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【不動産一括査定をやってみた】宅建士が実際に試してわかったメリットとデメリット

最近、不動産一括査定の査定額がおかしいと感じませんか?

宅建士として、ライバル会社の価格査定の精度に疑問を持っていた筆者は、あえて不動産一括査定サイトを利用して手持ちマンションを売却してみました。

  1. 査定額は意外とあてにならなかった
  2. 信頼できる不動産会社を探すには知識が必要

結論は、上記の2点です。

正確な価格査定書を送ってくれる不動産会社は全体の4分の1程度で、高額な査定を送ってくる会社ほど信頼性が低い傾向がありました。

「では、複数不動産会社のなかから、どうやって信頼できる会社を探すのか?」という点も、この記事で解説していきます。また、不動産一括査定の査定額が高すぎる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

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この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が作成しました。

宅建士が不動産一括査定をやってみたら!?

この記事では、大阪府下の小さなマンション一戸と、栃木県宇都宮市の一戸建て(二世帯住宅)の売却時に、不動産一括査定サイトを利用した時のレビューをまとめました。

どちらの事例でも、事前にレインズのデータを利用して価格査定を行っておき、一括査定の価格が筆者の査定とどれくらいズレているかを確認しました。

信頼できる査定額を出す会社もありましたが、どちらの事例でも、異常に高い査定額を出す会社が混じっていました。

ポイント

実態よりも異常に高い査定額を出し、ユーザーの気をひこうとする業者が必ず混じっていました。この点は注意が必要です。

【大阪】築古マンションの売却結果を詳しく解説

シーサイド貝掛マンション
実際に売却してみたマンション

当サイト「トーマ不動産MAGAZINE」のSEOや記事ライティングを担当しているアップライト合同会社では、事務所として使う予定だった自社保有マンションを売却しました。

このマンションは、築古の小さな部屋で、購入時は150万円。筆者の査定で、売却した場合の価格も同じく150万前後と算定しました。

所在大阪府阪南市貝掛
物件種別分譲マンション間取2LDK
構造鉄筋コンクリート専有面積43.75㎡
土地権利所有管理費4100円
築年昭和48年12月修繕積立金2300円
備考電気、水道、集中浄化槽、プロパンガス

5つの査定サイトを利用して4社に査定依頼できた

このマンションは大阪府のはずれにあるため、どの一括査定サイトも対応している不動産業者が少なく、結局5つの査定サイトを試すことになりました。

対応可能だった不動産会社の数は、リガイドが最も成績が良くて3社、リビンマッチが2社、マンションナビとイエイ、イエウールはすべて1社ずつしか対応できませんでした。

結局5つの不動産一括査定サイトを利用して、4つの不動産会社から査定書をもらうことができました

リガイド3社
リビンマッチ2社
マンションナビ1社
イエイ1社
イエウール1社

一見地味なリガイドが優秀でした。別途行ったテストでも、リガイドは全国的に地方で優秀な傾向がありました。

査定額には2倍のばらつきがあり信頼性は低かった

このマンションの場合、相場から考えて、正解は150万円前後です。しかし、240万円というムリのある査定額を出してきた会社もありました。

A社120万円
B社150万円
C社240万円
D社150万円
左は合計17枚の詳細な査定書で右はペラ1枚の雑なもの

査定書のレベルの差が大きい傾向も気になりました。写真右の査定書は、価格の根拠も示さずA4用紙1枚だけの雑な内容でした。左の査定書は合計17枚にわたる詳細な分析から、査定額を導き出す内容でした。

A社17ページにわたる詳細な査定書で価格もちゃんと相場内
B社A4用紙1枚の薄い査定書
C社査定書なし。電話で口頭による価格提示のみ
D社2番目に優秀な査定書で価格も相場の範囲内で納得

一方で、しつこい電話などはなく、各社ともあっさりとした営業スタイルでした。もっとしつこく営業されるかと思っていましたが、1社無断でメルマガに登録されただけでした。

ただし、やけに高い査定額(240万円)を出している会社があったことには注意が必要です。こういった会社は「高ければ売主がよろこんで仲介を任せてくれるだろう」という、雑な仕事をしています。詳しくは、以下の記事などで解説しました。

