不動産の価格査定には様々な方法がありますが、不動産業者が利用している最も実践的な方法は取引事例比較法です。
この記事では、簡易的な自己査定が可能なEXCELの土地査定ファイルを公開しています。ぜひダウンロードしてみてください。
EXCEL土地査定シートただし、不動産の価格査定にはある程度の経験が必要です。また、正確な価格査定にはレインズなどの取引事例も必要になります。
フリーソフトによる価格査定はあくまで簡易的なものと考え、参考として利用するようにしてください。
記事中で公開しているEXCELファイルはフリーソフトとして自由にご利用いただけます。ダウンロードできない場合は、お問い合わせください。
フリーソフトで自宅や所有物件の価格を概算査定
この章では、土地の価格をざっくりと知りたい方のために、EXCELの概算査定ファイルを公開し、使い方を説明します。かつては不動産のプロも、こういったワークシートを利用して価格査定を行っていました。
「売る気はないが概算価格を知りたい」という場合は、目安となる価格を把握できます。また、不動産価格査定の仕組みを知りたい場合にも、一度計算してみると参考になります。
EXCELで土地価格を概算査定するファイル(フリーソフト)
ここでダウンロードできるのは、IT化以上前に不動産業者が実際に使っていた、土地価格計算用のEXCELワークシートです。簡易的ではありますが、おおまかな概算査定には使えます。
EXCEL土地査定シートダウンロードが完了したら、以下のデータを用意します。
- 査定したい土地の近くの取引事例(なければ売出事例)
- 査定したい土地の登記簿等(あれば)
査定方法は簡単ですが、以下に手順を説明します。
ダウンロードできない場合はお問い合わせフォームから連絡いただければ、メールでお送りします。
取引事例データを用意する方法
不動産のプロはレインズ(不動産流通機構)に登録された豊富な取引事例データを元に査定実務を行います。
一般の人はレインズを利用できないので、suumoやLIFULL HOME'Sなどを参照し、高すぎるものや安すぎるものを省いた一般的な売出事例を用意してください。
本来は成約事例を使用して計算しますが、簡易的な査定なので、売出事例で計算しても問題ないでしょう。
査定したい土地の資料を用意(登記簿や売買契約書など)
できれば正確な面積で計算したいので、登記簿や購入時の売買契約書があれば用意してください。毎年5月頃に送られてくる固定資産税の納付書でもかまいません。
査定地と事例地の面積を記入
資料を見ながら、査定地と事例地の面積と価格(事例地の価格)を入力します。坪数で記入しますが、平米数しかわからない場合は、平米数を3.30578で割ってください。
1坪はおよそ3.30578㎡です。
その他のデータを入力
最後に、事例地と査定地両方のデータを入力すれば完了です(事例地・査定地それぞれの特徴をポイント化して比較します)。
「中心街までの距離」という項目は駅までの距離を選択してください。駅まで徒歩圏であれば、徒歩圏用の中心街までの距離を入力します。数値はプルダウンメニューになっているので、その中から選んでください。
少し古いフォーマットなので、「最寄り商店街までの距離」という項目があります。これは近隣スーパーなどへの距離を入力するようにしてください。
道路の方向や道路の状況を入力すれば、おおむね完了です(敷地から見て道路がどの方角にあるか)。
その他の項目に関しては特に触らなくても、ざっくりとした計算なら問題ありません。
ただし、「地型」という項目は不整形な土地の場合、チェックを入れておくとより確実です。排水施設が下水道完備か浄化槽などによっても評価が変わるので、余力があれば入力してみてください。
出てきた金額は参考価格レベルではありますが、相場感は十分につかむことができます。
マンションはAIで相場を計算するのがおすすめ
マンションの価格設定に関しては、取引事例を比較して算出します。理想的なのは同じマンションの別の部屋が売り出されたデータがある場合です。この場合、階数や開口部の向き、間取りなどを比較して価格を算出します。
こういった作業はAIでも比較的正確に行うことができます。マンションナビなどマンション専門の不動産査定サイトが提供している、AIによる相場情報でもかなり正確です。
マンションの相場価格を簡単に知りたい場合は、匿名で今すぐにこの情報を確認できます。
中古マンション簡易査定シミュレーション|マンションナビ
より正確な、不動産会社による査定を希望する場合は、以下のリンクから査定依頼ができます。
マンションナビ|公式サイト
「アップライト不動産査定」もダウンロード可能
上記は、このサイトの構成や原稿作成を担当しているアップライトが制作した、無料の不動産価格査定ソフトです。
残念ながら開発環境のバージョンアップがなくなったため、現在は開発を終了しています。
そのためWindows 11での動作は保証していませんが、Windows 10なら使えるはずです。国土交通省の膨大なデータを利用するソフトなので、実勢価格を把握することができます。
アップライト不動産査定|Vector
使い方は以下のページを参照してください。
アップライト不動産査定|公式サイト
所有不動産の概算価格を踏まえて売出しをする
筆者は、悪質な不動産会社を避けるためにも、自己査定は必須だと考えています。売出しが決まったら、不動産会社が出してきた価格査定が、きちんと相場の範囲に収まっているかをチェックする必要があるからです。
最近、不動産会社の価格査定には信用できないものが混じっていますから、とくに注意が必要になっています。
また、不動産会社を選ぶ際の、その他の注意点もあります。以下の記事で確認してみてください。
フリーソフトと有料ソフトの違いは?
