よく「不動産屋の数はコンビニより多い」といわれます。
コンビニエンスストアが全国で約56,500店舗なのに対して、不動産会社(宅建業者)は130,583社もあります(2023年度)。
不動産屋の数は非常に多く、中にはダメな業者もたくさん混じっています。ではこの中から、どうすれば信頼できる不動産業者を選べるのでしょうか? その点について、宅建士歴10年超の筆者がご紹介します。
また、地元の不動産屋と大手業者のメリット・デメリットを比較し、それぞれの特徴に合った選び方、さらに後悔しないための賢い利用方法も考えていきましょう。
この記事はアップライト合同会社の立石が制作しました。データ出典は記事末尾にまとめています。
地元不動産屋vs大手業者:それぞれの特徴は?
筆者は地元の小さな不動産会社を経営するなかで、大手の不動産会社と競い合いながら仕事をしてきました。
地元不動産会社は大手不動産会社に勝てない局面もありますが、逆に大手には負けないと思う状況もありました。
どのような状況で大手仲介業者が強く、どのような状況で地元の不動産業者が強いのかを把握しておくと、上手に不動産業者を選べるようになります。
地元不動産屋のメリット・デメリット
地域密着型の地元不動産会社を利用する利点は、次の3つが挙げられます。
地元不動産屋のメリット
- 自社の近隣・周辺の物件や市場価格に詳しい
- 小規模な仕事でも快く引き受けてくれる傾向がある
- そのエリア特有の法令上の制限に詳しい
市街化調整区域を含む田舎の物件については、調査の手間がかかり、またそのエリアに関する深い知識も要求されます。そういった点は、地元不動産屋が強いジャンルです。
しかし、大手仲介業者が提供しているサービスが期待できない場合もあります。
地元不動産屋のデメリット
- 営業マンの質に大きな差がある
- 査定の正確性に欠けることがある
- 大手が提供するようなアフターサービスはない場合が多い
つまり、地元の不動産業者は機動性や粘り強さはあるものの、信頼性や正確さについては懸念があると言えるでしょう。
もちろん、地元業者の中にもしっかりしていて正確な査定を出せる会社はあります。問題は、玉石混交という点です。
そこで、メリット・デメリットを把握した上で、地元の不動産屋とうまくつき合う方法をガイドします。
また、不動産屋とうまく付き合うコツについては、以下の記事でも解説しています。
地元不動産屋の探し方と良し悪しの見分け方
地元不動産屋は実力のばらつきが多いため、1社だけに相談して決めてしまうのは避けてください。ギャンブルになってしまいます。
また、会社で選ぶというより、担当者の人物・知識量などで選ぶのがいいでしょう。
こんなポイントに注目
- エリア内の不動産に詳しく、相場などをきちんと把握している
- 物件周辺の施設、学校などに関する知識も持っている
- 法律の知識があり、最近の法改正や税制の改正にも明るい
こういった担当者が見つかるまで、何件かの不動産屋に相談するのが鉄則です。
インターネットで探すなら「不動産一括査定」?
