そこで、この記事では、売却前に知っておくべきNG行為を網羅していきます。 これらのNG行動を理解し、回避することで、失敗のない不動産売却を実現することができます。
この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が制作しました。
家の売却準備でやってはいけないこと
筆者は、売却活動の事前準備として、エリアの相場を把握しておき、優遇税制についても理解しておきたいと考えています。
不動産の取引は複雑で、しかも大きなお金が動くため、最低限の知識がない状態での売却はかなり危険だからです。
そもそも不動産売却の流れを知らないのはNG
不動産売買においては、不動産会社の利益とユーザーの利益が対立することがあります。
これを「利益相反」と呼びます。
そこで、不動産売買の流れを知っている売主と、全く知識がなく不動産会社に丸投げしている売主では、売却結果に大きな差がついてしまう場合があります。
筆者としては、最低限不動産売買の流れや各手続きの意味などを押さえておき、不動産会社がユーザーの利益より自社の利益を優先していないかどうかを判断できる知識を身につけておくことをおすすめします。
不動産売買の知識がないままに不動産を売買するのは、絶対に避けたい行為の一つといえるでしょう。
上記の記事では、不動産売却の流れと、そのタイミングごとに大切なポイントをガイドしています。
ローンを組んでいる金融機関に相談しないのはNG
住宅ローンが残っている自宅を売却することは可能ですが、金融機関の協力が必要です。
金融機関に全く相談せずに不動産の売買を始めてしまうと、例えばローンが返済できなかった場合、大変な事態になりますので、これはやってはいけないことのひとつといえるでしょう。
そこで、ローンがいくら残っているか(残債務はいくらか)という確認を兼ねて、借入先の金融機関に相談しておくと安心できるでしょう。
後に、売買の流れの中で、金融機関から「抵当権抹消書類」を発行してもらう必要もありますから、その手順も確認しておいてください。
住宅ローンの残債務は、銀行から郵送されてくる償還表でも確認できます。
税金について調査しないのはNG
マイホームを購入した場合や売却した場合、税制面での優遇措置があります。しかし、これらの優遇措置はきちんと申告しないと受けられませんので、まずは税制について学んでおく必要があります。
税金について全く考慮せずに売買してしまう事も、やってはいけない行為のひとつといえるでしょう。
特に、自宅(マイホーム)を売却した場合には「3,000万円特別控除」が受けられますが、住宅ローン減税と併用できず、どちらかを選ぶ必要があります。事前に計算しておき、有利な方を選んでください。
マイホームを売った時の特例|国税庁
あらかじめ相場を把握しておかないのはNG
最近では不動産一括査定サービスが増えすぎてしまい、不動産会社同士の競争が激しくなっています。そのため、実際よりも高い査定額を提示して、ユーザーの目を引こうとする不動産会社も増えてしまいました。
そこで、自己防衛として、あらかじめ売却したい不動産の相場を把握しておく必要がでてきました。
例えば、以下の記事では、簡単に自分の不動産の査定を行えるフリーソフトやエクセルの価格計算フォームを紹介しています(記事内でダウンロード可能です)。
その他にも、SUUMOやLIFULL HOME’Sなどのポータルサイトを利用して、周辺の土地や建物の価格を見ておくことも役に立ちます。
相場を理解してから価格査定を依頼するようにしましょう。
売却期間を短く見積もりすぎるのはNG
売り出してから売却までの期間
売却までの期間 | |
---|---|
全体 | 8か月 |
マンション | 6か月 |
一戸建て | 11か月 |
不動産の売却には意外と時間がかかります。都市部のマンションであっても、売却には半年程度かかりますし、一戸建てであれば1年近くかかるのが普通です。
そのため、不動産売却の計画を立てる際には、すぐに売れて手元に資金が入ると考えるのは避けた方が良いでしょう。
特に住み替えの場合、手持ち物件が売れるまでの時間を長めに見積もっておかないと、取引が危険になり、家計が破綻する可能性もあります。
査定の知識がないまま不動産査定を依頼するのはNG
不動産会社がどのような方法で不動産の価格査定を行っているのかを知っておくことは重要です。知識がないと、実態のない高い価格査定に踊らされてしまう場合もあるからです。
以下の記事で紹介するように、不動産の価格査定にはいくつかの方法がありますが、一般に不動産会社は「取引事例比較法」を使用して価格査定を行っています。
取引事例比較法とは、近隣の類似物件の取引事例をもとに様々な補正を加えて、査定したい不動産の価格を出す方法です。