不動産のプロが使っている有料の価格査定ソフトと、ここで紹介している無料ツールやフリーソフトとの違いは何でしょうか?
不動産のプロが使っている価格査定ソフトでは、レインズなどの取引事例データを利用し、実際にいくらで売れたかという情報に基づいて査定額を算出することができます。
また、事例地と査定地、事例マンションと査定マンションを様々な観点からポイント化し、価格を補正していきます。このように、有料ソフトの場合はより正確な価格査定を行えるよう工夫が凝らされています。
おすすめは「既存住宅価格査定マニュアル」
不動産のプロ向けの価格査定ソフトでおすすめを1つだけ挙げるとしたら、筆者も長年利用してきた「既存住宅価格査定マニュアル」です。
これは公益財団法人不動産流通推進センターが制作している価格査定ソフトで、レインズのデータさえあれば、かなり正確な査定ができます。
以前はCD-ROMから事務所のパソコンにインストールする方式(オンプレミス)でしたが、現在はクラウドで処理するソフトになりました。
公益財団法人が作っているため価格が非常にリーズナブルで、使っている不動産業者もかなり多いソフトです。
既存住宅価格査定マニュアル|公益財団法人不動産流通推進センター
不動産会社は主に「取引事例比較法」で査定額を算出
不動産の価格査定には、取引事例比較法、原価法、収益還元法などいくつかの方法があります。
このうち、土地やマンションに関して不動産会社が主に使用するのは取引事例比較法です。これは最近販売された物件の価格(取引事例)をもとに査定額を算出する実践的な方法です。
現在の相場に基づいた価格を算出するのに適しています。そのほかの査定方法については、以下の記事で解説しています。
実は難しい「取引事例」の選び方
不動産会社の実力が試されるのは、取引事例比較法で使用する取引事例の選び方です。
不動産の取引には様々な背景や事情があり、中には親戚間の取引で非常に安かったものや、逆にどうしても欲しい不動産を高値で買った場合などもあります。
これらの特異な事例を排除し、相場の中央値に収まるような事例をいかに見つけるかが、不動産業者の腕の見せ所です。
あまり慣れていない人にとっては、事例の探し方が難しいと感じるかもしれません。どうしても自信がない場合は、正確な価格査定を出せる不動産会社に、セカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。
「無料の査定サイト」が適しているケース
ざっくりとした査定価格を知りたいだけなら、フリーソフトを試してみるだけで充分です。ただし、今後に向けて売却計画を立てる場合や、価格によって売却を検討したい場合は、より正確な査定額に基づいてプランニングした方が確実でしょう。
価格査定の経験がある宅建士であれば、多少土地勘のない場所でもそこそこの精度で価格を算出することができます。
しかし、全く未経験の方が査定をするとなると、自分がどれぐらいの誤差で価格設定をしているのかがわからなくなってしまいます。
相場感のない遠隔地なら不動産無料査定サイト利用がおすすめ
もし相場感に自信がない場合や査定方法がまったくわからない場合は、不動産の無料査定サイトを利用するのが無難でしょう。
筆者も沖縄に住みながら、横浜の所有マンションを売却した際や、和歌山に近い大阪府の土地建物を売却した際には、不動産の無料一括査定サイトを利用しました。
遠方の土地や建物を相続した場合なども、査定サイトを利用してしっかりと価格を出してもらう方が安心できます。
価格査定サイトについては以下の記事で詳しく解説しています。
不動産一括査定サイトは便利ですが、注意点もあるため、ぜひ上記の記事を確認してください。
正確な価格査定を出したい場合は三井のリハウスがおすすめ
都市部で正確に価格を算出したい場合は、大手不動産仲介会社の三井のリハウス(三井不動産リアルティ)がおすすめです。三井は1960年代の創業以降、価格査定の正確さに定評があります。
三井のリハウス|公式サイト
また、三井のリハウスについて、詳しくは以下の記事でガイドしています。
まとめ「気軽に概算査定を出すなら当記事のEXCELファイル」
最後に、不動産価格査定のフリーソフトを探している方にもう一度ポイントをお伝えします。
自宅の価格をフリーソフトで計算することは不可能ではありませんが、不動産の価格査定には経験やデータの蓄積が重要です。
ざっくりとした価格を知りたいだけの場合は、フリーソフトで充分です。しかし、厳密な価格が必要な場合は、プロの価格査定を依頼した方が良いかもしれません。
気軽に概算査定を出したい場合は、当サイトで配布している無料のEXCELファイル(フリーソフト)でも対応できます。以下のボタンからダウンロードして利用してください。
EXCEL土地査定シート厳密な価格が知りたい場合は、できるだけ大手の不動産業者に依頼し、精密な不動産価格査定を出してもらってください。筆者が考える最も価格査定が正確な仲介業者は、最大手の三井不動産リアルティ(三井のリハウス)です。
三井のリハウス|公式サイト
上記の公式サイトでも、三井のリハウスは価格査定の正確さを強調しています。査定は無料ですから、利用してみることで確実な計画を立てることができるでしょう。
沖縄の不動産売却ならトーマ不動産へ
トーマ不動産では、常に正確な価格査定を提出し、確実なご売却プランの提案を行っています。実需向け物件、投資物件のいずれについても、AIを搭載した精密な価格査定システムを採用し、大手不動産仲介会社に負けない価格査定書をお出しします。
エリアとしては、沖縄県内(沖縄本島)の各種不動産に対応可能です。
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不動産売却のご相談は、お気軽にどうぞ。