不動産売却

南城市で不動産売却を成功させるための完全ガイド【2026年最新版】

南城市で土地や戸建ての売却を検討している場合、今は「売り時」と考えてもいいでしょう。

国土交通省が発表した最新データ(2025年地価公示)を見ると、南城市の不動産市場の「強さ」がはっきりと数字に表れています。

例えば、那覇市へのアクセスが良い「大里字稲嶺」周辺では73,000円/㎡(坪単価約24万円)という高値を記録。また、生活利便性の高い「佐敷字新開」エリアでも58,000円/㎡(坪単価約19万円)と、県内の地方都市のなかでも高い水準で取引されています。

ただし、金利上昇などの影響で、今後の地価動向がやや不透明化している点は気がかりです。

今が売り時かどうか? 悩んでいる方も多いと思うので、この記事ではその判断材料を提供します。

また、南城市の不動産売却にあたっては、特有の法規制(特定用途制限地域や景観計画など)に注意が必要です。意外に複雑な規制の網を理解しておかないと、売却後のトラブルに発展しかねないからです。

その点も含めて、本稿では「南城市で不動産売却を成功させるポイント」を解説していきます。

この記事はトーマ不動産株式会社の當間が制作しました。沖縄県内で18年間不動産売買に携わり、南城市での実務経験も豊富な専門家が、地元ならではの視点で実践的な情報をお届けします。

【2025年最新】南城市のエリア別地価動向と市場特性

まず、南城市全体の市場環境を把握しておきましょう。

2024年から2025年にかけて、国土交通省の地価公示だけを見ても、南城市の土地価格は最大で7.5%の高い伸びを見せています。

2024年→2025年の地価変動まとめ(南城市主要4地点)

地点(略称)R6価格R7価格変動額上昇率
南城-4(大里字稲嶺)68,300円73,000円+4,700円6.90%
南城-1(佐敷字新開)54,600円58,000円+3,400円6.20%
南城-2(佐敷字津波古)51,800円55,700円+3,900円7.50%
南城-3(佐敷字津波古)41,300円44,000円+2,700円6.50%

しかし、なぜ南城市の地価が上がっているのでしょうか。

最大の理由は那覇市中心部の価格高騰です。那覇市の住宅価格が一般世帯の手の届かない水準まで上昇した結果、実需層(実際に住むために家を買う人たち)が南城市の大里・佐敷エリアへ流出しています。

さらに、南部東道路の整備により那覇中心部へのアクセス時間が短縮され、「通勤可能なベッドタウン」としての地位を確立しました。
玉城や知念の海が見えるエリアでは、県外移住者や観光事業者からの需要も底堅く、一般の実需とは異なる価格形成がなされています。この二極化した市場特性を理解することが、高値売却の第一歩です。

この記事では、国土交通省不動産情報ライブラリに登録されたデータをもとに数値を計算しています

【佐敷エリア】実需層が支える安定市場で強気の価格設定が可能

佐敷エリア、特に「佐敷字新開」周辺は南城市の地価を牽引するエリアです。2025年の公示地価は坪単価約19万円に達しており、前年比でも堅調に上昇しています。

このエリアの強みは生活利便性の高さ。大型スーパー、学校、医療機関が集積しており、平坦地が多いために子育て世代からの引き合いが強いエリアです。

市場に出れば比較的早期に買い手が見つかる流動性の高さが特徴で、強気の価格設定が可能な、数少ないエリアといえます。

佐敷エリアの売却戦略

焦って売り急ぐのはもったいない状況です。じっくりと構えて条件のいい買い手を選別する余裕を持つべきでしょう。整形地で日当たりがよく、接道条件が整っていれば、査定額の105〜110%程度からのチャレンジ価格でスタートすることも視野に入ります。3か月程度様子を見て、反応が薄ければ適正価格に調整する戦略が有効です。

【玉城エリア】リゾート需要による「二極化」を理解する

玉城エリアは2025年市場で最も動きを見せた地域です。「玉城字垣花」などの地点では前年比+10.3%と、目立った上昇率を記録しました(沖縄県地価調査)。

ただし、玉城エリアの土地価格は「二極化」しています。海が一望できる高台やカフェ・ヴィラに適した隠れ家的な立地は、坪単価20万円を超えて取引される事例も出ています。