この方法は不動産価格の相場を反映しやすく、実践的な査定方法とされています。しかし、事例を恣意的に選ぶことで、金額を高くも安くも操作できてしまうというデメリットがあります。
査定の知識を持っておけば、不動産会社の査定書が信用できるかどうかを判断できるようになります。
住み替えで購入物件を先に決めるのはNG
大まかに不動産の住み替えには2つの手順があります。
- 住み替え先を先に買ってしまう「買い先行」
- 手持ち不動産を先に売却する「売り先行」
筆者は原則として「売り先行」をおすすめします。不動産取引の専門家であっても、手持ち不動産がいつ売れるかを正確に予想することは困難です。
もし手持ち不動産の売却が長引いてしまうと、資金的にかなり追い込まれてしまうことになります。そういった事態を避けるためにも、できる限り「売り先行」で手持ち物件の売却を完了してから住み替え先を購入するようにしてください。
もし、どうしても魅力的な物件が先に見つかってしまい、買い先行で進めたい場合は、正確な査定を出し、短期売却できる会社に依頼してください。
こういったケースで、筆者は三井不動産リアルティ(三井のリハウス)を推します。
三井のリハウス|公式サイト
上記の公式サイトでも、三井不動産リアルティは査定額の正確さや短期売却を打ち出しています。
不動産会社を決める時にやってはいけないこと
不動産会社の選び方を誤ると、売却がスムーズに進まなかったり、希望の価格で売れなかったりするリスクがあります。
そこでこの章では、不動産会社を決める際に避けるべきポイントについて詳しく解説します。
不動産一括査定サイトを信じすぎるのはNG
筆者は大阪府と栃木県の2カ所で、複数の不動産一括査定サイトを利用してマンションや一戸建ての売却価格査定を依頼しました。その結果、不動産一括査定サイトの価格査定については信憑性があまり高くないと判断しています。
以下の記事で確認できますが、正しい査定額を送ってくれる会社は、経験上、4分の1から半分程度でした。
不動産一括査定サイトの査定を過信してしまうのは、不動産売買を行う上でやってはいけないことのひとつです。
信頼性の高い価格査定を求める場合は、一括査定を利用するのではなく、大手不動産会社に直接依頼するようにしてください。その場合、最も価格査定が正確と評判のある三井のリハウスがおすすめです。
不動産の価格査定で根拠を確認しないのはNG
不動産会社は、宅地建物取引業法により、価格査定を出す際にはその根拠を明示することが義務付けられています。
しかし、筆者が一括査定でマンションの価格査定を依頼した際、一部の不動産業者からは内容の薄いA4コピー用紙1枚の価格査定書が送られてきました。査定の根拠については、何も書かれていませんでした。
このような場合、必ず査定額の根拠を尋ねるようにしてください。
査定の根拠が不明瞭な場合は、その不動産会社とは契約しない方がいいでしょう。いくら高額な査定額を提示されても、根拠に納得できなければその額には全く意味がありません。
遠方の不動産会社に仲介を依頼するのはNG
都市部では大手不動産会社の販売力や価格査定の正確さは頼りになりますが、地方では事情が異なります。
筆者のように郊外に住んでいると実感しますが、遠方の大手不動産会社に売却を依頼した人は、成約までに時間がかかり苦労するケースもあります。
大手の不動産会社の営業マンは忙しいため、頻繁に地方まで足を運ぶことができません。そのため、とりあえず広告を出しておき、売り物件の看板を立てるだけの対応になりがちです。
不動産営業は現場に細かく足を運ぶことで成約率が上がりますので、遠方の大手不動産仲介業者に頼むのはNG行為です。この場合は、地元で優良な不動産会社を探してください。
不動産会社の得意分野を見極めないのはNG
筆者はリゾート物件が多いエリアで、海が見える不動産の売買を得意としていました。
普段一般住宅しか売っていない会社がビーチサイドの土地を売ろうとしても、うまくいかない事例は、よく見られます。相続した田舎の古民家物件なども同じで、そういった物件が得意な不動産会社に依頼しないと、いい条件で成約することができません。
どのような不動産にも向き不向き、得意不得意があります。
そこで、各不動産会社との相性を見極めながら不動産会社選びをすることが重要になります。
こういった点を考えずに「聞いたことがある会社だから頼もう」と不動産会社を選んでしまうのは避けた方がいいでしょう。
安易に専任・専属専任媒介にするのはNG
不動産会社は契約にあたって、専任媒介または専属専任媒介を勧めてくる傾向があります。
しかし、筆者は一般媒介で十分なケースもあると考えています。特に市街地で売れ筋の物件であれば、一般媒介でも十分売れますし、不動産会社に囲い込まれる心配もありません。
