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【宅建士解説】不動産価格交渉のノウハウを公開

不動産売買に際して、価格交渉が可能なケースはよくありますが、どの程度の交渉が可能かはケースバイケースで、一定の法則は存在しません。

しかし、以下の内容を押さえることで、物件を買う時・売る時の価格交渉がうまくいきます。

  • 価格交渉が可能かどうかを見極めるポイント
  • 価格交渉を有利に進めるためにやっておくこと
  • 価格交渉に最適なタイミング

この記事では、「物件購入時」「物件売却時」の両面から、不動産の価格交渉を成功させるコツ・ノウハウを紹介します。

この記事は宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が制作しました。

そもそも不動産の価格交渉は可能?

不動産の価格交渉はもちろん可能です。ただ、交渉の相手方がどれくらいの値引きを飲んでくれるかはわかりません。

不動産取引では唯一無二の物件を売買するため、仲介をしていても、価格交渉については読めない部分が大きいと感じます。

そこで、ケース別に不動産の価格交渉の考え方を解説します。

一般売主の場合は手探りで反応を探る

一般売主の通常の不動産仲介の場合、売主の置かれた状況や考え方によって値引き交渉の難易度は大きく変わります。

例えば、売主が高く売らないと住宅ローンを返済しきれないケースでは、価格交渉の余地はほとんどありません。

一方、あまり重視していない不動産を手間なく手放したいと考えているケースでは、ある程度の値引きには応じてくれることがあります。

その点、売主の考えを探る情報源としては「物元業者」がベストです。

一般売主の場合、その不動産の売却依頼を受けている不動産会社は売主とある程度話ができており、どの程度の値引きまでなら応じてくれそうかを把握しています。

したがって、売主が一般の人の場合は、できるだけその物件の仲介依頼を直接受けている不動産会社(物元)に相談してください。その他の不動産会社でも、その物件を扱うことはできますが、一次情報を持っているのは物元です。

会社が売主の場合は決算期などを狙うべき

中古住宅をリフォームして不動産会社が販売している場合や建売住宅の場合、売り出し当初の値引き幅は決まっています。

そのため、売出し直後に大幅な値引きを勝ち取ることはできません。

こういったケースでは、ある程度売れ残ったタイミングを見計らい、さらにその会社の決算期なども考慮に入れて、売買交渉のタイミングを見計らってください。

筆者の実例

筆者は3,400万円で売り出していた中古マンションの価格交渉をする際、東京商工リサーチで売主の会社の決算期を調べました。翌月が決算だということがわかったので、3,000万円の提示をしてみたところ、数日後にその提示が通りました。

このように、売主に関してはある程度調査をした上で対策するのが良いでしょう。

売主について調査する場合は、以下の点を調べてみてください。

  • 物件がどれぐらい売れ残っているか
  • 売主の会社の決算期や財務状況
  • 売主の会社の今後の事業展開

これらの点を調べていくと、価格交渉の糸口が見つかることがあります。とくに新築物件の場合は、売出しから1年を経過すると「新築」と表記できなくなり「未入居物件」となります。

売主業者としては「未入居物件にはしたくない」と考えていますから、売出しから1年近く経過している物件も狙い目です。

「物件を買う時」値下げ交渉を成功させるコツ

不動産を買う時の値引き交渉は、やみくもに行っても効率が悪いため、できるだけ戦略を立てておく必要があります。

ここでは不動産仲介の実務を行ってきた経験から「ここは押さえておきたい」というポイントを紹介します。

どれくらい値引きできるかの目安は?

これまで多くの不動産取引を経験した感触から言うと、値引きの目安は物件によって異なりますが、一般的には2~5%程度の幅に収まっています。

例えば、2,950万円の建売住宅で50万円値引きしてもらう場合、約1.7%の値引きとなります。

また、3,200万円で売り出されている物件を3,000万円に値引きしてもらうケースもあります。この場合、約6.25%の値引きとなります。

これよりも大きな値引きは、特別な事情がある場合に限られるでしょう。このあたりをひとつの目安と考えると良いでしょう。

物件ごとに値引き幅が異なるため、上記の数字は確約できるものではありません。

原則として価格交渉のタイミングは1つ

価格交渉は戦略をもって行う必要があります。売主が真剣に考えざるを得ないタイミングで、ズバッと大胆な価格交渉を行うのが理想です。

そこで、購入の申し込みと同時に精一杯の価格交渉を行ってください。多少大胆な価格交渉でも、売主は「この人は絶対に買ってくれる」と考え、真剣に検討せざるを得ない状況となるからです。

