PR 不動産売却

土地の売買における「価格の決め方」と13の価格変動要因を紹介

土地の売買価格を決めるのは、簡単ではありません。この記事で解説する様々な要素が絡み合っているからです。

ただ、土地を売買するか検討するために、概算の価格を知りたいという場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が便利です。

ただし、こういったサイトで入手できるのは「相場価格」であり、正確な市場価格ではありません。

正確に価格を設定するには、可能であれば大手不動産会社の価格査定を出してもらってください。大手はコンプライアンス的に間違った査定額を出せないため、概ね正しい査定額を出してくれるからです。

この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が作成しました。

押さえておきたい大手不動産会社の正確な価格査定

もし対象とする土地が市街地にある場合は、まず大手不動産会社に価格査定を出してもらってください。

大手の査定は正確ですし、筆者の経験上、しつこい営業をしてこないのもメリットと考えています。

そもそも不動産会社の査定額は正しいのか?

この記事の後半を読んでいただければ分かりますが、不動産の価格決定要因は複雑で、正しい査定額を出すのは意外と難しい作業です。

その点、中小不動産会社はいまだに手作業で査定を行っているケースが多く、査定額が不正確という傾向があります。

以下の記事では、実際に大阪府下と栃木県下で複数の不動産一括査定サイトを試したレビューを掲載しています。これを読めば不正確な価格査定の実態がわかるはずです。

関連記事

おすすめを1社あげるとしたら三井のリハウス

大手不動産会社の中でも、価格査定に定評があるのは三井のリハウス(三井不動産リアルティ)です。

下記の公式サイトでも、価格査定の正確さと値引きせずに売り切っている実績を大きくアピールしています。

三井不動産リアルティの価格査定が正確なのには理由があります。1980年代に中古不動産業界に参入したときから、査定方法の統一や、不動産流通の正常化を掲げていたからです。

そういった背景について、詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事

地方都市や過疎地での価格査定の依頼方法

ここまでに述べたように、大手不動産会社の価格査定は正確なのですが、残念ながら都市部しかカバーしていません。

そこで、地方都市や町村部の場合は、不動産一括査定サイトを利用することになります。

ただ、不動産一括査定サイトの査定額にはバラツキが大きく、全てを信用していいわけではありません。

以下の記事では、不動産一括査定サイトを利用して地元不動産屋を探すノウハウを解説していますので、まずは一読してみてください。

関連記事

不動産会社丸投げでなく自分でも相場をチェック

筆者は、たとえ大手不動産会社に価格査定を出してもらった場合でも、自分で最査定して確認する方がいいと考えています。

ましてや、不動産一括査定サイトで中小の不動産会社に査定してもらった場合は、自己査定はマストといえるでしょう。

最低限、このすぐ後で紹介する「不動産情報ライブラリ」や「全国地価マップ」を利用して、そのエリアの相場価格だけでも把握しておいてください。

国土交通省の不動産情報ライブラリを利用

土地価格を調べる無料ツールとして、他の記事でも詳しく解説しているのが国土交通省の「不動産情報ライブラリ」です。

下記のサイトにアクセスして「データの検索・ダウンロード」ボタンをクリックすると、検索画面に入ります。

ここで、地域を指定し、種類を「土地」に設定するだけで、そのエリアの実際の取引データを一覧表示することができます。

詳しくは以下の記事を参照してください。

関連記事

ちなみにこの「不動産情報ライブラリ」には他の機能もあります。おすすめなのが、土地取引件数の推移グラフ表示や、市町村単位での土地価格の推移グラフ表示(主要市町村)です。

上記グラフは岡山県倉敷市阿知(倉敷駅南東の商業エリア)の一例です。近年の地価動向トレンドをざっくりと把握できるため、一度見ておいてもよいでしょう。

路線価から相場を推定する方法

相続税路線価と固定資産税路線価は、土地の税額を算出するための基準ですが、それぞれ異なる数値に設定されています。

また、上記いずれの路線価を確認する場合でも、筆者は「全国地価マップ」を利用しています。

どちらかというと固定資産税路線価表のほうがわかりやすいので、そちらを元に解説します。「全国地価マップ」にアクセスしたら、「固定資産税路線価等」を選択してください。