一方、集落内部の狭い道路に面した土地や眺望のない農地は需要が弱めで、価格上昇の波に乗りにくい傾向にあります。

玉城エリアの売却戦略

玉城の物件を売る際は、単なる「宅地」としてではなく、「眺望」「環境」を付加価値としてアピールする戦略が有効です。

特に移住希望者にとって、この地域の自然環境は大きな魅力となります。物件写真は必ずプロのカメラマンに依頼するなどして、海が見える角度や夕景など、最大限に魅力を伝える工夫が望ましいでしょう。眺望がない物件の場合は価格を相場の90〜95%程度に抑え、「価格の割安感」で勝負する方が現実的です。

【知念エリア】観光資源をいかした事業用不動産としての訴求

知念エリア(知念字知念など)の坪単価は平均7.4万円前後で推移しており、前年比+5%程度の上昇を示しています。

世界遺産「斎場御嶽」やニライカナイ橋などの観光資源を擁するこのエリアは、民泊や小規模ホテルの用地として、事業者からの注目を集めています。

ただし、上下水道の未整備地域や厳しい景観規制が存在するため、開発難易度が高い点が足かせとなります。

知念エリアの売却戦略

買い手は一般個人よりも事業者や移住希望者がメインとなる傾向があります。事業用としての収支シミュレーションを出せる不動産会社に依頼することで、成約率が高まると期待できます。

「観光地に近い」という立地特性を前面に出し、収益物件としての可能性を具体的に示すプレゼンテーションが効果的です。例えば、「年間200万人が訪れる斎場御嶽まで車で5分」「ニライカナイ橋の絶景スポットまで徒歩圏内」といった具体的な情報が買い手の投資判断を後押しします。

【大里エリア】那覇通勤圏の利便性を最大限に訴求

大里エリアは南風原町に隣接し、那覇へのアクセスが最も良好な地域です。地価ランキングでも常に上位を維持しており、坪単価は平均20万円を超える水準で推移しています。

「南城市の入り口」として最も都市化が進んでいる地域であり、実需層からの安定した需要が見込めます。競合物件も多いため、更地渡しにするか古家付きにするかといった「商品化」の戦略が重要です。

大里エリアの売却戦略

特に50坪〜60坪程度の整形地に分割できる土地は、建売業者からの買取需要も高く、現金化しやすいエリアです。

那覇通勤圏という地理的優位性を活かし、共働き世帯や一次取得者(初めて家を買う人)をターゲットとした販売戦略が有効です。「那覇中心部まで車で25分」「イオンタウン南城大里まで徒歩10分」など、生活利便性を具体的に数字で示すことが成約率向上につながります。

南城市特有の法規制を理解して売却トラブルを回避

南城市で最も注意が必要なのが「特定用途制限地域」の定め。「この土地に何が建てられるか」という判断を大きく左右します。

南城市では無秩序な開発を防ぐため、市全域(一部を除く)を「特定用途制限地域」として5つのゾーンに色分けしています。

南城市の特定用途制限地域の具体的な内容

このゾーンによって建築できる建物の用途や規模が厳格に決められており、不動産査定を依頼する際は業者がこの区分を正確に把握しているか必ず確認してください。

産業環境地区(14ha)

工場や危険物貯蔵施設の建築が可能です。住宅用地としては敬遠される可能性がありますが、事業用不動産を探している買い手にとっては貴重な用地となります。

幹線道路沿道地区(市街地型40ha/農村型142ha)

国道331号線などの主要道路沿いに指定され、店舗・飲食店・事務所の建築が可能です。ロードサイド店舗の出店用地として高値売却も狙えるエリアです。コンビニエンスストアやドラッグストアなどの事業者は常に好立地を探しており、幹線道路沿いの物件は需要が高い傾向にあります。

リゾート環境地区(193ha)

海沿いの景勝地や自然豊かなエリアが指定されており、ホテル・旅館の建築は許容されますが大規模工場は制限されます。海が見える場合は価値が跳ね上がりますが、建物のデザインや高さに対する規制も厳しいため、建築プランとセットで提案できる不動産会社に任せるのが得策です。

居住環境保全地区

静かな集落や住宅地を守るためのエリアで、店舗の床面積制限が厳しく設定されています。「静かな住環境」を求める買い手にとっては魅力的ですが、店舗併用住宅を考えている買い手には売りにくい面もあります。

南城市の制限と不動産売却における重要なポイント

南城市で不動産を売却する場合、事前に南城市役所の都市計画課で「都市計画地図」を確認し、自分の土地がどのゾーンに該当するか把握してください(都市計画地図は購入も可能)。

