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沖縄の個人墓地を売買する際のポイントを宅建士が解説

内地で一般的な霊園風の墓地は、管理墓地と呼びます。それに対して、個人で設置している墓を個人墓地と呼びます。

最近では沖縄県内にも管理墓地が増えてきました。具志堅用高さんでおなじみの沖縄県メモリアル整備協会などはその一例です。

しかし、沖縄で墓地といえば、まず個人墓地である琉球墓が思い浮かびます。

こういった個人墓地であっても売買することは可能です。しかし、一般的な不動産売買と違って、注意点もあります。

筆者も沖縄のお墓を取り扱ったことがありますが、まず、売れるまでに相当な時間がかかりました。売りたい人も買いたい人もいますが、どちらも少ないため、マッチングしにくいのです。

そこでこの記事では、沖縄の個人墓地を売買するための基礎知識を解説していきます。

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沖縄の個人墓地の特徴と門中墓

沖縄の個人墓地は、一般的に住宅建築と同様に土地を購入して、そこにお墓を立てるという手順を踏みます。

昔は比較的自由にお墓を作ることができたため、街中に点々と門中墓があったり、ホテルの窓を開けると、亀甲墓が見えるといったこともあります。

特に南部のお墓は規模が大きくたくさんの門中が集まるため、中にはお墓の内部に電気を引き込み、冷蔵庫が設置されている事例もあります。

とりわけ糸満市にある幸地腹・赤比儀腹両門中墓は、観光ガイドブックにも必ず掲載される有名な観光スポットとなっています。

約1600坪におよぶ広大な敷地にトーシー墓1つと、4つのシルヒラシー墓がならびます。このシルヒラシーとは、亡くなった方を乾燥させる「風葬」のための墓ですが、現在は火葬が一般的となっています。

また、門中(ムンチュウ)とは父系の血族集団のことで、沖縄本島南部における門中墓は、個人墓地というより、一種の共同墓地ととらえることができます。

沖縄での墓地売買における基礎知識・売買の流れ

沖縄県での墓地売買に関する注意点としては、まず一般の不動産売買に比べてかなり長い時間がかかることが挙げられます。

もう一つ注意しておきたいのは、相続などにより所有者が複数になっており、権利関係が複雑であることが多い点です。中には自分の名義になっていると思って売却を決定したが、登記簿を取ってみると違う人の名義だったということもあります。

こういった話は実際にあることなので、売却の前にまず登記簿等で権利関係を確認しておくことをお勧めします。

土地売買の基本的なステップ

不動産売却の一般的な流れは次のように考えておくとよいでしょう。

  1. 不動産会社を決めて売却活動を開始
  2. 買付証明書と価格等の交渉
  3. 売買契約の締結と手付金の受領
  4. 残金決済と物件引き渡し

ただし、これはローンを組む場合の取引の流れです。ローンを組まない場合は3と4を同時に済ませてしまいます。そこで次のようなステップになります。

  1. 不動産会社を決めて売却活動を開始
  2. 買付証明書と価格等の交渉
  3. 売買契約を締結し、その日に代金を決済し、物件を引き渡す

ちなみに買付証明書とは、買主が売主に対して差し入れる書面で、購入の申し込みと同時に希望価格や購入の条件が書かれています。

売主は買付証明書を見て、そのまま承諾するか、逆交渉を行うか選び、最終的に合意できた条件で売買を行います。

不動産売買の流れについて、詳しくは以下の記事で解説しています。

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必要書類や法律上の注意点

お墓や墓地といえども、必要な書類は一般の不動産売買と全く同じです。まず売主が用意すべき書類をあげてみましょう。

  • 土地の登記済権利証または登記識別情報
  • 取得後3か月以内の印鑑証明書
  • 固定資産税等納税通知書または固定資産税評価証明書
  • 運転免許証等の本人確認書類

物件を購入する買主は、印鑑証明書や実印を用意する必要はありませんが、次のような書類が必要になります。

  • 住民票
  • 認印
  • 運転免許証等の本人確認書類

土地建物の売買で必要となる書類に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

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沖縄の個人墓地売買Q&A

この章では、沖縄県内で個人墓地を売買する時に知って起きた事柄を、Q&A形式でまとめました。

沖縄の墓地に関する法律や許認可手続きは?

墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)によって「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。」と定められています。

つまり、ご遺骨はお墓以外に埋葬してはいけません。

そして、お墓の経営は、市町村または宗教法人が行うことが原則とされます。

しかし沖縄では、これまでに解説した門中墓など独特の個人墓の形態が認められてきた歴史があります。

そのため県内では街中にもお墓が点在しているわけですが、これを放置すると、街の景観を損ねたり、都市計画に障害が発生してしまいかねません。そこで現在、新しくお墓を作るには市町村長の許可が必要となっています。

私有地にお墓を設置する場合も同様で、たとえば家の庭にお墓を作る場合でも、市町村長の許可が必要となります。

沖縄の墓地の価格相場は?

沖縄県内の墓地の価格はばらつきがあり、はっきりとした相場が形成されているとはいいにくい状況です。試しに『うちなーらいふ』に掲載されている墓地の売り出し情報を整理したところ、平均坪単価は325,436円でした(2024年9月16日現在)。

しかし、坪単価には大きなばらつきがあり、最も安い事例では坪単価7,346円、高い事例では3,364,486円となっています。坪単価100万円を超える事例は、合計4件見られました。

このように、墓地用地の価格はエリアによって大きく異なり、同じ地域内でも価格の差が大きいことが特徴です。

そのため、適正な売り出し価格を設定するために、お墓の売買経験が豊富な不動産会社に相談し、売れそうな価格を探ることが必要です。

筆者は墓地の売り出し価格の決定にあたっては、できるだけ多くの事例を集め、売れそうな価格を推定するようにしていました。

墓地を売却した時の税金は?

墓地を売却した際には譲渡所得税がかかることが多い、という点に注意が必要です。

譲渡所得税とは譲渡所得(不動産売却によって得られた利益)に対して課税される税金のことです。計算方法は複雑なので、具体的な税額については税理士や不動産業者に相談してください。

ここでは、ざっくりとした金額を知るために、概要を紹介しておきます。

おおまかにいうと譲渡所得税は、長期譲渡所得であれば譲渡所得(売って出た儲け)の約2割、短期譲渡所得であれば譲渡所得の約4割が税額となると考えておくとよいでしょう。

住宅であれば3,000万円控除が適用されることがありますが、墓地にはそのような控除は適用されません。また、多くの墓地は先祖代々受け継がれているため、購入時の価格が不明なケースが多く、取得費用を差し引くことができません。そのため、税率が高くなりがちです。

短期譲渡と長期譲渡の違いは、譲渡した年の1月1日時点での所有期間によって決まります。所有期間が5年を超えていれば長期譲渡、5年以内であれば短期譲渡となります。この計算も複雑なため、細かい金額は専門家にご相談ください。

まとめ「沖縄の個人墓地を売買するポイント」

沖縄県内の個人墓地を売買する場合は、まず価格の設定が難しく、売出し価格には常に悩まされます。購入時も、売り出されている墓地の値段が高いか安いか判断が難しいため、お墓の売買経験が多い不動産業者に相談する必要があるでしょう。

ただ、どの不動産会社もお墓の取り扱いには積極的とはいえず「お墓専門です」という看板を掲げた業者が存在するわけでもありません。

そこで、最低限「税制面に強い」不動産会社を選んでおいてください。

特に売却時の注意点として、譲渡所得税が課税されることが多いからです。

沖縄本島のお墓の売買はトーマ不動産まで

沖縄県内、特に沖縄本島の墓地の売却をお考えの方は、トーマ不動産までご相談ください。

トーマ不動産では、ファイナンシャルプランナーが在籍しており、譲渡所得税についても詳しくご説明することが可能です。

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