地図から見たいエリアを探すと、以下のように矢印と数字が載せられた地図が表示されます。

調査したい土地の前面道路に書かれた数字が、固定資産税評価額です。たとえば「41300」と書かれていれば、固定資産税評価額は平米当たり41,300円となります。

1. 計算の基本式

  • 相続税路線価から評価額を算出する場合

評価額 = 相続税路線価 ÷ 0.8

※相続税路線価は、公示地価のおよそ80%に設定されています。

  • 固定資産税路線価から評価額を算出する場合

評価額 = 固定資産税路線価 ÷ 0.7

※固定資産税路線価は、公示地価のおよそ70%に設定されています。

2. 計算例

例1:相続税路線価の場合
  • 相続税路線価が 82,700円/㎡ の場合:

評価額 = 82,700 ÷ 0.8 = 103,375円/㎡

例2:固定資産税路線価の場合
  • 固定資産税路線価が 58,000円/㎡ の場合:

評価額 = 58,000 ÷ 0.7 = 82,857円/㎡

3. 坪単価への変換方法

1坪 = 3.30578㎡ なので、評価額を坪単価に変換する場合は、以下の式を使います。

坪単価 = 評価額(円/㎡) × 3.30578

地価公示と地価調査を利用する方法

地価公示と地価調査は、毎年国や都道府県が発表する基準価格です。公的機関が鑑定評価を行って発表する数字なので、一定の信頼性がありますが、実勢価格とは必ずしも一致しない点に注意が必要です。

地価公示と地価調査の基本情報

項目地価公示地価調査
発表主体国土交通省都道府県
調査時点1月1日7月1日
発表時期3月9月
対象地域全国都道府県が選定した地点
価格の種類鑑定評価価格鑑定評価価格
目的不動産市場の透明性向上、公共事業の指標市場動向の補完

地価公示・地価調査の検索方法

  1. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」にアクセス
  2. 「データの検索・ダウンロード」を選択
    • 検索画面で調べたい地域を選択
    • 対象を「宅地」または「商業地」に切り替え、土地の種類を指定
    • 調査結果をCSVでダウンロードし、Excelで整理すると便利です

 地価公示・地価調査を使った相場の推定手順

手順1:調査対象地域の公示価格・調査価格を確認する
  • 公示価格(1月1日時点)と地価調査価格(7月1日時点)を利用して、その年の土地の価格動向を確認します。
手順2:近隣の価格データを集めて比較する
  • 同じエリア内、もしくは類似したエリアの価格を複数集め、平均単価を算出します。
  • 例)エリア内の公示価格が 300,000円/㎡320,000円/㎡ であれば、平均単価は 310,000円/㎡ となります。
手順3:時期による価格変動を考慮する
  • 公示価格(1月)と地価調査価格(7月)の違いを見て、価格変動の傾向を把握します。たとえば、地価調査価格が公示価格より高ければ、年内に土地の価格が上昇している可能性があります。

最近地価が大きく変動しているエリアもあります。三大都市圏や沖縄県、北海道の一部など、地価の動きが大きいエリアでは、過去のデータも見ておくといいでしょう。

土地の価格に影響する13の重要なポイント

ここまでは「エリアの相場を出す方法」について見てきました。しかし、隣り合う2つの土地で、坪単価が1割から2割違うこともよくあります。

それは、個別の不動産が置かれた状況による価格の違いがあるからです。

この章では、不動産の個性に着目した価格変動要因をリストアップしていきます。最終的には、ここで挙げた要因が細かな価格の違いにつながっていきます。

道路(接道)による土地価格の違い

敷地と道路の関係によっては、その敷地に建物を建てられないケースもあります。そこまでいかなくても、建築プランが限定されたり、上下水道の引き込みに余分なお金がかかることもあります。

ここでは主に敷地と道路の関係によって、どのように土地価格が変化するかを解説していきます。
なお、道路の種類によって建築できるかできないかを判断する場合は、以下の記事が参考になります。

関連記事

幅員が狭い(4mを切っている場合)

上の図のように幅員2.7mの土地に接している土地の場合、建築にあたっては65cm敷地を後退し、その部分を道路にしなければ建築できません。これをセットバックといいます。