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筆者の査定額と同額で売却が完了した

売出しにあたっては、査定書の内容が充実していたA社とD社に仲介を依頼しました。どちらの会社も、数名のお客さんを内覧に連れてきてくれました。

田舎なので売却には時間がかかり、およそ1年かけて売却が完了しました。D社で成約し、価格は筆者の査定とも一致する150万円でした。

結論として、不動産会社4社のうち、筆者の評価で2社は「良い」と判断しました。残りの2社は仲介を依頼しない方がいいと判断しました。

ただ、一般の方が査定額の正確性から不動産会社の良否を判断することは難しく、そこは課題になりそうです。

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この記事などで不動産価格査定について学び、自己防衛する必要があると感じました。少なくとも不動産一括査定の裏側は押さえておきたいので、以下の記事にも目を通してみてください。

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【栃木】二世帯住宅の査定結果を徹底レビュー

宇都宮の風景
宇都宮の風景

栃木県宇都宮市で知人が自宅の売却を検討していたので、不動産一括査定サイトを利用してもらい、その状況をレビューさせてもらいました。

土地面積約250㎡(76坪)
建物面積約199㎡(60坪)
建物の構造軽量鉄骨造
建築年月平成8年8月
ハウスメーカー積水ハウス

不動産一括査定サイト4つを利用して4社から査定書をもらう

今回はイエウール、イエイ、リビンマッチ、リガイドの4サイトを利用しました。査定対応可能な不動産会社は合計4社で、そのすべてに査定依頼を出しました。

どの不動産一括査定サイトも、だいたい同じような不動産会社が登録していました。重複が非常に多かったため、全部で4社にしか査定依頼できませんでした。

査定額はやはりばらつきが大きかった

筆者の査定では、この物件は1000万を少し超えるくらいと評価しました。それに対して異常に高い値段をつけた業者としては、2710万の査定を出したところがありました。

査定書のレベルもばらばらでした。中にはショートメールで価格だけ送ってきた不動産会社もあり、これはさすがにひどいなと感じました。

一方、ちゃんとした価格査定システム(最もよく利用されている公益財団法人不動産流通推進センターの製品)を使い、見やすい査定書を送ってきてくれた会社もありました。

最後に積水ハウス系列不動産会社に査定依頼

最後に確認のため、この建物を建てた積水ハウス系の準大手不動産会社にも査定を出してもらいました。それを加えたものが上のグラフです。

積水ハウス系列の準大手不動産会社は、筆者の査定額とほぼ一致していました。査定額は、やはり大手の方が正確に出してくる傾向があります。

大手の査定額が正確な理由は、①しっかりした査定システムを使っていることと、②コンプライアンス体制が整っておりダマし要素がないことが理由と考えられます。

物件オーナーの査定サイトへの評価

最後に、売出し物件のオーナーに感想を聞いてみましたが、「不動産一括査定を初めて使ってみたが、思ったより役に立たなかった」との回答でした。

査定額に対する不満というより、対応してくれた不動産会社に対する評価が低かったことが原因です。確かに、ショートメールで査定を送ってくる会社などは、言語道断です。

ただし、エリアが違えば登録不動産会社も違うため、よりよい不動産会社が見つかる可能性があります。今回はあくまで、栃木県宇都宮市での評価と考えてください。

結論として不誠実な不動産会社をどう排除するかが問題

筆者は宅建士として長年不動産価格査定の実務に関わってきました。遠隔地であっても、多少の誤差を許容してもらえれば、ある程度正しい査定を出すことができます。

その立場から考えると、不動産一括査定サイトの査定額のうち、特に高い査定額を出してくる会社は非常に不誠実だと思います。一括査定の不動産会社のうち、半数程度はダメだと感じました。

