最近の不動産査定は、実態より高すぎて「そんな価格では売れない」ということも多くなっています。
しかし、心ない不動産会社は、どうして高すぎる査定額を出してくるのでしょうか?
結論からいえば「とりあえず仲介を取りたい」という事が理由なのですが、それで不動産会社は儲かるのでしょうか?
この記事では、怖すぎる悪徳不動産業者の狙いを含めて、高額査定の裏側を解説していきます。
この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が作成しました。
不動産査定額が「高すぎる」ウラ事情と対策
筆者は宅建士として長年実務に携わってきましたが、同業者が出す不動産の価格査定が年々高くなりすぎていると感じていました。
しかし、なぜ不動産会社は実態よりも高すぎる価格査定を出すのでしょうか?
そこには不動産会社の狙いがあります。
ここからは、なぜ不動産の査定額が実態より高くなりがちなのか、そして高い査定額を信じてしまうとどんなデメリットがあるのかを解説していきます。
不動産一括査定サイトの乱立が拍車をかけた高額査定
この図のような広告を見かけたことがある人も多いはずです。
不動産のプロが見たら、4,180万円の査定額を出しているB社はアウトです。おそらく正しいのはA社の3,850万円あたりでしょう。不動産には「相場」というものがあるからです。
でも、一般の人が見たらB社が優秀に見えてしまうかもしれません。
一部の不動産会社は、一般の人のそんな錯覚を利用して「実態よりも高い査定額を出すことで仲介契約を取ろうという」と考えています。
その背景には、不動産一括査定サイトが増えすぎたことがあります。
不動産一括査定は最近、数え切れないくらい増えました。そのため、不動産会社同士の競争が無駄に激化してしまっています。
つまり、不動産会社も必死なのです。
6社や10社の不動産会社の中から自社を選んでもらおうとしたら、ある意味、悪目立ちするしか方法がないという会社もあるでしょう。
このような不動産会社の実態は、以下の記事でレビューしています。
上記の記事で報告したとおり、大阪でも栃木でも、ちょっと考えられないほど高額な査定を出してきた不動産会社がありました。
この点は、本当に注意してください。
不動産の価格査定はクルマの買取査定とはまったく別物
ここまで「不動産の価格査定が高すぎる」という現状について説明しました。
ところで、不動産の価格査定とはどういうものでしょうか? 実は、不動産の価格査定はクルマの価格査定とは全く異なります。
どのような中古車販売会社であっても、クルマの査定額を出したら必ずその価格で買い取ってくれます。
しかし、不動産の価格査定では、その価格で買い取ってくれる保証はありません。その価格で売り出してみることはできますが、市場で買い手がつかなければ売れません。
不動産の価格査定においては、買取の責任を負わないため、無責任に高すぎる価格査定を出してくる会社が存在しているということです。
高すぎる査定額のデメリットやリスク
そうは言っても、不動産の価格査定が安いより高い方が良いのではないかと思うかもしれません。しかし、それは間違っています。
高い査定額を信じて高く売り出してしまった場合、売却までに相当な時間がかかってしまいます。
そもそも不動産の売却にはイメージしているよりもかなり長い時間がかかります。
一戸建ての場合、普通に売り出して1年近くかかるのが普通です。つまり、高すぎる査定額で売り出した場合、年単位の売却期間がかかることになります。
そこで、最終的に値下げを繰り返し、相場以下でようやく成約するといったこともよく起こります。
高すぎる不動産査定額はユーザーにとって何のメリットもないのです。
売れにくくても不動産会社は平気
「高すぎる査定額でなかなか売れなければ不動産会社も困るのではないか」と思うかもしれません。しかし、実際にはそうではありません。
不動産会社としては仲介物件をたくさん持っていれば、いずれは売れるので特に問題はありません。そもそも他人の不動産ですから、売れても売れなくても大きな問題にはならないのです。
しかも、何か理由をつけて少しずつ値下げしてもらい、最終的に相場の価格になれば売却も可能です。いずれ仲介手数料が入ってくれば儲かります。
なかなか売れずに売主が困って投げ売り価格になれば、自社で買取をして大きな儲けになるかもしれません。
高すぎる査定額を出しても、不動産会社はほとんど困らないのです。
つまり、不動産会社が高すぎる査定額を出す背景には以下の2つのポイントがあるということです。
- 実態よりも高い査定額を出すと、ユーザーが仲介を依頼してくれやすい
- 価格が高すぎるとユーザーは困るが、不動産会社は困らない
このため、不動産会社には「実際よりも高い査定額を出して仲介を取ろう」と考えるインセンティブがあります。
正しい査定額かどうかを自分で確認する方法
上記のような背景から、ユーザーには不動産の査定額が正しいかどうかを、ある程度判断できる知識が求められます。
手間をかけずに確認する場合は、SUUMOやLIFULL HOME’S、ニフティ不動産などのポータルサイトで、近隣の物件をたくさん眺めておくだけでも充分に役立ちます。
さらに一歩進んで自分自身で概算査定額を出してみたいと思う場合は、以下の記事を参照してみてください。土地の価格をExcelファイルで計算できる、簡易査定フォームをダウンロードできます。
正確な査定を出せる不動産会社を選ぶポイント
筆者は大阪府と栃木県内の不動産を一括査定サイトで実際に査定してもらい、売却するというレビュー記事を作成しました。
この記事を作成するために実際に不動産一括査定サイトを利用してわかったのですが、いまだにコンピューターを使わずに査定を行っている不動産会社も多く存在します。
