SNS上では「イエウールはなんとなく怪しい」「利用するのが怖い」といった意見が見られます。
そこで、不動産会社の立場で、イエウールがなぜ怖く見えるのかを解説します。
イエウールなどの不動産一括査定サイトは、不動産という高額な資産を扱う割にはライトな感覚で査定に誘導していきます。結論としては、そのギャップこそが「怖い」原因でしょう。
この記事では、イエウールを利用するとしたらどんなデメリットがあり、またメリットがあるのかといった点について、忖度なく解説していきます。
この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石が執筆しました。
イエウールが怖いと感じる理由を不動産屋目線で解説
実は、一般ユーザーよりも不動産会社のほうが「イエウールは怖い」と感じているのかもしれません。その理由は、巧妙な広告展開と営業効率を重視した運営姿勢にあります。
イエウールの運営元は優秀なIT企業ですが、優秀すぎて、ITにうとい不動産会社にとっては怖いと感じられるのです。
不動産業者にとって「怖い」イエウールの実力
一般に、不動産会社はIT化が遅れている傾向があります。一方、イエウールの運営会社は非常に優秀なIT企業であり、顧問弁護士もついているため、小さな不動産会社はITでも法律の知識でも太刀打ちできません。
そのため、多くの不動産会社はイエウールを使っても十分に稼ぐことができず、法律面でも太刀打ちできず、フラストレーションが溜まることになります。この件については、以下の記事(外部サイト)が参考になります。
イエウールの評判について(不動産会社目線)|納得不動産売却
上記リンク先の不動産会社さんは、イエウールに対してだいぶ恨みがあるようですね。
利用者から見たイエウールの「怖さ」は?
では、一般利用者がイエウールを「怖い」と感じるのは、どんな時でしょうか? 以下にSNSやブログでの口コミを紹介します。
一般の人が「怖い」と思った点
- ショート動画を見ていたら、いきなり住んでいる市を言い当てられ、イエウールの広告が出て怖かった。
- イエウールで査定すると、不動産屋の営業が増えそうで怖い。
- イエウールの査定をしてすぐに政治関係のアンケート電話が来た。関連がありそうで怖い。
「住んでいる市を言い当てられた」のは、おそらくスマホの位置情報をオンにしているからですし、政治関係のアンケートは偶然と思われます。
しかし、技術を駆使した広告手法が洗練されすぎていて、怖い印象を与えるのかもしれません。また、イエウールでまったく売る気がない物件の査定依頼はNG。軽い気持ちで査定だけを依頼すると、しつこい電話に悩まされる可能性もあります。
軽い気持ちで査定依頼をして焦る人も…
売る気がないのに軽い気持ちで査定を依頼してしまい、度重なる電話営業に悩むポストもありました。
家の査定がすぐできる
— masakichi1013 (@masakichi5265) April 7, 2024
イエウール
登録した瞬間から、不動産会社から着信ラッシュ!
迷惑にもほどがある。
すぐに査定は出ない上に電話が鳴り止まず非常に使えない!
キャンセルしても電話鳴る。#イエウールヤバい#不動産査定#迷惑サービス#気をつけて#個人情報が不安#後悔
イエウールは軽い気持ちでもサクサクと入力が進み、簡単に査定依頼ができてしまう、優秀なインターフェースも特徴です。
「気がついたら査定依頼してしまっていた!」という怖さは確かにありますね。もしキャンセルしたい場合は、以下の記事を参照してください。
しかしイエウールを利用してもトラブルが多いとは限らない
不動産会社の立場では、イエウールを利用しても媒介契約が取れずにお金だけを支払うことになるといった怖い側面があります。しかし、一般ユーザーの立場では実際のところ、実害があるわけではありません。
筆者は実際にイエウールなどの不動産一括査定サイトを利用して物件を売却してみましたが、その過程で特にトラブルになるようなことはありませんでした。詳しくは以下の記事で解説しています。
そこで、イエウールを利用しても、トラブルに巻き込まれる可能性は大きくないと考えています。
イエウールの査定の信頼性は高くない
イエウールなどの不動産一括査定サイトを利用した場合、査定額の信頼性はあまり高くありません。
そこで、不動産一括査定を利用する際は、あらかじめ少し勉強しておき、自分で大まかな査定額を出しておくことをおすすめします。その際、以下の記事が参考になります。
逆にいえば、不動産査定の知識がまったくないまま、不動産一括査定を利用することはおすすめできません。
筆者の体験では約半数程度が「不正確な査定」
筆者はイエウールを実際に利用して、不動産を売却してみました。
その経験を通して感じたのは、価格査定の精度が低いことです。筆者はあらかじめ自分自身で価格査定を行い、その上でイエウールなどの不動産一括査定を利用しました。
その結果、大阪では4社の不動産会社のうち、筆者の査定額とほぼ一致する会社は2社でした。栃木では4社の不動産会社のうち、筆者の査定額と一致する会社はなく、類似する会社が1社でした。
詳しくは以下の記事で解説していますが、ちゃんとした価格査定ソフトを使用している会社が少数派という点にも驚きました。
不正確な価格査定を信じて間違った売却方針を立ててしまうのも、不動産のプロから見たら「怖い」売り方です。できるだけ正しい査定に基づいて、不動産売却を行ってください。
なぜ高額すぎて信憑性が低い査定が出るのか?