一方で、対応してくれた不動産営業マンひとりひとりと話をしてみると、中には知識が豊富で優れた人物もいました。

結論として、不動産一括査定を利用する場合は人物本位で不動産会社を選び、査定額の高さにダマされないよう注意する必要があります。

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高すぎる査定額に要注意!信頼できる不動産会社の選び方

ここまで述べてきたように、査定額そのものを知りたいという用途で不動産一括査定を使うのはあまりお勧めできません

そうではなくて、信頼性の高い不動産営業マンを探すために、マッチングサイトのように不動産一括査定を利用するのが良いと思います。

また、必要に応じて複数の不動産一括査定サイトを利用する必要もあります。

不動産一括査定は、大規模なもので4000社ぐらいしか登録していません。それに対して日本全国の不動産会社の数は約13万社に上ります。多いように見えて、登録しているのはほんの一握りの不動産会社だけです。

そのため、どうしてもエリアによる当たり外れがあり、また査定サイトによる得意不得意も出てきます。

マンションや都市部の一戸建てなら大手不動産会社

マンションや都市部の一戸建てなどは、大手不動産会社が向いています。大手不動産会社は人気の高いエリアで住宅を販売することに長けており、スピーディーに客付けを行ってくれる傾向があるからです。

特にマンションに関しては業務の内容がかなり定型的になるので、こういったものは大手不動産会社が得意とするところです。

筆者としては、三井のリハウス(三井不動産リアルティー)お勧めします。

上記の公式サイトでも明示している通り、三井のリハウスでは、正確な価格査定を大きく打ち出しています

これは他社にない特徴なので、「正確な価格査定なら三井のリハウスだろう」といえるのです。

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問題がある物件は地場の会社で優秀な社員を探す

敷地境界に紛争があったり、何らかの心理的瑕疵があるような物件は、地道に活動してくれる地場の中小不動産会社を選ぶのが良いでしょう。

中小業者の中で良心的な担当者を見つけることができたら、こういった物件も粘り強く売却活動を続けてくれます。

筆者は一戸建て住宅を3年かけて売り切ったことがありますが、このように粘りが必要な物件は大手仲介業者よりも地場業者の方が向いていると思います。

不動産一括査定サイトをあえてひとつあげるとしたら、地方に強いリガイドを試してみて下さい。

リガイドは、筆者のテストでも地方で優秀な成績を残しています。また、筆者は不動産会社の立場でもリガイドを利用させてもらっていました。真面目に運営している不動産一括査定サイトだと感じていたためです。

田舎の土地や一戸建ては法律の知識で担当者を選ぶ

不動産業者の正式名称は「宅地建物取引業者」といいます。本来は宅地と住宅を販売するのが主な業務と言って良いでしょう。

しかし、地方に行くと、様々なタイプの物件が流通しています。

大手の不動産会社を見ていると、農地や無道路地、自然公園法等の規制がかかっている土地、権利関係に何らかの問題がある物件等は、あまり得意ではないように感じます。

こういった物件は地場の中小業者の社員さんで、勉強熱心な人が得意としています。

査定サイトとしては、リビンマッチまたはリガイドが向いていると思います。

実は農地や山林は、大手不動産会社が使っているような不動産価格査定システムで評価をすることができません

独自のノウハウをもっている不動産会社を選んで下さい。

また、どうしても市場では売れない・売れにくい物件もあります。そのようなケースでは、訳あり物件専門の買取業者に相談してみるという方法も考えられます。

筆者は訳アリ物件買取Proを運営するアルバリンクさんを取材させてもらったことがありますが、相談だけでも応じてくれて、ていねいに対応してくれる点が印象的でした。

どうしても悪徳業者が心配な場合は「お断りサービス」を利用

性格的に「強めの営業を断るのが苦手」「なんとなく圧の強い不動産屋は怖い」という」場合は、ユーザーにかわって業者にお断りしてくれるサービスを選んでください。

現在、不動産一括査定サイトのなかで、お断りサービスがあるのはイエイだけです。イエイは不動産会社との関係性も良好なので、全体的にお断りしやすいのが特徴で、圧が強い不動産会社が少ないともいわれています。

今回利用した不動産一括査定サイトを詳しく解説

今回利用した不動産一括査定サイトを、宅建士の視点で解説します。不動産会社の視点から不動産一括査定サイトを評価している記事は少ないので、ぜひ参考にしてみてください。

Re:Guide(リガイド)

サービス名RE-Guide(リガイド)
運営会社株式会社ウェイブダッシュ
運営歴2004年~
提携不動産会社数約900社
特徴* 賃貸同時査定可能 * 農地などの住宅以外物件査定可能 * 地方に強い * 対応エリアが広い