地元不動産業者を探すとしたら、どうしても不動産一括査定を利用することになります。さすがに足で回るのは効率が悪いからです。
しかし一括査定にはデメリットもあります。その点を把握した上で利用する必要があります。以下の記事では、不動産一括査定の4つのデメリットを詳しく解説し、その対処方法も解説しています。
なかでも、最も注意したいのは「不動産一括査定の査定額は不正確な場合が多い」という点です。
不動産一括査定を利用する時は価格査定に幻想を抱かず、シビアな目で見るようにしてください。チェックしたいのは価格よりも、対応してくれた不動産会社の誠実さや知識の量です。
地元の不動産屋は市街化調整区域にも強い
原則として家を建築できない市街化調整区域。しかし、そこに建築を可能とする条件があります。
すべてではありませんが、地元不動産屋の中には、そのエリアの法令に詳しく「どうしたら市街化調整区域に建築できるか」をよく知っている場合があります。
こういった点も、大手不動産会社にないメリットでしょう。不動産一括査定を利用する場合、このような知識量にも注目して仲介依頼先を選んでください。
地元不動産屋にはデメリットもあります
不動産一括査定のデメリット
- 査定額の信頼性は低く、自分で検証することはマスト
- 販売力・営業力にばらつきがあり当たり外れがある
具体的にみていきましょう。
不動産一括査定には、主に中小業者が参加しています。実際に査定依頼をしてみると、しっかりとした査定ソフトを導入していない会社もあり、査定額に信頼性がないことがわかります。
詳しくは以下の記事で、実際の査定結果とともに解説していますが、査定の能力には大きな差がありました。
上記の記事では、筆者が不動産一括査定の査定額を精査し、レビュー・分析しています。
査定額については自分でチェックできる知識も必要
土地価格については、毎年公開される地価公示または地価調査の数字を見ておくのがおすすめです。これだけでも、自分の土地の価格をおおまかに把握できます。
以下のリンク先では地価公示データなどの他、国土交通省が収集した実際の売買金額データも閲覧できます。
不動産情報ライブラリ|国土交通省
上記のリンク先を開いたら「地図表示」ではなく「データの検索・ダウンロード」を選んでください。
より詳しい価格査定については、以下の記事で概算査定ができるExcelファイルを公開していますので、そちらをダウンロードしてください。建物価格の超概算査定もできます。
販売力のばらつきにも注意が必要
査定額に疑問符がつく以外に「販売力にばらつきがある」という点も、一応押さえておいたほうがいいポイントです。
これは一括査定サイトそのものの問題ではなく、中小不動産会社にばらつきが多いということなのですが、「仲介依頼先をよく見極める」必要があります。
そのためには、複数の不動産会社を比較する必要があります。査定額ではなく不動産会社の実力を比較する、という目的で不動産一括査定サイトを利用するようにしてください。
アフターサポートを期待できる?
大手不動産会社の場合、会社としてさまざまなサポート体制を組んでいます。
たとえば、大手の仲介で購入した場合、建物に大きな不具合(雨漏り、シロアリ被害など)があった場合に500万円まで保証してくれるサービスなどがあげられます。
こういったサービスは「さすが大手だな」と感じる点です。
地元不動産業者でも、中には保険や保証制度を取り入れる会社がありますが、まだまだ少数派です。
大手不動産会社のメリット・デメリット
筆者は、自ら不動産会社を経営してきた中で、大手仲介業者の強みを次のように分析しています。
大手不動産会社のメリット
- 売れ筋の物件に対して瞬発力があり短期売却が可能
- 広告宣伝にすぐれた力を発揮し、物件の情報を拡散できる
- 取引完了後の法律問題を保証するなどアフターサービスが充実
信頼性や安定感においては、大手仲介業者が中小業者を上回っています。特に、アフターサービスに関しては、地元不動産屋が真似できない点です。
しかし、以下については、大手仲介業者はあまり強いと言えません。
大手不動産会社のデメリット
- 売りにくい物件を粘り強く販売するイメージはない
- リゾート物件のような非定型の不動産は苦手
- 交通アクセスが不便な地方の物件には消極的
つまり、通常取り扱う定型的な物件ではない場合、大手仲介業者の強みが発揮されません。また、効率の悪い物件をコツコツ販売することも好みません。
これが地域密着型の不動産会社と比べた場合の、大手仲介業者の弱点と考えられます。
最終的には人の質・担当者の実力
不動産売却の成功は、物件が大手に適しているか地元の中小業者に適しているかによって異なる部分もあります。
しかし、どんな場合でも、最終的には営業マンの質によって左右されます。
地元の不動産業者を利用する場合、営業マンの能力には大きな差があります。非常に優秀な人もいれば、残念ながら期待外れの場合もあります。
人材の質に注目した新サービス
その点、三菱地所グループが運営するタクシエというサービスはおすすめです。大手不動産会社から選ばれたトップクラスの人材600名が在籍し、ユーザーは「会社でなく担当者を選ぶ」ことができます。