ところで、不動産の仲介は、法律の用語で「媒介」と言います。
媒介契約についての基礎知識を理解し、その上で専任媒介にするのか一般媒介にするのかを決めるようにしてください。
この点について何も考えずに不動産会社の言うがままに契約してしまうのは、やってはいけないことのひとつです。
安易に「不動産買取」を選ぶのはNG
不動産の買取を勧めてくる不動産会社は、そのメリットだけを強調します。しかし、不動産の買取には決定的なデメリットが一つあります。それは、価格が相当安くなってしまうということです。
不動産の買取は「普通に仲介で売却するのに比べて、およそ7掛けから半額程度になってしまう」というのが筆者の実感です。
不動産買取を利用する場合は、それでもいいと言えるときだけにしてください。何も考えずに不動産買取を選んでしまうのは、やってはいけない行為の一つです。
目についた不動産会社で適当に依頼するのはガチでNG
地方の小規模な不動産会社には、仕事ができる有能な人材もいますし、さっぱり仕事ができない人もいます。
かなり当たり外れが大きく、信頼できる人の紹介以外で、目についた不動産会社にとりあえず仲介を依頼するのは危険です。
筆者は、たまたま自宅を買う時に仲介してくれた不動産会社のHさんが非常に優秀な方だとわかり、売却時も常にHさんにお願いしています。
そういったツテがない場合は、以下の記事を参考に、失敗のない不動産会社選びをしてください。
家の売却活動中にやってはいけないこと
売出し価格を決めて売却活動をスタートすると、本格的に忙しくなり、注意すべき事柄もたくさん出てきます。ここでは、売却活動中に犯しがちなミスを紹介し、それを避けるための対策について解説します。
記事には書いていませんが、手付金を使ってしまうのもやってはいけないNG行為。物件引き渡しまでは何があるかわからないので、保管しておくのが正解です。
自分の不動産を過大評価・過小評価するのはNG
筆者は数多くの不動産を査定し、売却依頼を受けてきました。その中で感じたことは、自分の所有する不動産の価値を正しく評価できていない人が一定数いるということです。
中でも「自分の家がこんなに安いはずはない」と考える人は、意外と頑固に思い込んでいる傾向があります。
不動産会社が意図的に査定額を低く提示することは、めったにありません。
もしあり得るとしたら、その理由は買い取りに持ち込むためです。自社または協業する買取業者が買取を実施しやすくするために、安く査定している可能性はゼロではありません。
しかし、それ以外のケースで、あえて査定額を安く出すということはありません。
査定額が疑わしい場合は、価格査定に定評のある三井のリハウスにも査定を依頼してみてください。リハウスの査定額なら、ほぼ正解と考えていいでしょう。
三井のリハウス|公式サイト
また、沖縄県内であればトーマ不動産までご相談ください。AIを活用した正確な価格査定システムを導入しており、信頼性の高い価格査定をお出しします。
焦って値下げ交渉に応じてしまうのはNG
先に述べた通り、マンションの売却には平均して約半年、一戸建ての場合は1年弱の時間がかかります。適正価格での売却には、思った以上に時間がかかります。
売り出して1~2か月で焦って値引き交渉に応じてしまうのは、ちょっともったいないと思います。
一方、不動産会社の立場で「今回のお客さんは安すぎるので、見送りましょう」というアドバイスもしにくい事情があります。もし二度と買主が現れなかったら責任問題になってしまうからです。
最終的には自己責任で判断せざるを得ませんが、一年くらいは時間をかけるつもりで、焦って売り切ることのないようにしてください。また、価格交渉については以下の記事も参考になります。
不動産の問題点を隠すのはNG
筆者はマンション買い取り査定・調査中に、特殊清掃業者と鉢合わせした経験があります。
特殊清掃とは、孤独死や事故死によりご遺体が長期間放置され、腐乱した状態で発見された場合などに、強烈な臭いや痕跡を除去する作業のことです。
このケースでは、偶然、事故物件であることがわかりましたが、こうした重要な事実を隠すのはやめてください。最初はうまく隠せても、後々必ずトラブルの元になります。物件に関する重大な問題点を隠すことは、やってはいけないことの中でも筆頭クラスだと言えるでしょう。以下の記事では、この例の他にも不動産業者がやってほしくない事を紹介しています。
内見対応時に直接交渉してしまうのはNG
物件の案内をしていると、時々売主さんと買主さんが意気投合して話が盛り上がることがあります。筆者の経験ですが、音楽が趣味の売主さんと買主さんが、飲み友達として長らく交流している事例もあります。