この情報を確認せずに売却すると、後で「聞いていた話と違う」というクレームに発展するリスクがあります。

景観計画による規制を「資産価値の保全機能」として伝える

南城市、特に知念・玉城エリアの一部では、沖縄らしい風景を守るために「景観計画」による規制が上乗せされます。

具体的には、建築物の高さが地域によっては8m〜10m以下(概ね2階建てまで)に制限され、3階建ての二世帯住宅を建てたい買い手には売れないケースがあります。

外観規制として屋根の形状(赤瓦風や勾配屋根の推奨)、外壁の色(原色の禁止)、フェンスの素材(生垣推奨)などにも制限があります。

さらに敷地面積の一定割合を緑化することが義務付けられる場合もあります。

景観計画の規制がかかる場合の戦略

景観計画の規制は一見デメリットに見えますが、実は「隣に景観を損なう建物が建たない」という資産価値の保全機能も果たしています。

売却時はこれを「南城市ブランドを守るためのルール」としてポジティブに伝えるといいでしょう。「将来にわたって良好な景観が維持される」という点は、特に移住希望者や別荘購入者にとって大きな魅力となります。

がけ条例と擁壁のリスクを事前調査で把握

南城市は高低差のある地形が多いため、沖縄県建築基準法施行条例(通称:がけ条例)の対象となる土地が多く存在します。

隣接地との間に2メートルを超える高低差(がけ)がある場合、県の確認申請を受けた強固な擁壁を設置するか、がけの下端からがけの高さの1.5倍程度の距離を離して建物を建てる必要があります。

擁壁工事には数百万円から場合によっては数千万円の費用がかかることがあります。

がけ条例の対象だとしても正直に伝えるべき

売却前に必ず「がけ条例の対象かどうか」を土地家屋調査士に調査してもらってください。これを隠して売却すると契約不適合責任を問われ、損害賠償請求や契約解除に発展するリスクがあります。

逆に事前調査を行い、「この土地はがけ地よりセットバックが必要ですが、その分価格を調整しています」と正直に伝えることで、買い手からの信頼を獲得しトラブルを未然に防ぐことができます。

2025年の税制優遇措置で数百万円の節税を実現

相続した実家等を売却する場合でも3,000万円控除の特例が使えます。

これは「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。譲渡所得(利益)から最大3,000万円を差し引くことができるため、うまくいけば譲渡所得税をゼロに抑えることができます。

2023年度の税制改正により、この特例の適用期限は「令和9年(2027年)12月31日」まで延長されました。2025年中に焦って売り急ぐ必要はなくなりましたが、要件を満たすための準備(荷物の撤去、解体見積もり、測量など)には時間がかかるため、早めに対策をスタートしましょう。

適用要件(すべて満たす必要があります):

  1. 昭和56年5月31日以前に建築された戸建て住宅であること
  2. 相続開始の直前において被相続人が一人で暮らしていたこと(老人ホーム入居の場合も条件付きで適用可能)
  3. 売却代金が1億円以下であること
  4. 「耐震リフォームをして売る」または「家屋を取り壊して更地として売る」こと

実務上は、買い手にとっても解体費用がかからず新築工事にすぐ着手できる「更地渡し」が最も一般的な選択肢となります。解体費用は通常100〜300万円程度かかりますが、3,000万円の控除を受けられれば大きな節税効果が得られます。

具体例で計算すると?

例えば、親が2,000万円で購入した土地を相続後3,500万円で売却した場合、通常なら譲渡所得1,500万円に対して約300万円の税金がかかります。しかし空き家特例を使えば、この1,500万円が3,000万円の枠内に収まるため税金はゼロになります。

長期譲渡所得と相続物件の所有期間計算

不動産を売却した際にかかる税金は、所有期間によって大きく異なります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」は税率39.63%(所得税・住民税・復興特別所得税込)、5年超の「長期譲渡所得」は税率20.315%となります。

相続物件の場合の重要なポイント

相続で取得した不動産の場合、所有期間は「親が取得した日」から引き継がれるというルールがあります。つまり親が30年前に買った土地を今年相続してすぐに売ったとしても、「長期譲渡所得(20%)」が適用されます。

このルールを知らずに「5年待とう」として売り時を逃すのは非常にもったいないことです。相続物件を売却する際は、このルールをぜひ思い出してください。

2024年以降の住宅ローン減税と買い手心理の変化

2025年度の税制では、住宅ローン控除における「省エネ基準適合住宅」の要件が厳格化されています。2024年1月以降に建築確認を受けた新築は原則として省エネ基準適合が必須となり、基準を満たさない住宅は住宅ローン減税の対象外となります。

これは売り手にとってどんな意味があるのでしょうか?