TAQSIE(タクシエ)|公式サイト
残念ながら一都三県(首都圏)限定のサービスですが、今後エリアを拡大していくとのアナウンスもありました。筆者としても注目しているサービスのひとつです。
大手仲介業者の探し方
大手仲介会社は、都市部に集中しています。地方でも政令指定都市やある程度人口の多い都市では対応可能ですが、それよりも田舎に行くと対応エリア外になることがよくあります。
まずは、売却したい不動産が大手仲介業者のエリア内にあるかどうかを確認するところから始めてみてください。
また、購入時と売却時は切り分けて考えた方がいいので、それぞれのケースに即して解説していきます。
【売却】大手ならではの正確な査定が魅力
売却に当たって大手仲介業者の大きなメリットは2つ。
- 精密な査定システムを導入しており査定価格が正確
- アフターサービスを制度として導入している
一般に、大手不動産会社は精密な査定システムを使用しており、正確な査定価格を行います。
また、万が一のトラブルに備えた保証制度など、アフターサービスを制度化しています。この2点は地元業者がなかなか真似できない、大手ならではの強みです。
そこで、大手業者を選べるエリアであれば、まずは大手業者の価格査定を取っておくことをおすすめします。
特に「住み替え」なら大手の力が生きてくる
住み替えの場合、手持ち不動産が確実に期限内に売却できることが重要になります。
想定している期間内に手持ちの不動産が売れなかった場合、住み替えがうまくいかず非常に困難な状況になるからです。
そこで、住み替えの場合は、売却をどこに任せるかが非常に重要な問題になります。住み替えを進める場合には、どんな物件に住み替えるか検討する前に、まずどこに売却を依頼するかを検討しておく必要があります。
売却が成功してこその住み替え成功だからです。
そして、そういう場合は大手不動産仲介業者の中でも唯一、正確な不動産査定を打ち出している三井のリハウスが最有力候補になります。
三井のリハウス|公式サイト
上記の公式サイトでも、正確な査定額を大きく打ち出し、適正価格で短期間売却を可能としている点をうたっています。
三井のリハウスに関する詳しい解説は、以下の記事に掲載しています。
【購入】実はレインズがあれば大手でなくても大丈夫
筆者の意見としては、都市部での不動産売却時なら大手不動産会社が有利と考えています。
しかし不動産を購入する場合、特に大手にこだわる必要はありません。親身になって考えてくれる担当者さえいれば、中小の不動産業者でも全く問題ないといえます。
その理由は、日本中のほぼすべての不動産会社が加盟している「レインズ」という巨大データベースの存在です。専任媒介や専属専任媒介で流通する仲介物件は、すべてレインズに登録されています。これにより、あらゆる不動産業者がその物件情報を閲覧できます。
そのため、紹介してくれる物件の数は大手と中小の不動産業者であまり変わりません。ですから、大手でも中小でも、特に問題はないと考えています。
地方では大手業者が対応していないことも多い
栃木県宇都宮市は人口約51万人の県庁所在地です。しかし、調べてみると、ほとんどの大手不動産仲介業者が事務所を置いていない空白地帯となっています。
宇都宮市でさえこの状況ですから、大手不動産仲介業者は相当な大都市部にしか対応していないと考えることができます。そこで地方では、ほとんど大手仲介業者を利用することができないと考えておくべきでしょう。
そして地方の場合、地元の不動産屋の中から優秀な業者を探す必要があります。
その際、不動産一括査定サイトの利用が具体的な解決策になるはずです。不動産一括査定サイトについては、以下の記事で解説しています。
まとめ:地元不動産屋を上手に探して活用する
地元の不動産屋と大手業者、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分の状況や希望に合った業者を選ぶことが重要です。
地元の不動産屋のメリット
- 自社が近隣・周辺の物件や市場価格に詳しい
- 小規模な仕事でも快く引き受けてくれる傾向がある
- 扱いが難しく時間がかかる物件でも対応してくれる場合が多い
地元の不動産屋のデメリット
- 営業マンの質にばらつきがある
- 査定があまり正確でない場合がある
- 大手が提供するようなアフターサービスはない場合が多い
こういった点を押さえておき、信頼できる不動産会社を探してください。また、以下の点にも注意してください。
- 複数の不動産会社に相談してみる
- 営業担当者の質を重視する
- 書類や契約内容をしっかり確認する
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データ出典
令和5年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について(一般財団法人不動産適正取引推進機構)
【2024年版】コンビニエンスストアの店舗数ランキング(日本ソフト販売株式会社)