「沖縄の家を売るために不動産一括査定サイトを利用しよう」と考えている人は、ちょっと立ち止まってみてください。
この記事では、沖縄での一戸建て住宅売却に関する知識と、不動産会社に求められる知見をわかりやすく紹介しています。
まずはこの記事を読んだ上で、本当に力になってくれる不動産会社を選んでください。不動産売却にあたって最高のパートナーが見つかるよう、なるべく具体的な記述を心掛けました。
なお、沖縄での不動産売却全般を詳しく解説した記事も準備しています。
この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が作成しました。
沖縄の一戸建て住宅市場
沖縄県内では、土地や建築単価の上昇により、一戸建て住宅の市場価格が高騰しています。また、持ち家の比率が減少して借家の比率が増えるなど、住宅需要の変化が顕著です。
こうした状況を踏まえ、沖縄では中古住宅の価格が上昇または高止まり傾向にあります。
価格が高騰した結果、住宅購入に対するハードルが高まり、特に若い世帯がが持ち家を購入できない状況も指摘されています。また、核家族化や世帯分離が進むことで持ち家比率が減少し、借家需要が増加している点も市場に影響を与えています。
結果として、現在沖縄の一戸建て市場は需要があるものの、価格が上がりすぎて手頃な物件の供給が少ないという状況です。
地価上昇を背景に不動産価格が上昇を続ける
その結果、不動産価格全体が上昇傾向にあり、後で述べるように一戸建て住宅の価格も上昇を続けています。
また、ウッドショックや輸入物価高騰も住宅価格を押し上げる要因となっています。
地名 | 最低価格 | 最高価格 | 平均価格 |
---|---|---|---|
那覇市 | 3,999万円 | 5,590万円 | 4,562万円 |
上記は、2025年1月17日現在「うちなーらいふ」に登録された木造新築の建売物件236件について調査したものですが、最低価格でさえほぼ4000万円、平均で4562万円ということがわかりました。
RCではなく木造であっても、新築住宅には簡単に手を出せないのが現状です。
持ち家率が下がり住宅の潜在需要が増加
沖縄県の持ち家率は、昭和53年(1978年)以降、減少傾向が続いています。昭和58年(1983年)からは全国平均を下回り、平成5年(1993年)には55.9%でしたが、平成30年(2018年)には44.4%まで低下しました。これは全国平均の61.2%と比較して16.8ポイント低い数値です。
持ち家率の低下の要因として、30代から40代の世代における持ち家取得の遅れが挙げられます。この世代の持ち家率は全国平均と比べて約20ポイント低く、持ち家取得が進んでいないことが指摘されています。
そこから、若い子育て世帯による住宅購入の潜在需要があることが指摘されています。
新築着工件数も大幅には伸びず供給不足
新設住宅着工戸数も、2014年以降約1万3000戸前後で横ばいの状態が続いており、市場が拡大しづらい状況が読み取れます。一時期マンション建設がブームとなったものの、その価格も高騰し、なかなか購入に踏み切れない状況となりました。
このように、沖縄の住宅市場は土地や建築費の高騰、持ち家比率の減少といった複雑な要因が絡み合っています。沖縄で家を売る際には、これらの市場の特徴や変化を十分に理解した上で、売却のタイミングや戦略を検討することが大切です。
築古物件でも買い手が見つかる傾向
上述したように、那覇市内では木造住宅であっても新築物件は4000万円以上が普通という状況です。
新築住宅に手を出しづらくなった事を背景に、中古住宅の価格も高止まり傾向にあります。特にRC構造の住宅は人気があり、築年数が経過していても高値で取引されることが少なくありません。
最近では築40年を超える物件であっても比較的短期間に買い手がつき、リフォームをしてさらに住み続けるという選択が増えています。そこで、中古住宅の売却にとって、現在はよいタイミングだということは確実でしょう。
沖縄の一戸建て住宅を売却するタイミングは?