しかし、どんなに相性が良くても、直接買主と価格交渉をするのは避けた方が良いでしょう。
後で後悔しても取り消すことができないからです。
その点、価格交渉や法的な条件面での交渉を、一旦不動産会社に任せることで、冷静に考え直す時間が作れます。また、不動産会社を通じて断ってもらう方が、楽に交渉を進められます。
内見の希望を断るのはNG
10組、20組と内覧のお客さんを案内しても決まらない時、売主さんとしては心が折れそうになる点はわかります。
そんな時「今日はめんどくさいから内覧は断ろうかな」と思ってしまうこともあるでしょうし、その気持ちもわかります。
しかし、不動産の売買は誰が買ってくれるのか予測できません。
プロの宅建士であっても予想外の展開はよくあります。思わぬ人が買ってくれることもありますので、面倒でも内見にはできる限り対応し、売却のチャンスを広げるよう留意してください。
まさかと思う人が買ってくれる事例は、決して少ないわけではありません。
居住しながら売却する場合、整理整頓しないのはNG
株式会社すむたすが不動産業者641人を対象に行ったアンケート調査では、不動産が売りにくい理由の上位に、以下のような回答があがってきました。
- 共有部が汚い、状態がよくない
- 設備が古い
- 築古で室内状況劣化
- 設備が古い
こういった点は見た目の問題ですから、清掃やメンテナンスを行うことで解決できます。
単純に散らかっている、というだけでも成約しにくくなりますから、まずは整理整頓を心がけて、第一印象をよくしてください。内覧時に汚い物件のデメリットや、効果的な整頓・清掃の仕方は以下の記事で解説しています。
また、居住中の不動産の売買に関する全般的な解説は、以下の記事に掲載しています。
参考:不動産のプロが考える不動産が売れない理由(すむたす)
不動産会社の広告をチェックしないのはNG
不動産の売却がスタートしたら、必ず不動産会社の広告をチェックするようにしてください。
広告の写真が不明瞭だったり、暗かったりすると売れ行きに影響します。また、広告の内容が間違っていることもありますので、これらの点はしっかりとチェックし、必要であれば不動産会社に訂正を申し出てください。
また、不動産会社が他社に情報を流さず、自社で仲介手数料を独占しようとする「囲い込み」の可能性もあります。広告の内容だけでなく、レインズに正しく登録されているかも確認してください。
レインズには売主用の閲覧画面がありますので、そのパスワードを不動産会社から入手しておくといいでしょう。
詳しくは、以下の記事で解説しています。
家の売買契約時にやってはいけないこと
売買契約から残金決済(買主の融資が実行されて全額を支払ってもらう)までの間は、重要な手続きが多く、いろいろと気をつかいます。
なかでも、契約書や重要事項説明書の確認を怠るのは、絶対にやってはいけないことです。
事前に契約書や重説を確認しないのはNG
宅地建物取引法では、不動産業者は契約書や重要事項説明書を事前に交付する義務があると規定されています。
しかし、契約の当日に契約書・重説を手渡し、署名・押印を求める不動産会社がかなり多いのが現状です。
契約の直前に渡された場合、その契約書に問題がないかどうか判断できません。筆者はプロですが、それでも当日の契約書確認では見落としが心配です。
そこで、少なくとも数日前に契約書のドラフト(下書)を送付してもらい、しっかりと内容を確認することをおすすめします。
筆者は契約の数日前までに、お客さんあてにPDFの契約書・重説をメールしていました。しかし、それでも読んでくれない人がいます。これは絶対ダメです。
契約書の「特約条項」を読み込まないのはNG
契約書を読む際、前から順番に読む必要はありません。
一般的に使用される標準契約約款では、最初に不動産の登記簿搭載事項などが記載されていますので、そちらはきちんと確認しておいてください。
次に大切なのは最後に記載される「特約条項」です。最後に書かれているため、読み飛ばす人もいますが、それはやってはいけない行為のひとつです。
特約条項には、その不動産固有の条項が記載されており、場合によっては最も重要な事項が書かれている事もあります。
契約書の特約条項については、以下の記事で詳しくフォローしています。あわせてご確認ください。
必要書類の準備もれはガチでNG
不動産の売買において、絶対に避けたいのは、必要な書類や印鑑を忘れることです。
不動産取引には多くの手続きがあり、その都度欠かせない書類があります。
不動産の売主についていえば、印鑑証明書や実印が必要ですし、場合によっては金融機関から抵当権の抹消書類を入手する必要もあります。このような書類が揃っていないと、取引が頓挫する可能性があります。