上の図の土地の間口が10mであれば、6.5㎡が道路にとられることになります。

そのため、このセットバック部分の6.5㎡は土地としての価値はゼロと判断すべきであり、土地価格を決定する際にこの部分を除外することになります。

私道を含んでいる場合

大きな土地を、小規模住宅地として分筆して販売するミニ開発。上の図のような売土地はよく見かけます。

この場合、分譲地の中央の道路が私道であることもよくあります。

私道なので持ち分があり、各分譲地に道路の持ち分(所有権)が付いてきますが、これは土地の価値に参入できません。

角地など複数道路に接道している場合

図の緑色の土地を査定する場合、近くにある土地(黄色でマークした土地)を取引事例として利用します。

しかし、黄色の土地が一方道路に面しているのに対して、緑色の土地は角地(2つの道路に面している)なので、価値が高いと判断できます。

2つの道路から出入りできることで、建物の建築プランをたてる際に有利ですし、実際の利便性も高いというメリットがあります。

これだけで土地の価格が10%前後変わってくることも珍しくありません。

道路より低い土地・高い土地

図のように道路から低い土地の場合、様々なデメリットが考えられます。

まず自動車の出入りが不便で、場合によっては土地を造成して駐車場を設置する必要があります。

また、土地の高さよりも上に下水本管が通っていることもあり、排水設備に余計な費用がかかります。

また、上からのぞき込まれることによるプライバシー侵害の問題もあります。

これらのデメリットを考慮し、道路より低い土地の価格は相場よりも低く見積もる必要があります。

道路より高い土地の場合は、多少デメリットは少ないのですが、上の図のように法面があるとその部分の用途が限られてしまいます。

また、自動車の乗り入れが不便であったり、駐車場が作りにくいなどの問題もあります。

こういった土地の法面については斜度によって価格を変えることになります。

傾斜がきつくて全く利用できない場合はほとんど価値がないものと考え、緩い傾斜で利用価値がある場合は一定の価値を認めるようにします。

専用通路を通る旗竿地

上のような2つの土地がある場合、奥に位置するA区画は狭い専用通路を通って敷地にアプローチします。

旗竿のような形をしていることから、旗竿地ともよばれる地型です。

この専用通路部分も一応敷地には入りますが、かなり低い価格で見積もる必要があります。

方角(道路に接する方角)

図の緑色の土地を査定する場合、近くにある黄色の土地(事例地)を参考に価格査定を行います。しかし、道路を挟んでいるので、接道方向がまったく逆です。

事例地は南側に道路があるので、一般に建築プランが立てやすく、そのぶん価格を高く見積ります。

査定地は北向きなので若干価格は低くなります。これだけで0.5~1割程度の差が付いてもおかしくありません。

間口が狭い土地

図のように、曲がり角の角部分に接しているために間口が極端に狭い土地もあります。

この場合、自動車の出入りが不便だったり、建築プランに制限ができることもあります。そこで、その分の価値を差し引いて土地価格を決定します。

土地価格に影響するその他の要因

ここでは、土地価格に影響する様々な要因のうち、よく見るものをリストアップしていきます。

実際の土地売却価格の決定にあたっては、相場の価格を基準に、ここであげた要因を加味して計算していきます。

不動産の査定ソフトは、これらの作業を自動で行ってくれています。

土地の面積過大・過小・不整型

面積過大とは、一般的な住宅需要に比べて広すぎる土地のことです。住宅地では、50~100坪程度が需要の多い面積ですが、それを大きく超える場合、一括での売却が難しくなります。

面積過小とは、住宅需要に対して狭すぎる土地のことです。20坪以下の狭小地は、一般の住宅用地としては敬遠されることが多く、需要が限られます。

面積過大で大きすぎる土地の場合は、一般に適切な広さに分筆してから売却すると、相場の価格での売却が可能です。ただし、測量・分筆にかかる費用を先払いする点に注意が必要です。

また、不整形地とは四角形ではなく、入り組んだ形や旗竿地(細長い通路部分がある土地)など、使い勝手が悪い土地を指します。建築プランが限定されたり、土地内に使えない部分ができてしまうなどの問題から、土地価格が低くなる傾向があります。