問題は、この価格上昇傾向がどれくらい続くかという点でしょう。まだ上昇傾向が続くなら、もう少し保有していてもいいかもしれません。
しかし沖縄に限らず不動産売却では、地価が下がる前に動くほうが有利です。ただし、そのタイミングは読みづらく、ライフプランを含めた様々な要因も考え合わせて決断する必要がでてきます。
トーマ不動産ではファイナンシャルプランナーが在籍し、ライフプランから見た売り時と、市場の予測を踏まえた売り時の両面からご相談に応じています。
お問い合わせ|トーマ不動産
売却の意思が少しでもおありなら無料で、今のところ売る気がない場合でも有料のコンサルティングをお受けいたします(初回無料)。お気軽にお問い合わせください。
また、沖縄における不動産売却のタイミングについて、より詳しくは以下の記事で解説しています。
沖縄で家を売る手順と用意する書類
自宅の仲介依頼をするときに必ず用意すべき書類と言うのは、実は意外と少ないものです。売却検討の時点では、権利証はなくても構いませんし、登記簿謄本も仲介依頼を受けた不動産業者がすぐに手配をすることができます。
不動産会社に売却相談をする時点では、自宅の住所がわかれば後は何とかなるものです。
一方、仲介依頼完了後売買成立までの間に用意する書類は比較的多く、書類が不足すると所有権移転登記ができない場合もあります。ただし、この時点で用意すべき書類は、仲介不動産会社が案内してくれます。
仲介依頼をするときの手順
売買の仲介をお願いする不動産業者が決まったら、媒介契約書等契約書を締結します。この時点で絶対に必要な書類は実は「特にありません」と述べました。
とは言え不動産業者としては以下の書類があると助かるだろうと思います。
- 登記済権利証もしくは登記識別情報
- 土地建物の登記簿謄本もしくは登記事項証明書
- その不動産を購入したときの契約書と重要事項説明書(特に重要事項説明書
- 土地測量図や境界確認書
- 固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書
- 建築確認済証と検査済証
- 建築時の設計図書や各種の工事記録
- ローンの償還予定表
ローンの償還予定表を見ると、その物件の残債務(まだ払い終わっていないローンの残高)がいくらあるかが分かります。不動産業者としてはこの物件はいくら以上でうらなければいけないのか把握できるので、売却計画が立てやすくなります。また、売主さんに対する提案もしやすくなります。
固定資産税の額は、物件を案内したときに購入希望者の方からよく聞かれるものです。これがあらかじめわかると、物件の説明がしやすくなります。
土地の測量図や境界確認書は、なければなくても良いのですが、あると絶対に役に立ちます。不動産のトラブルで最も多いと言われているのは境界に関するトラブルです。そのため物件を案内した時お客さんから「境界はどこですか」と尋ね尋ねられることが多く、そこで明快に境界を示してあげると、買主の方も安心して物件の購入が検討できるようになります。
もし測量図などがない場合、不動産会社は法務局などで調査を行います。
販売中にすること
不動産の仲介依頼をしたときに査定書をもらうことになると思います。この査定書は一般的には3か月程度で売却可能な金額を出すものとされています。
何らかの事情で査定額よりも高く売りたい場合は、その分売却に長く時間がかかるということです。必ずしも、査定額で売り出さないといけないわけではありません。
販売期間中は、いつお客さんが見に来てくれてもいいように室内をできるだけきれいにして、外観も清掃しておくことが大事です。不動産の見学に来る方は決して不動産のプロではありません。第一印象がその物件を買うか買わないかの判断に大きく影響される、といわれています。
ですので自宅を上手に売却している方は、皆さん室内をきれいに片付けて、購入する方に気持ちよく見てもらう工夫をされています。
もし売却後の引っ越し先が既に決まっている場合は、早めに引っ越しをして建物を空き家の状態にしてしまうのがベストです。
空き家であれば買主さんは、納得のいくまで内覧することができます。
また、「うちなーらいふ」や「GooHome(グーホーム)」などのポータルサイトに掲載する写真も大事です。空き家であればすっきりきれいに撮影することができるので、この点でも空き家の方が有利です。
購入者が決まったらすること
不動産会社から「購入の申込が入りました」と言われたら、まずは価格の交渉になる場合が多いです。価格に関して交渉がまとまったら、契約から決済まで、以下の手順で行うことになります。
- 手付金を受領して契約書を交わす
- 必要書類を準備し、買主のローンの準備を待つ
- 残金を受け取り、所有権移転登記を行う
まず①の契約を締結する時点で、代金全額を受け取るわけではありません。契約時には手付金のみを受け取ります。
その後、残りの金額を受け取る「残金決済」までの間に売主、買主双方が契約に向けての準備を行います。
売主は所有権移転登記等に必要な書類を用意して、お金を受けるとると同時に所有権移転登記ができるように準備をしておきます。
その間に買主は、銀行などの金融機関に融資の本申込をして、銀行から確実に借入ができるように準備をしておきます。また買主も所有権移転登記等に必要な書類がありますので、そういった書類の準備を行います。
双方の準備が整った時点で③の残金決済と所有権移転登記を同時に行います。
残金決済の時に必要な書類は以下の通りです。この他に特に必要なものがあれば司法書士さんが指摘してくれます。
一般的に必要になるもの
- 免許証等の本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
- 登記の時点から住所が変わっている場合は住民票
- 銀行の口座情報(お金を振り込んでもらう口座の情報)
なお、一般的に所有権移転登記費用を司法書士に支払うのは買主とされます。司法書士の役割と、大まかな費用などは、以下の記事で解説しています。
販売中の自宅がなかなか売れない場合の対処方法は?