リガイドは運営期間が非常に長いサービスですが、広告宣伝が地味であまり知られていません。

対応会社数も公式サイトでは900社とされています。しかし、実際に査定依頼を入力してみると、ほとんどのエリアで非常にいい成績を残しています。

リガイドの特徴として、賃貸同時査定ができたり、農地など住宅以外の物件の査定も可能です。筆者としては、かなりおすすめの一括査定サイトです。

イエウール

サービス名イエウール
運営会社株式会社Speee
運営歴2005年
提携不動産会社数約2,300社
特徴地方に強く地元密着型業者が多い

イエウールは不動産一括査定サイトの中でも存在感があり、登録不動産会社数、利用ユーザー数が多いのが特徴です。

地方に強く、地元密着型の不動産業者を探すときに向いています。

今回、複数の一括査定を比較テストしてみた結果、大阪と栃木県では成績が振るいませんでしたが、全国的に検証すれば違った結果が出るはずです。

地方の不動産を売却する場合は、以下の記事も参照してみてください。

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マンションナビ

サービス名マンションナビ
運営会社マンションリサーチ株式会社
運営歴2007年
提携不動産会社数2,500店舗
特徴マンションに特化し、 マンション売却に強い。マンション査定に特化した独自のシステム

マンションナビはマンションに特化した一括査定サイトです。マンションを売却に強い不動産会社が提携しており、価格査定対応の早さにも定評があります。

ただし、今回の実験では地方に強くないという傾向が見られました。

その理由は、地方にはマンションが少なく、その結果マンションに特化した不動産会社が少ないという点があげられるでしょう。ある程度都市部のマンションを売る場合に、マンションナビの利用を検討してみてください。

リビンマッチ

サービス名リビンマッチ
運営会社リビン・テクノロジーズ株式会社
運営歴2006年
提携不動産会社数全国数百社
特徴農地・山林・ビル倉庫などの特殊物件査定可能。 査定スピードが速い

リビンマッチは筆者が不動産会社の立場で最も長く利用した不動産一括査定サイトで、約10年間お世話になりました。

その理由は、一般的な住宅だけでなく、農地や山林、ビル倉庫など、様々な不動産の査定依頼ができることです。筆者は幅広くリゾート物件を扱っていたので、リゾート系の査定依頼も多数受け付けてきました。

相続した不動産などには特殊物件も多く含まれますが、そういった物件の査定では、リビンマッチがおすすめできます。

イエイ

サービス名イエイ
運営会社株式会社じげん
運営歴2008年
提携不動産会社数約1,000社以上
特徴運営歴が長い老舗の不動産一括査定サイト。安心して利用できる工夫もあり

今回紹介する不動産一括査定サイトの中では、リガイドに次いで運用歴が長いサイトです。老舗の不動産一括査定サイトと呼んでもいでしょう。

しかし時期が悪かったため、今回は成績が振るいませんでした。この記事のための調査が終わった後で、運営会社が変わり、パワーアップしています。

イエイはユーザーに代わって不動産会社に断りの連絡を入れる「お断りサービス」があります。しつこい営業が気になる場合は、まずイエイから試してみてください。

より詳しい記事

まとめ「宅建士が不動産一括査定をやってみた結論」

不動産一括査定は、信頼できる不動産業者を見つけるためのツールとして活用できます。しかし、査定額はあくまで参考程度と考え、対応してくれた不動産業者の人柄や知識を確認することが重要です。

  • 不動産一括査定にはデメリットもある
  • 査定額は不正確なので鵜呑みにしない
  • 不動産会社は人物や知識の豊富さで選ぶ

記事内では、実際に不動産一括査定を利用してみて「査定額の精度にばらつきがあった」という点を中心に解説してきました。もし「正確な査定を出してもらいたい」という希望がある場合は、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)をおすすめします。

三井のリハウスは、業界でもほぼ唯一「正確な価格査定」を大きく打ち出し、値引きせずにしっかり売り切ることを得意としています。

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また、不動産一括査定サイトのデメリットを理解して、うまく利用するためには、以下の記事もおすすめです。

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