書類などの不備は、やってはいけないことの代表例ともいえます。
住宅ローンを完済していても、抵当権を抹消していない場合は、抹消書類の手配が必要です。
家の売却完了後にやってはいけないこと
売買契約を締結すると、ほっと一息つきたくなりますが、引き続き緊張感を持って売買にのぞむ必要があります。
例えば不要物を置いていってしまうのはトラブルの元ですから、室内外の片付けはしっかりと行っておきましょう。
引き渡し期日を守らないのはNG
引き渡しの期日を守れないことはめったにありませんが、引っ越し荷物の片付けが間に合わないケースはまれにあります。
残金決済前に、余裕を持って室内を片付けておき、当日はカギをすべて引き渡せるようにしておいてください。
特に引っ越し業者の繁忙期に売買手続きを進める場合は、荷物の最終的な片付けが追いつかないこともありますので、その点にも注意してください。
任意売却のお客さんの場合は、心身共に疲れ果てて「片付けまで手が回らない」というケースがよくあります。そんな時は不動産会社に相談してください。状況がよくわかっているだけに、しっかりとお手伝いをしてくれるはずです。
3000万円控除など特例を利用しないのはNG
マイホームを売却する際に3000万円までの利益が非課税になる「3000万円控除」は、売却益から3000万円を差し引いた額に対して税金がかかるため、非常に大きな節税効果があります。
ただし、要件があり、また売買の翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。
また、住宅ローン控除と併用することができないため、あらかじめどちらが有利かを計算しておく必要もあります。
このような優遇税制について検討しておかないと、後々後悔する可能性があります。
空き家や相続物件の場合にやってはいけないこと
「家を売って利益が出たが、後から高額な税金に苦労した」ということもあります。相続物件の場合は特に譲渡所得税が高額になりがちなので、注意してください。
遺産分割協議をしておかないのはNG
筆者の経験ですが、相続物件の仲介で買い手が決まったのに、複数いる相続人の一人が行方不明で売買が頓挫してしまったことがあります。
当初、売主は「相続人全員と連絡が取れる」といっていましたが、司法書士さんが連絡を取ったところ1名が行方不明になっていました。こうなると、所有権移転登記ができず、売買を完了することができません。
こうした事態を避けるためには、相続した物件の場合は遺産分割協議を行い、また相続登記をしておくことが重要です。
できれば税理士さんや司法書士さんのアドバイスの元に、あらかじめ遺産分割協議と名義変更を行っておくと、迅速に売却手続きを進めることができます。
譲渡所得税について調べないのはNG
相続物件の場合、譲渡所得税が予想より高額になることがあります。
通常の不動産売却では、家を売って受け取った金額から家を買った時の原価を引き、利益に対して課税されます(実際には減価償却なども考慮されます)。
しかし、相続の場合は原価に相当する部分がなく、基礎控除の5%しか引かれないこともあります。
その点に注意して、あらかじめ譲渡所得税について調べておいてください。後から思わぬ高額な納税が必要と気づいて慌てると、計画が狂ってしまうかもしれません。
譲渡所得税とは、家を売って儲かった部分にかけられる税金のことです。
「特定空家」に指定されたらすぐ対応しないのはNG
空家特措法によって特定空家に指定された場合は、早めに対応しておいた方が安心です。
空家特措法における特定空家とは、放置すると保安上危険であったり、著しく衛生上有害であったり、著しく景観を損なう状態の空家を指します。
登記簿上の名義人やその相続人は、空家を適切に管理する義務があります。一方、行政は所有者に対して問題のある空家の撤去や修繕、立木の伐採などを命じることができます。
これに応じない場合、自治体が代執行を行うこともあります。代執行にかかる費用は所有者に請求されるため、危険な状態の空家を放置せず、適切に管理することが重要です。
また、仲介の実務上もボロボロの古家があるよりも解体して更地にした方が売りやすく、価格面でも有利になる可能性があります。
まとめ
家を売却することは、思ったよりも難しい作業です。
しかし、事前にしっかりと準備し、正しい知識を持って行動することで、失敗のリスクを減らすことができます。
その中でもカギになるのは「不動産会社選び」でしょう。
沖縄県内であれば、トーマ不動産が正確な査定をお出しして、納得のいく不動産の買い方や売り方をご提案します。
三大都市圏を中心とした市街地であれば、大手不動産会社が強く、コンプライアンスについても厳しいため、安心して依頼できます。