もし現在自宅販売中でなかなか売れないと言った場合、その理由は主に2つに絞られます。
- 値段が高すぎる
- 仲介している不動産会社の実力が足りない
設定に失敗することもあります。
そこで、価格に関しては、少し高めに売り出してみて、慎重に見定めながら下げていこともよくあります。「なかなか売れない」と焦ってしまうのはよくありません。
それでも早期に売却をしないといけない場合は、仲介会社を変えてみるか、一般媒介にして仲介業者をもう1つか2つ増やしてみるという方法が有効です。
とくに、住み替えの場合は手持ち物件が売れないと困ります。その場合の注意点と対策方法は、以下の記事にまとめています。
ローンが払えなくなったらどうすべき?
何らかの事情で住宅ローンが払えなくなると言うのは、誰にでも起こりうる問題です。もしローンが払えない、あるいは近い将来払えなくなりそうだということがわかったら、早めに対応することは大変重要です。
特にローンの滞納が既に起こっているのか、まだ起きていないのかという違いは大きく、状況を一変させてしまいます。
一旦ローンの滞納が起きると、期限の利益の喪失約款があるため、銀行などの金融機関は顧客に対して、ローンの残額をいちどに支払ってくれといえるからです。
そこで、できればローンの支払いが滞らないうちに、早めに売却の相談をすると不動産業者としても様々な手を打つことができてやりやすいです。
一方ローンの支払いが滞ってしまってからの売却する場合、競売の前の任意売却に相当する売却活動になることが多く、様々な制約が出てしまいます。このようなケースでは、経験のある不動産業者に任せることが大事です。
任意売却の注意点
任意売却では、銀行側との折衝能力も必要になりますので、通常の不動産売却の知識だけではなく、金融や税務署からの差し押さえ解除等の知識も必要となってきます。
筆者の場合、任意売却物件の売却依頼を受けると、まず銀行や市町村役場(税務課)との折衝に入ります。役所では税額を調査し、可能であれば減額してもらう交渉を行います(最近難しくなりました)。
また、その時に、時効にかかった住民税や固定資産税についてもきっちりと指摘しておきます。
その上で、金融機関と債務の額を確認し、いくらまで減額してもらえるかギリギリの交渉を行います。その際、最終的にクライアントの手元に引っ越し代として多少のお金が残ることを目標とします。
正直、不動産屋としては苦労が多く楽な仕事ではありません。そこで、快く引き受けて紳士に対処してくれる業者をいかに探すかがポイントになります。
税金や諸費用も押さえておきたい
不動産を売った時にかかる税金は、譲渡所得税と呼ばれます。譲渡所得税は不動産を買った時よりも高く売ることができて儲かった場合にその儲けに対してかけられる税金です。
少しわかりにくいですが短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類があり、税率はそれぞれ次の表の通りです。
所得税と住民税の合計 | |
---|---|
短期譲渡所得 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 20.315% |
短期譲渡所得は、売却した年の1月1日現在で「所有期間5年以下」の場合を指します。それ以外は長期譲渡所得となります。
また不動産を売却した時の諸費用には以下のようなものがあります。
契約書に貼付する印紙代 | 1000万円から5000万円の物件の契約なら1万円分 |
登記名義人住所変更時費用(登記簿記載の住所から転居している場合) | 数万円程度(司法書士事務所により若干異なります) |
仲介手数料(下記参照) |
売却益からこれらの費用を控除されると言うことを念頭に置いて資金計画を立ててください。
仲介手数料についても考慮しておきたい
売却時には成約価格のおよそ3%程度の仲介手数料が必要となります。
ちなみに、仲介手数料は不動産会社が売買契約の成立に向けて行う業務(物件の調査、価格査定、広告活動、契約交渉、契約書作成、引渡し手続きなど)に対する成功報酬です。