住宅ローン減税の恩恵をフルに受けたい買い手(特に若い子育て世帯)は、「省エネ性能の高い新築住宅」を建てられる土地を探しています。つまり断熱性能の低い古い空き家が建ったままの物件よりも、「解体更地渡し」条件の物件の方が買い手が住宅ローン減税を活用しやすいため、成約率が高まる可能性があります。

「古家付き」で売り出す場合でも、「解体更地渡し相談可」という条件を付けておくことで、より多くの買い手候補にアプローチできます。

南城市の不動産を「高く・早く」売るための5ステップ

この章では、確実に不動産売却を進めるためのポイントを、5ステップで紹介します。一般的なガイドに加えて、南城市特有の論点にも触れていきます。

なお、沖縄県全域における不動産売却ノウハウは、以下の記事を参照してください。

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STEP 1:書類準備と境界確認

査定を依頼する前に、固定資産税納税通知書(土地・建物の面積、評価額が記載)、登記済証(権利証)または登記識別情報、地積測量図・公図を確認してください。

特に重要なのが境界標の確認です。南城市の古い土地では境界が曖昧なケースが多々あります。境界が不明確だと取引後に弊害が出ることがあるため、査定額に影響することも。売却前に土地家屋調査士による「境界確定測量」が必要になる場合があります。

STEP 2:南城市に精通したパートナー選び

こと南城市に関しては「大手不動産業者だから安心」とはいい切れない条件が揃っています。南城市の不動産売却において最も重要なのは「地域の条例に詳しい専門性」だからです。

担当者に次のような質問を投げかけてみてください。

「この土地はどの特定用途制限地域に入っていますか」

「このエリアの景観計画の規制内容を教えてください」

こういった質問に即答できない担当者であれば、依頼を見送ることも検討しましょう。

STEP 3:戦略的な価格設定と媒介契約

査定額はあくまで目安です。時間に余裕があり高く売りたい場合は相場の110〜120%のチャレンジ価格からスタートし、3か月以内の成約を目指すなら適正価格(相場の100%)、相続税納税期限が迫っているなら処分価格(相場の90%以下)を検討します。

南城市の物件の場合、特定用途制限地域や農地転用などの複雑な説明を要するため、地元の有力な1社に絞る「専任媒介契約」が適しています。

複数の業者に依頼すると情報の食い違いが起きやすく売り手も買手も振り回される可能性があります。専任媒介であれば不動産会社も広告費をかけて本気で販売活動を行ってくれます。

STEP4:南城市の実情に即した物件PRで成約率を高める

南城市はエリアが広く、また各エリアによる特性が大きく異なっています。それを考慮した物件PRができる不動産会社を選びましょう。

査定後の打ち合わせ段階で「どのような広告を出すか」を確認しておいてください。移住者向けやセカンドハウス向けの物件であれば、写真を誰がどのように撮影するのかも重要です。

大里エリアであれば、不動産会社には「利便性や那覇までの近さをアピールする」と答えてもらいたいですし、景観条例の規制地域であれば「環境のよさをアピールする」と答えてもらいたいところです。

数値で表しにくい部分ですが、不動産会社のこういった知識・きめ細やかさが売却成功につながります。

STEP5:内覧対応と価格交渉で最終成約へ

内覧時は物件の魅力を最大限に伝える工夫が必要です。特に南城市の物件は「環境の良さ」が大きな売りになるため、天気の良い日の午前中に内覧を設定し、自然光が差し込む様子や周辺の景色を見てもらうと効果的です。

仲介不動産会社がこういった点をどのようにリードしてくれるのか、その点もチェックしておいてください。

価格交渉では安易に値引きせず、まず物件の価値を再確認してもらう姿勢を持ちましょう。「周辺の成約事例と比較してこの価格設定にしています」「この立地条件でこの価格は相場より割安です」といった根拠を示すことで、値引き幅を最小限に抑えられます。

まとめ:南城市不動産売却に適した時期到来

2025年、南城市の不動産市場は前年比+6.7%という顕著な上昇トレンドを示しています。需要が供給を上回る状況ですので、資産価値を最大化して現金化できるチャンスといえるでしょう。

もっと値上がりするのではないか、と考える事もできます。しかし、今後金利が上昇することや、チャイナマネーの減退などを考えると、そろそろ「売却に転じてもよい時期」と判断する材料が揃っています。​

南城市の不動産売却を成功させるカギは、特定用途制限地域・景観計画・がけ条例といった複雑な法規制を正確に理解している不動産会社を選ぶこと。

また、空き家特例や住宅ローン減税といった税制優遇措置を、売主買主双方が最大限活用することです。

トーマ不動産(株)は南城市に強い不動産売却のスペシャリストです。複雑な権利関係の整理、農地転用の可否判断、税理士と連携した節税プランの提案まで、ワンストップでサポートいたします。

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