不動産会社が実際よりも高すぎる価格査定を出す傾向が強まったのは、不動産一括査定サイト登場後のことです。
現在では少なくとも20社以上の不動産価格査定サイトが存在し、不動産会社は他社と競争して仲介契約を勝ち取る必要があります。
そのため、手っ取り早くユーザーの気を引くために実際よりも高い査定額を出して契約を取ることが一般化しています。このような実態については、以下の記事で詳しく解説しています。
イエウール提携不動産会社の信頼性は?
一般に、小規模な不動産会社より大手不動産会社の方が正確な査定を出してくれます。しっかりとした価格査定システムを導入し、コンプライアンス的にも嘘はつけないからです。その点で、大手仲介業者があまり提携していないイエウールの信頼性は、やや低いと考えられます。
一方、地方では大手不動産会社がエリア対応していないません。地方限定で考えると、イエウールで査定を依頼するメリットがあるでしょう。ただ、筆者としては、まずはNTTデータグループが運営するHOME4Uを試してみることをおすすめします。
HOME4U(ホームフォーユー)|公式サイト
HOME4Uには、みずほ不動産販売や三菱UFJ不動産販売、住友林業ホームサービスなど、準大手不動産会社が多数提携しているからです。
イエウールを利用すべき場面・避けたほうがいい場面
イエウールは、不動産一括査定サイトとして便利なツールですが、利用する場面によっては注意が必要です。以下に、利用すべき場面と避けたほうがいい場面について詳しく説明します。
正確な査定が必要なら大手不動産会社がおすすめ
中古不動産業界には、かつて大手不動産会社は参入していませんでした。1980年代になって大手が参入するようになり、それまで不透明だった中古不動産の流通が透明化されていきました。
現在でも、大手不動産会社の方が価格査定の手法が進んでおり、正確な価格を出してくれる傾向があります。特に、三井不動産リアルティ(三井のリハウス)は、正確な査定額を知りたいときにおすすめです。
三井のリハウス|公式サイト
公式サイトでも正確な査定額を明確に打ち出している点は、他の不動産会社とは一線を画しています。詳しくは以下の記事で解説しました。
地方の不動産ならイエウールが役に立つ可能性あり
一方、地方の不動産に関しては、大手不動産会社が対応していない場合があります。大手に依頼しても、田舎の土地などでは力が入らず、せっかくの大手の強みを生かせないこともあります。
そこで、地方の不動産であれば、地元の業者が多く加入している不動産一括査定サイトを利用するメリットがあります。
中でも、筆者はリガイドという一括査定サイトをおすすめします。これは筆者が不動産会社の立場で長年利用したサービスで、一括査定サイトの中でも良心的な運営方針で使いやすいサイトでした。
Re-Guide(リガイド)|公式サイト
また、イエウールも地方の不動産会社に足を運び、不動産会社の発掘を行っています。
イエウール|公式サイト
イエウールについてのあまり知られていないQ&A
ここでは、イエウールに関する疑問や不安を解消するためのQ&Aをまとめました。
キャンセル方法や入力の途中でやめた場合の対応、査定のみの利用が可能かどうかなど、あわせて知りたい事柄について詳しく解説します。
イエウールはキャンセルできる?
イエウールに限らず、どの不動産一括査定サイトもキャンセルは可能です。
入力直後であれば、イエウールなどの運営元に直接キャンセルを伝える方法もありますが、それは一般的とはいえません。入力した査定情報はかなり短期間のうちに、複数の不動産会社に転送されてしまうからです。
そして、その後は各不動産会社に対してキャンセルの意思を伝えるのが一般的です。
詳しくは以下の記事で解説していますので、キャンセルをお考えの場合は参照してください。
イエウールに途中まで入力して止めたらどうなる?
イエウールに途中まで入力した後、なんとなく怖くなって入力をやめた経験がある方もいるでしょう。その場合でも特に個人情報が送信されることはないので、安心してください。
イエウールなどの不動産一括査定サイトは、その仕組み上、送信ボタンを押すまでは情報がサーバーに送信されず、個人情報が漏洩することはありません。
詳しくは以下の記事で解説しています。
イエウールは査定のみの利用でも大丈夫?