売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限(税抜) | 消費税(10%) | 仲介手数料の上限(税込) |
---|---|---|---|
200万円以下 | 売買価格の5% | 売買価格の0.5% | 売買価格の5.5% |
200万円超~400万円以下 | 売買価格の4% + 2万円 | (売買価格の0.4% + 2,000円) | 売買価格の4.4% + 22,000円 |
400万円超 | 売買価格の3% + 6万円 | (売買価格の0.3% + 6,000円) | 売買価格の3.3% + 66,000円 |
また、2024年7月1日以降、売買価格が800万円以下の低廉な空き家等の売買や交換の媒介に関して、仲介手数料の上限が引き上げられ、最大30万円(税別)となりました。
その点を含め、不動産仲介手数料についての詳しい解説は以下の記事にまとめています。
沖縄で不動産一括査定サイトを利用する場合の注意点
ここまで見てきたように、沖縄県の不動産市場は独自の特性があり、地域に精通した不動産会社との連携が重要です。
その点、不動産一括査定サイトを利用する前に、まずは以下の記事で紹介しているような信頼できる不動産会社に相談してみてください。
沖縄県内では不動産一括査定サイトがあまり効率的に機能していないため、上記の記事の優良不動産会社リストから、2~3社に当たってみるのがいいでしょう。
もし不動産一括査定サイトを利用するとしたら、まず以下のサイトを試してみてください。いずれも沖縄エリアに対応しており、エリアによっては複数の不動産会社が査定対応してくれます。
HOME4U
全国の優良企業と提携し、沖縄県の不動産売却実績が豊富な不動産会社とも連携しています。
HOME4U(ホームフォーユー)|公式サイト
イエウール
沖縄にも営業マンが足を運んで不動産会社を開拓しているため、エリアによりますが有料企業とのマッチングも期待できます。
イエウール|公式サイト
リビンマッチ
沖縄県内に多い市街化調整区域の農地や倉庫などの特殊物件も査定依頼ができます。
リビンマッチ|公式サイト
Re-Guide(リガイド)
不動産一括査定サイトの中で地方エリアに強いサービスで、地方であっても対応不動産会社数が多い傾向があります。
Re-Guide(リガイド)|公式サイト
その他の不動産一括査定サイトについて、詳しくは以下の記事で解説しています。
まとめ「沖縄で家を売る際の重要ポイント」
沖縄の住宅市場は、地価や建築費の高騰、持ち家率の低下など複雑な要因が絡み合っています。現在、新築一戸建て住宅は木造でも4000万円以上が普通になってきました。
新築住宅の高騰を受けて、中古住宅も価格が高止まり傾向にあり、特にRC構造の住宅は人気です。築古物件でも買い手が見つかりやすく、リフォーム需要の高まりも後押ししています。
そこで、築古物件であっても簡単に解体するのではなく、まずは信頼できる不動産会社に相談するようにしてください。
トーマ不動産では、そういったご相談にも対応しています。
お問い合わせ|トーマ不動産
また、現在不動産価格が上昇局面であるだけに、売却時期については決断が難しい状況でもあります。
このまま不動産価格は上昇するかもしれませんが、一方で地価が下がるリスクも存在します。そこで、売却時期の検討についても、幅広い知見を持つ不動産会社に相談してみてください。
価格査定のご依頼|トーマ不動産
沖縄の不動産市場を理解し、適切な売却戦略を立てることで、よりよい結果が期待できます
査定依頼はこちらからも行えます
できるだけ個人情報を入力せず「まずは査定額を知りたい」という場合は、以下の査定フォームをご利用ください。最低限の項目だけで、価格査定をご依頼いただけます。
また、トーマ不動産では決してしつこい営業は行いません。「売却にあたって心配事がある」「税金面が心配」といったご相談があれば、備考欄にご記入ください。価格査定に加えて、弊社でできる限りのアドバイスをお送りします。
かんたん査定フォーム