これほどAIが発達した時代に手書きで査定額の計算をしているというのは信じられませんが、実際には多くの会社が手書きやExcelで計算し、最後にWordにまとめるだけという対応をしています。
そこで、しっかりした査定システムを導入し、データベースに記録された取引事例に基づいて価格査定を行っている不動産会社を選ぶようにしてください。
三大都市圏などでは査定額に定評のある大手不動産会社を選ぶ
大手の場合、独自の不動産査定システムを開発したり、信頼性の高い不動産査定システムを導入しています。
その中でも筆者は、歴史的な経緯から不動産価格査定の正確さに力を入れている、三井のリハウスをお勧めします。
都市部であれば、まずリハウスの査定を取ってみてください。その金額はほぼ相場の価格と考えていいので、それを基準に売却戦略を立てることができます。
三井のリハウス|公式サイト
上記の公式サイトでも、三井不動産リアルティは第一に査定額の正確さを打ち出しています。
地方都市圏なら準大手不動産会社を探してみる方法も
三井不動産リアルティや住友不動産販売など、超大手不動産会社は少し地方に行くと対応していません。たとえば栃木県の県庁所在地である宇都宮市でも、超大手系はカバーしていません。
そこでもし超大手系が対応していないエリアの場合は、準大手系不動産会社が多数提携しているHOME4UやLIFULL HOME'Sを試してみてください。
HOME4U(ホームフォーユー)|公式サイト
LIFULL HOME'S|公式サイト
上記2サイトでは、住友林業ホームサービスや積水ハウス不動産グループなどの有力企業が提携しています。
地方部では不動産一括査定を利用して「査定の根拠」を確認
残念ながら、大手不動産会社は地方には対応していないことが多いので、地方の場合は不動産一括査定サイトを利用することになります。
その場合、自分自身で相場を把握し、売却したい不動産の価格をおおまかに理解した上で、不動産一括査定サイトを利用する必要があります。
筆者が実際に不動産一括査定サイトを利用してみてわかったことは、複数の不動産会社の中で査定が当たっているところもあれば、大きく外しているところもあるということです。
大きく外れた会社に仲介を依頼しないように注意してください。
沖縄ではトーマ不動産の正確な価格査定
沖縄県内であればトーマ不動産が正確な価格査定をお出ししています。AIを活用した不動産査定システムを導入し、査定の根拠を丁寧に解説して納得いただいています。
ファイナンシャルプランナーが在籍し、税制に関する疑問にもお答えしていますので、相続した不動産のご売却時にも安心して利用いただけます。マイホームを売却した後の確定申告が不安な方もぜひご相談ください。
「悪質な囲い込み」へ誘導する手法とは?
不動産の囲い込みとは、売却の仲介依頼を受けた不動産会社が、手数料を独占するため他社に情報を渡さずに物件を囲い込む事をさします。
この「囲い込み」については、以下の記事で詳しく解説しています。
筆者が考える最も怖い囲い込みとは、物件を塩漬けにして売主を干した上で、買取業者をかませてダブル両手を狙う手法です。
つまり、売主が金銭的に困るまで物件を塩漬けにしておき、いよいよ困ったら知り合いの買取業者に安く買いたたかせるという手法です。
- 買取業者が買い取る時に仲介手数料を両手でもらう
- 買取業者が売る時にも仲介手数料を両手でもらう
これで不動産会社は1物件で4つの仲介手数料を手にすることができます。
「まさか、そんな会社があるわけない」
と思うかもしれませんが、「ダブル両手」も「売主を干す」も残念ながら業界用語です。この業界に存在する悪習と考え、最大限の注意を払ってください。
実態より高い不誠実な査定を出す会社の中にこそ、そういった悪徳業者が混じっているのではないでしょうか?
まとめ「高すぎる査定額に惑わされずに不動産売却」
この記事では、最近の不動産価格査定が実態から離れ、高すぎるケースが多くなっている点について説明しました。また、高すぎる査定額を信じて売り出した場合の危険性についても解説しました。
不動産の価格査定は、本来相場の価格を出すものです。相場とは実際には1つしかないため、信頼できる不動産会社が6社あれば、6社とも同じような査定額を出すはずです。
そうでなければ、どこかの会社が相場を読み間違えていることになります。
しかし、実際には高すぎる査定額を出す会社が多く、その査定額を信じて高すぎる価格で売り出してしまう人も多いのが現状です。
逆に言えば、査定額の誠実さを見れば、どの不動産会社を選ぶべきかが分かります。
一般の方でも、以下の記事などを参照して相場をしっかり把握しておけば、高すぎる査定額を出してくる会社を選択肢から外すことができます。
結果として、効率よく良い不動産会社を選べる可能性もあります。
都市部の不動産売却であれば、筆者ならまず大手の不動産会社に査定を依頼します。その中でも、三井のリハウスは査定の正確性に定評があるので、まずはリハウスから試してみるのが確実でしょう。
三井のリハウス|公式サイト
沖縄県内では超大手の不動産会社は対応していませんが、トーマ不動産が正確な価格査定をお出ししています。トーマ不動産ではAIを活用した価格査定システムを導入し、正確な査定に加えて、その根拠も丁寧に説明しています。
沖縄県内の不動産であれば、上記のリンクから価格査定の依頼ができます。
また、不動産売却全般の知識を身に付けておくことで、あまり質の良くない不動産会社と契約してしまうことを避け、良い不動産会社を選べるようになるはずです。
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