一般に購入の申し込みは、買付証明書という書面を用いて行います。書面で購入意思を示しつつ「この値段なら買いたい」と価格を提示することで、売主としては無視できない状況になります。

ローンの事前審査をすませ「資金は問題ない」点をアピール

住宅ローンの事前審査を済ませておくことも重要です。売主としては「せっかく価格交渉をしてもローンが組めずに契約が流れることは避けたい」と考えます。

そのため、住宅ローンの事前審査を済ませておくと、売主や仲介業者に対して「この人は確実に購入できる」とアピールでき、価格交渉も真剣に検討してもらえます。

もし銀行の事前審査が間に合わない場合は、モゲチェックというサービスを利用すると良いでしょう。

モゲチェックはほぼ全てのネット銀行やメガバンクと提携しており、ユーザーがどれぐらいの確率で融資を受けられるのかを短時間で判定してくれます。

住宅ローンの事前審査代わりにモゲチェックの判定結果を見せて、「確実に住宅ローンを組める」点をアピールするのも良い方法です。

不動産会社の「取引態様」に注目する

不動産広告に書かれている「取引態様」という欄にも注目しましょう。取引態様が「専任媒介」や「一般媒介」となっている場合、その不動産会社は直接売主から仲介を任されており、売主と連絡を取っています

しかし、取引態様が「仲介」などの文言となっている場合、その不動産会社は別の不動産会社から紹介された物件を広告しているだけの可能性が高いです。

この場合、直接売主から売却を任された不動産会社に相談するのが良いでしょう。直接媒介契約を受けている不動産会社は、売主の意向を把握しており、どれぐらいの値引きが可能かといった情報も持っています。

その情報を基にギリギリの価格交渉を行うのが、効率の良い方法です。

詰めの交渉では契約不適合責任なども交渉材料に

最後の価格交渉の段階では、契約不適合責任などの条件も交渉材料とすることがあります。

  • 契約不適合責任の免除
  • 境界明示義務の免除

特に土地などでは、契約不適合責任を免除しても大きな問題にならないケースもあります。これはケースバイケースなので自己責任となりますが、そういった場合は「契約不適合責任を免除する代わりにもう少し価格を下げてもらう」といった交渉も考えられます。

また、一般的に使用されている標準契約約款では、売主に対し、不動産の引き渡しに際して境界を明示する義務が課されています。

しかし、地方では土地の単価が低いため、わずかな誤差であればそれほど大きな問題にはなりません。そこで、売主の境界明示義務を免除し、その代わりに若干の価格交渉を行うこともあります。

これらのポイントを活用して、上手に価格交渉を進めてください。

逆に「売却する立場」で価格交渉されたら!?

不動産を売却する売主の立場で、購入希望者から価格交渉をされた場合、どのように対処すべきでしょうか。

筆者は、売り出しの時点からある程度価格交渉が入る前提で対応をしておくのが良いと考えています。

事前に価格交渉を想定した売出し価格とする

多くの不動産仲介業者が同じアドバイスをしてくれるはずですが、売り出し価格を決める際にどれぐらいの価格交渉が入るかを見越して、やや高めの価格に設定しておいた方が良いでしょう。

しかし、あまり価格を高くしすぎると反響・問い合わせがこなくなるので、具体的な価格は仲介不動産業者と相談するのが良いでしょう。

想定より大幅な値引きの場合の考え方

ある程度の価格交渉を予測して売り出し価格を決めたとしても、想定外の大幅な価格交渉が入る場合もあります。

その場合、筆者であれば以下の点に注意します。

  • 周辺の物件の相場と比較して指値された価格が安すぎないか
  • 住宅ローンの残債務を返済できる価格かどうか
  • 売り出しから3か月経過している場合は、仲介不動産業者を変更することも検討

ざっくりと解説すると、周辺の相場価格については、自分で調べておくことも必要です。以下の記事が参考になります。

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媒介契約、特に専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、3か月以内と法律で定められています。そこで3か月経つ頃に不動産会社を変更することが可能です。

