家が売れたら、一般に以下のような手順で取引を進めていきます。
- 買主から「買付証明書」を受け取る(まだ成約ではありません)
- 仲介業者から売買契約書や重要事項説明書を渡され、内容確認
- 売買契約を締結し、手付金を受け取る。この後買主は銀行にローンの本申込み
- 登記に必要な書類(※1)を準備しておく
- 残金決済(残りのお金を受け取り、不動産を引き渡し)
- 翌年の確定申告と納税(不要な場合もあります)
以上の流れで、不動産の売却が完了します。
この記事では、必要書類の詳しい内容と、やっておくべき事柄を解説していきます。
登記に必要な書類
必須の書類等 | 登記済権利証(登記識別情報)、印鑑証明書、実印、固定資産税・都市計画税納税通知書(最新のもの) |
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ローン残債があれば | 銀行に抵当権抹消書類の作成を依頼(不動産会社が代行してくれることも) |
ローン完済していれば | 抹消がまだなら早めに抵当権抹消書類を入手 |
不動産売主の必要書類をまとめた記事もおすすめです。
家が売れたらすること
家を売却するプロセスの中で「何か手出しが必要なの?」という点は気になりますよね。
実は、不動産売却の流れ上、立替払いなどの手出しは一般的には必要ありません。家を売ったお金が手元に入った時点で、すべての精算を行うからです。
そういったお金の流れに加えて、「これもやっておいたほうがいい」という手続きについても解説します。
土地・建物など不動産を売ったら「いつお金が入る?」
家を売却した場合、代金は売却した不動産と引き換えに受け取ります。
この不動産の引き渡しと代金の全額受け取りを「残金決済」と呼んでいます。不動産売却の流れについては、別記事でまとめていますので、そちらをご参照ください。
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不動産代金のすべてを受け取る残金決済の時に、諸費用の支払いも行います。つまり、不動産を売却した際の代金から必要なお金を支払うということです。
そのため、あらかじめ立て替えておくなど、手出しが必要なことは通常ありませんので、安心してください。
確定申告が必要?判定方法と税金面の解説
不動産を売却して利益が出た場合、その利益は所得として課税されるため、確定申告が必要になります。
家を売ったときに確定申告が必要かどうかは、以下のポイントで判断します。
譲渡所得があるかどうか:売却価格から取得費(購入時の費用)と売却にかかった費用を引いた金額が譲渡所得です。取得費には土地や建物の代金、仲介手数料、登記費用などが含まれます。売却費用には仲介手数料、広告料、リフォーム費用などが含まれます。
特別控除の適用:マイホームを売った場合の特例や3,000万円の特別控除などが該当します。
譲渡所得があり特別控除を受ける場合は、この後に述べるように、確定申告が必要です。
確定申告の手順
確定申告が必要な場合、次の手順で行います。
必要書類の準備:確定申告書、譲渡所得の内訳書、売買契約書、登記事項証明書、領収書などを揃えます。確定申告書は税務署で入手できますし、内訳書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
申告書の作成:手書きで作成するか、国税庁のサイトを使って電子申告(e-Tax)できます。
税務署への提出:直接税務署に持っていく、郵送する、またはオンラインで送信(e-Tax)します。郵送の場合、2月16日までに消印が必要です。
納税:現金、公金、国税電子申告納税システム、e-Tax、クレジットカードなどで納税します。
確定申告をしない場合のペナルティ
確定申告をしないと、以下のようなペナルティが科せられます。
- 無申告加算税:本来の税額の10%または5万円の高い方が加算されます。
- 過少申告加算税:本来の税額と申告した税額の差額の10%または5万円の高い方が加算されます。
- 延滞税:納税期限を過ぎた場合、未払い税額に対して年5%の延滞税がかかります。
不動産売却時の確定申告は、必要書類を準備して期日を守って行うことが大切です。
譲渡損が出たら確定申告は不要
譲渡損失が出た場合、つまり、不動産を売却したものの損をした場合には確定申告の必要はありません。
ただし、以下の点には注意してください。
- 建物は減価償却する必要あり
- 3000万円控除などを受けるには確定申告が必要
建物は年々価値が下がります。その減価償却分を考慮しても赤字だった場合に、譲渡損が出たということになり、確定申告が不要となります。
この点、不安な場合は税務署で配布している「譲渡所得の内訳書」で計算してみることをおすすめします。
「譲渡所得の内訳書」PDF|国税庁
上記からもダウンロードできます。3ページめの「(2)建物の償却費相当額を計算します。」に書かれた計算式を埋めていきます。
上記の式で求めることができます。木造の場合、償却率は0.031、軽量鉄骨造の場合は0.036ないし0.025です。
自宅(居住用財産)を売却した時の特例は受けられる?
マイホームを売却した場合、俗に言う「3000万円特別控除」を受けられる可能性があります。これは、実際に居住していた家を売った場合、譲渡益(売って儲かったお金)から3000万円の控除を受けられるという制度です。
たとえば、マイホームを売った儲けが3000万円ちょうどなら、課税されません(控除される)。
注意点
- 3000万円控除は約3年に1度しか受けられません
- 確定申告時に「譲渡所得の内訳書」に記入します
- 長期保有・短期保有に関係なく利用できます
国税庁の解説も参照してみてください。
マイホームを売ったときの特例|国税庁
不動産売買時の書類一式を保管しておき、確定申告の時期に税務署で相談するのがおすすめです。確定申告の受付が始まる前の1月頃窓口に行くと、親切に教えてくれます。
住宅ローン「抵当権抹消登記」の必要性は?