不整形地の価格補正については、国税庁の以下の記事も参考になります。

地中埋設物などがある

敷地内の地中に、以前の建物の基礎や浄化槽などが埋まっていることはよくあります。

一般的には、売買の前にこういった地中埋設物を撤去しておくことが多いのですが、売主の都合でそのまま売却するというケースもあります。

その場合は、埋設物の撤去費用相当分を土地価格からマイナスすることになります。

隣地からの越境物がある

隣の土地の塀や、屋根の一部が敷地内に越境していることもあります。その場合、土地価格を下げることになります。

一般的には、越境物により利用できない部分の土地価格を減額するのが無難でしょう。

より確実な方法としては、越境されている部分を分筆してしまい、隣地所有者に買い取ってもらうという方法が考えられます。

そうすれば境界に関する問題を次の所有者に引き継ぐことがないため、安全に取引を進めることができます。

土地上に古家がある場合

土地上に古家がある場合、街中であれば古家の撤去費用を土地代金から減額することもあります。また、最初から古家を解体し、更地にしておいたほうが売れやすいことも多々あります。

しかし、地方ではたとえ古家でも建物がある方が売れやすい場合もあります。

地方で古家ありの土地を売り出す場合、必ず地元事情に詳しい不動産会社の意見を聞くようにしてください。

関連記事

嫌悪施設・高圧線などがある場合

高圧線の鉄塔が近くにある場合、あまり環境的に好ましくないだけでなく、建築に制限が課せられる場合もあります。

建物の高さが制限されて平屋しか建てられない場合、土地の価値をかなり低く見積もる必要が出てきます。

また、廃棄物処理場、ガスタンク、墓地、刑務所などのいわゆる嫌悪施設が近くにある場合も敬遠される傾向があります。そのため、土地の価格を低く見積もる必要があります。

まとめ「不動産の価格に影響する複雑な要因」

本記事では、価格決定の方法や注意点について宅建士が詳しく解説しました。内容をざっくり振り返っておきましょう。

まず、概算の価格を知りたい場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を試してみてください。

しかし、ここで得られるのはあくまで「相場価格」であり、正確な市場価格ではありません。

正確な価格を設定するためには、大手不動産会社の価格査定を依頼することがおすすめです。特に「三井のリハウス」は価格査定に定評があります。

上記の公式サイトでも分かるとおり、三井のリハウスは「正確な価格査定」を前面に打ち出している、おそらく唯一の不動産会社です。

ただし不動産会社に査定してもらう場合でも、自分でも相場をチェックしておくほうが安心です。

前述した「不動産情報ライブラリ」のほか、「全国地価マップ」を活用して路線価から相場価格を推定する方法も利用できます。

価格変動要因解説
幅員が狭い道路(4m未満)セットバックが必要で、その部分は土地の価値に含めない
私道を含む場合私道の持分はあるが、土地の価値には参入できない
角地や複数道路に接道2つ以上の道路に接し、利便性や建築プランの自由度が高い
道路より低い土地・高い土地低い土地はデメリットが多く価格減少。高い土地も法面の影響で価格に影響
旗竿地(専用通路を通る土地)狭い通路で接道し、使い勝手が悪い
方角(接道方向)南向きは人気が高く価格増加。北向きはその逆
間口が狭い土地建築プランに制限が出る可能性がある
面積過大・過小・不整形地需要が少なく売却が難しい
地中埋設物の有無撤去費用が発生するため、その分を減額
隣地からの越境物利用できない部分が生じ、問題解決が必要
古家の有無解体費用が必要だが、地方では建物ありの方が売れやすい場合も
嫌悪施設・高圧線の存在環境面でのマイナスや建築制限で不利になる場合あり
その他の要因(上下水道など)追加費用がかかる場合、価格に影響

沖縄県内の土地価格ならトーマ不動産へ

価格査定はエリアによる違いも加味する必要があります。沖縄の不動産はとくに、沖縄の事情を知っている会社にしか正確に査定できません。

トーマ不動産ではAIを活用した正確な不動産価格査定システムを導入し、正確な価格査定書と、売却提案を行っています。

また、土地を売却した際には税金についても調べておく必要があります。トーマ不動産ではFP有資格者が在籍し、税制についてのご説明も可能です。

-不動産売却