過度な指値があった場合は、その指値を持ってきた不動産会社ではなく、別の会社に相談する方が良いかもしれません。3か月経った頃に別の会社に相談してみてください。

安すぎる価格で交渉をまとめようとする不動産会社は、売主の利益より自社の売り上げを優先している可能性もあります。

買主の属性を確認し「ローンが通るか」の判断が必要

銀行は融資の審査の際に、顧客の属性を考慮します。例えば、一部上場企業の会社員で、これまでに金融に関する事故がない場合は評価が高く、融資を受けやすいと考えられます。

逆に無職や非正規雇用の人などでは住宅ローンが通りにくいでしょう。

そこで、買主の属性に問題がある場合は、価格交渉されてもあまり真剣に取り合う意味がありません。合意して売買契約を締結しても、住宅ローンが通らなければ全て白紙に戻るからです。

そもそも価格査定が正確だったかを再確認

意外と強めの指値が多いと感じたら、最初の価格査定が正確だったかどうかを疑ってみても良いでしょう

筆者は不動産一括査定を利用して、実際に所有しているマンションを売却しましたが、納得のいく査定額を出してくれる会社は50%程度でした。つまり、不動産の価格査定の半分は信用できないと考えることができます。詳しくは以下の記事で解説しています。

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そこで、最初の査定時の金額が間違っており、売り出し価格が相場から外れている可能性を考慮し、別の不動産会社にセカンドオピニオンを求めるのも一つの手です。

不動産価格査定は一般的に、大手不動産会社のほうが正確です。しっかりとした不動産価格査定システムを使用していることと、コンプライアンス体制を確立していることがその理由です。

上記の三井不動産リアルティ(三井のリハウス)は特に、業界内でも唯一「正確な価格査定」を大きく打ち出しているのが特徴です。

三井のリハウスについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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確定測量や契約不適合責任を交渉のカードに使う

妥協できる範囲でギリギリの価格交渉が入った場合、価格以外の条件も交渉のカードとして利用するのが良いでしょう。

例えば、一般に不動産を引き渡す際には土地の確定測量を行いますが、測量にはかなりの金額がかかります。一戸建て住宅の場合でざっくり30~50万円程度はかかるでしょう。また契約不適合責任といって、不動産引き渡し後に買主が購入した目的を達せられないような瑕疵を発見した場合に責任を問われる条項が契約書に含まれています。

この契約不適合責任や境界の明示義務を、価格交渉に対する売主側からのカードとして使うのも一つの手です。

例えば、50万円の値引きを受ける代わりに境界の明示義務をなくしてほしいという交渉であれば、実質的にはほとんど値引きしていないのと変わりません。

こういったカードを上手に使っていきましょう。

念のため文書で交渉し記録を残す

ごく稀に、価格交渉が成功した後に再度値下げを求めてくる買主もいます。こういった問題を防止するためにも、不動産の値下げ交渉に関しては文書で希望価格を送ってもらうようにしましょう。

不動産仲介業者に買付証明書の形で価格交渉を依頼すれば、買付証明を取ってくれます。このように文書で記録を残し、売主側からも売り渡し承諾書のような文書を返答として送ることで、合意内容の変更を防ぎ、無理な価格交渉を予防することができます。

また、不動産を売却する時のポイントをまとめた以下の記事もおすすめです。時間があれば、ぜひあわせてお読みください。

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まとめ「不動産価格交渉成功のポイント」

この記事では、価格交渉を成功させるための様々なポイントを解説しました。

  • 売主の立場:価格交渉を想定した売出し価格の設定、買主の属性確認、周辺相場の調査などが重要です。
  • 買主の立場:住宅ローンの事前審査、不動産会社の取引態様の確認、買付証明書を活用した価格交渉などが成功の鍵となります。

価格交渉は、ただ単に価格を下げてもらうことだけでなく、契約条件なども含めてトータルで交渉するよう考えてみてください。

この記事に書かれていない内容は、トーマ不動産までお問い合わせいただければ回答します。沖縄県内の不動産売却なら、しっかりと交渉をサポートしますので、ご安心ください。

三大都市圏などの都市部であれば、まず大手不動産会社に相談してみるのがおすすめです。とくに三井不動産リアルティ(三井のリハウス)であれば、正確な価格査定を出した上で、値引きせずに売り切る力があります。

それ以外のエリアであれば、不動産一括査定をためしてみてください。ただし、不動産一括査定にはメリットとデメリットの両面があるので、以下の記事を参照してみてください。

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