一般的に、住宅を購入すると銀行または銀行の関連会社が抵当権を設定します。抵当権が設定されていることは、登記簿に記載されています。
実は、住宅ローンを完済しても、抵当権設定登記が自動的に抹消されるわけではありません。そのため、ローンを完済したものの、抵当権を抹消していない方も多いでしょう。
そこで、不動産を売却する際には、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権抹消書類の請求方法については、不動産会社が詳しく教えてくれるので心配はいりません。ただ、気になる場合は、あらかじめ取引先の銀行に確認しておくと良いでしょう。
「抵当権抹消書類がないために残金決済ができなかった」という可能性もありますので、入手タイミングには注意が必要です。
一般的には、仲介不動産業者がちゃんと「この時期に取得しておいてください」とお知らせをしてくれます。
「住み替え」の手順は複雑なので要注意
不動産を購入すること自体、一般の人にはなじみがなく、ややハードルが高い買い物になります。
住み替えの場合、売却と購入という不動産売買をダブルで行わないといけないので、難易度はさらに高くなります。そのため、不動産の住み替えに関しては、できるだけ慎重に対応した方が良いと言えます。
ところで、マイホームの住み替えには、以下の2つのパターンがあります。
住み替えの2つのパターン
住み替えは「買う」「売る」を並行して行うのですが、その流れは以下の2パターンに分けられます。
- 売先行(うりせんこう):手持ちの不動産を売却してから、新しい住み替え先を購入する。
- 買先行(かいせんこう):先に住み替え先を見つけて購入の申し込みをしてから、手持ちの不動産を売却する。
筆者のおすすめは圧倒的に「売先行」です。その理由を説明しましょう。
買先行と売先行のメリット・デメリット
一般的によく言われる買先行と売先行のそれぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
項目 | メリット | デメリット |
買先行 | 欲しい物件を確実に抑えられる。 引っ越しが1回で済む。 |
万が一売れなかった場合、多額の自己資金が必要になったり、二重ローンを組まなければいけなくなる危険がある。 |
売先行 | じっくり手持ち不動産を売却できるので、高値で売却できるチャンスが広がる。 手持ち物件をきっちり売却してから住み替えるので、二重ローンや資金ショートの危険性が少ない。 |
一旦手持ち不動産を売却しないといけないので、住み替えまでの間に仮住まいが必要になる可能性が高い。 すでに住み替えたい物件が決まっている場合、他の人に取られてしまう可能性が高い。 |
ざっくりとまとめると、手堅く行くなら「売先行」で、どうしても欲しい物件があって早く住み替えたい場合は「買先行」という判断になります。
おすすめは「買先行」ではなく「売先行」
では、なぜ売先行ではなく、買先行がいいのでしょうか。
確かに、目の前に魅力的な不動産があると、それをどうしても手に入れたいと考えて「買先行」で進めたくなる気持ちもわかります。
しかし、不動産の購入は投資やギャンブルではなく、衣食住という基本的な生活の基盤を整えることが目的です。手持ちの家がいくらで売れるかわからない状況で、新しい家を買うという不安定な購入プロセスはおすすめできません。
ただ、「本当にどうしてもすぐに押さえておきたい住み替え先がある!」という場合には、住み替えローンやダイレクトリースバックという裏ワザもあります。
ダイレクトリースバックは、モゲチェックを運用する株式会社MSFの商品なので、モゲチェック上で相談してみてください。
モゲチェック|公式サイト
モゲチェックは「自分にとって最も有利な住宅ローンを選べる」という無料サービス。ほぼすべてのメガバンクやネット銀行と提携しており、運営資金は銀行の広告費でまかなわれています。
住み替え時の不動産会社の選び方
マイホームを住み替える時、筆者であれば、仲介業者は大手不動産会社から選びます。その理由は、以下の2点です。
- 大手の持つ査定システムで正確な価格査定を出してもらう
- 時間の制限があるので、大手の販売力を利用したい
一般に大手不動産仲介会社は、価格査定を正確に出す能力があります。なかでも、業界でほとんど唯一「正確な価格査定」を全面に押し出している、三井のリハウス(三井不動産リアルティ)なら、信頼性の高い価格査定を出してくれるでしょう。
三井のリハウス|公式サイト
まとめ
家が売れたら、まず売買契約を締結し、その後買主の住宅ローン審査が通った時点で残金決済を行います。
残金決済の時点で不動産を引き渡し(登記名義も移転)、お金の全額を受け取ります。
ひとまず、これで家の売買は完了ですが、譲渡益が出た(買ったより高く売れる)場合、確定申告が必要になります。
3000万円控除など、税制面での特例を受ける場合も確定申告が必要なので、注意して下さい。
以下の記事では、不動産売却の流れと必要書類をガイドしています。あわせて読むと、より抜け漏れなく不動産売却を進めることができます。
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