イエウールは査定のみの利用はできません。イエウールは不動産会社が仲介を取るためのツールであり、不動産会社から料金を徴収して運営しています。
イエウール自身のサイトにも以下のように書かれています。
当サイト(イエウール)は、マンションや戸建て・土地などの不動産を売却したいと考えている方が、不動産会社に一括で査定申し込みができる一括査定サイトです。
イエウール公式
そこで不動産会社は、査定依頼をしてきた人は不動産を売るものだという前提で営業をかけてきます。軽い気持ちで査定のみ利用するのは避けてください。
軽い気持ちで査定依頼をしてしまい、圧の強い営業をかけられて怖い思いをする……という人もいるようです。
イエウールの入力項目は?
イエウールでは、不動産の種類や所在地、所有者に関する情報を入力する必要があります。これらは登記簿に記載されているような内容で、不動産を特定するために必要な情報です。加えて、依頼者自身の個人情報や、いつ頃までに売却したいかといった希望も質問されます。
主な入力項目
入力項目 | 備考 |
---|---|
物件の住所 | 都道府県、市区町村、丁目・番地など(ここは正確に入力) |
物件の種類 | マンション、一戸建て、土地、アパートなどから選択 |
土地面積 | ㎡または坪単位での入力(おおまかでもかまわない) |
建物面積 | ㎡または坪単位での入力(建物がある場合) |
築年数 | 築何年かを入力(マンションや一戸建ての場合) |
間取り | 1LDK、3LDKなどの間取りを入力(マンションや一戸建ての場合) |
階数・構造 | 階建てや木造、鉄筋コンクリート造などの建物の構造を選択 |
物件の現況 | 居住中、空き家、賃貸中など、物件の使用状況を選択 |
物件の状態 | 新築、中古、リフォームが必要など、物件の状態に応じて選択 |
売却希望時期 | すぐに売りたい、半年以内、1年以内などから選択 |
売却の目的 | 転居、相続、資産整理などから選択 |
査定方法の選択 | 机上査定(簡易査定)または訪問査定(詳細査定)を選択 |
氏名 | 査定依頼者の氏名(不動産の名義人と異なる場合は問い合わせが来る可能性あり) |
物件の名義人 | 物件の所有者(名義人)が本人か、他人かを確認するための項目 |
電話番号 | 携帯電話など連絡が取りやすい番号がおすすめ |
メールアドレス | 査定結果や連絡を受け取るためのメールアドレスを入力 |
これはイエウールだけでなく、他の不動産一括査定サイトでもほぼ共通しています。
イエウールの強みや特徴は?
イエウールの強みは、不動産の査定の精度や売却につながる査定内容の良さではありません。むしろ、査定の内容には期待できません。
一方、マーケティングは非常に優秀で、さまざまなテストを通して自社サイトの性能を向上させています。
つまり、どうすればユーザーが情報を送信してくれるのかを突き詰めて改良を続けているわけです。
筆者の目から見ても、イエウール運営元の、IT企業としての能力とマーケティング力はすぐれていると感じます。ITにうとい不動産屋さんにとっては、そういった点が「怖い」と映るのかもしれないですね。
イエウールはどんな会社が運営している?
イエウールは東証スタンダード市場に上場している株式会社Speeeが運営しています。株式会社Speeeについては以下の表をご確認ください。
設立 | 2007年11月29日 |
---|---|
資本金 | 1,488,813千円(2024年3月31日) |
株式情報 | 東京証券取引所 スタンダード市場 証券コード:4499 |
所在地 | 〒106-0032 東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー35階、39階 |
運営会社はしっかりとした企業で、社内での個人情報管理なども適切に行われていると考えられます。
イエウール|公式サイト
まとめ「本当に正確な価格査定を手に入れるなら?」
イエウールを利用する際に「怖い」と感じる理由の一つは、その巧みな広告展開と営業効率を重視した運営姿勢にあります。
一方で、イエウールを利用した際の査定額はあまり正確ではありませんでした。
そこでイエウールを利用する際は、査定額を信じすぎないようにすることがポイントになります。また、都市部の不動産であれば、まずは価格査定が正確な大手不動産会社に査定をお願いした方がいいでしょう。
なかでも、価格査定の正確さに定評のある三井不動産リアルティ(三井のリハウス)がおすすめです。
三井のリハウス|公式サイト
一方、地方では大手不動産会社が対応していないケースが多く、その場合は不動産一括査定を利用するメリットがあります。
筆者は、不動産会社の立場で長く利用させてもらったリガイドというサービスをおすすめします。
Re-Guide(リガイド)|公式サイト
リガイドは良心的な運営方針で、地味ながら地方での提携不動産会社数も充実しています。
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