令和8年分の沖縄県路線価は、前年比+6.6%でした。12年連続の上昇です。全国平均(+2.9%)を大きく上回り、都道府県別では東京都(+9.4%)に次ぐ全国2位でした。
県内で最も高い路線価がついたのは、那覇市久茂地3丁目、国際通り沿いです。1平方メートルあたり166万円。国税庁が2026年7月1日に発表しました。
数字だけを見れば、去年までと同じ「全国屈指の伸び」に見えるかもしれません。ただ、詳しく見ていくと、上昇率トップの地点が宮古島から名護市へ移るなど、中身にはいくつかの変化が起きています。
この記事では、令和8年分の路線価を軸に、地価公示や人口動態とあわせて、今年の沖縄の地価がどう動いたのかを整理しました。相続で沖縄県内の不動産を持っている、あるいはこれから取得する予定がある方は、ぜひご参照ください。
この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石秀彦が制作しました。
2026年の路線価でも沖縄は全国2位を維持

2026年分の沖縄県路線価は、前年比+6.6%で、 12年連続の上昇となりました。
全国平均は+2.9%(2010年に今の算出方式になってから最大の伸び)ですが、沖縄はこれを大きく上回っています。
都道府県別の順位でみると、1位は東京都の+9.4%。 沖縄はそれに次ぐ第2位です(参考:沖縄タイムス「沖縄路線価、12年連続上昇 伸び率6.6%で全国2位」)。
去年(+6.3%)と比べると、伸び率そのものはわずかに拡大したのですが、東京との差は縮まっておらず、むしろさらに差が開いています。
つまり、沖縄の路線価は全国有数の伸びを見せているが、東京には水を開けられつつあるという判断でよいでしょう。
県内で最も高い路線価がついたのは、那覇市久茂地3丁目、国際通り沿いです。1平方メートルあたり166万円。沖縄県内の地価に関するニュースでは必ず放映されるみずほ銀行前です。
路線価とは?
路線価とは、国税庁が毎年発表する、相続税や贈与税を計算するときの土地評価額の基準です。 地価公示価格(国土交通省が3月に発表する指標)のおよそ8割を目安に設定されます。
地価に関する全国順位は1位から2位へと変動

路線価は、前述の通り国税庁が7月に発表する数字です。それより先、毎年3月に「地価公示」という指標が発表されます(国土交通省)。
路線価は、この地価公示のおよそ8割を目安に決まります。つまり地価公示は、路線価の前触れのような存在です。3月の地価公示を見れば、7月の路線価がどう動くか、だいたい予測がつきます。
その地価公示のほうで、順位の変化がありました。
令和8年(2026年)の地価公示によると、沖縄県の住宅地は前年比+6.4%。去年の+7.3%からは伸び幅が減少し、全国順位も1位から2位に後退しました(参考:国土交通省「令和8年地価公示」)。変わって全国1位となったのが東京都です。
一方、沖縄県の商業地は+7.3%でした。去年の+7.0%から、むしろ伸び率は拡大しています。全国順位は4位でした。
全用途を平均すると+6.6%。13年連続の上昇です。全国順位は2位を維持しました。
つまり今年の沖縄は、住宅地は東京に追い抜かれ、商業地は逆に加速する……という動きを見せています。
県内の上昇率トップは宮古島から名護へ

今年、県内で最も路線価が上がった地点は、名護市為又(名護バイパス)でした。上昇率は16.3%。1平方メートルあたり9万3,000円です。
去年までは、地価上昇率最上位は宮古島でした。
令和7年分では、宮古島税務署管内の「西里大通り」が1平方メートルあたり16万円、前年比+18.5%。27年連続で、宮古島エリアの最高路線価地点となりました(参考:東恩納組「令和7年度 沖縄県の路線価はどうなった?」)。
その宮古島から、名護へと首位が交代しています。そして、その理由はジャングリア沖縄だと考えられています。
ジャングリア沖縄は、2025年7月に今帰仁村に開業した大型テーマパークで名護市に隣接しています。
沖縄国税事務所も「観光需要の影響などとみている」とコメントしていることからも、ジャングリア沖縄によって土地需要が変化したと考えていいでしょう(参考:沖縄タイムス)。
ジャングリア沖縄は開業から1年でどう影響したか

2025年7月、ジャングリア沖縄が開業しました。投資額は約700億円です(参考:Japan Luxury Realty Group「JUNGLIA不動産市況への影響」)。
影響は、テーマパークの外にまで広がっています。隣接する名護市の住宅地は、基準地価で前年比+11.2%(2025年)。沖縄県内で10年連続、上昇率トップです(参考:日本経済新聞)。
賃貸住宅の家賃にも影響が出ています。名護市など沖縄本島北部の単身向けマンションは、2022年から2024年までの2年間で、43.1%も家賃が上昇しています(参考:アットホーム「沖縄県の家賃動向調査」)。1Kで7万円という物件も、珍しくなくなりました。
家賃を押し上げた要因は、ジャングリアの従業員用の需要だったと考えられています。ジャングリアは開業までに1,500人を採用するとしており、社宅は300室ほど。残りの従業員は、名護市内(または今帰仁村)で部屋を探すことになります。
このしわ寄せは、学生にも及びました。名桜大学の新入生30人について、アパートが見つからず、学内の宿泊施設で新生活をスタートさせています(参考:沖縄タイムス)。去年は6人だったアパート難民ですが、今年はアパートが見つからない学生が5倍に膨らみました。
これは沖縄特有の現象ではありません。ただ、パーク開業からわずか1年でここまで数字が動いた例は、筆者の知る限り多くありません。
不動産投資の観点で見れば、名護市周辺はまだ伸びしろのあるエリアです。ただ、賃貸経営を考えるなら、供給不足という追い風だけでなく、地元の暮らしへの負荷も踏まえて判断したいところです。
土地の相場感をご自身でも掴んでおきたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
沖縄県の観光客数が過去最多を更新

2025年度の入域観光客数は、1,093万5,800人でした。前年度比9.9%増で、過去最多です。
これまでの記録は、コロナ前(2018年度)の1,000万4,300人でした。それを9.3%上回っています(参考:沖縄タイムス「沖縄観光客数、過去最多の1093万5800人」)。
内訳を見ると、国内客が799万4,500人(前年度比4.4%増)。外国客は294万1,300人。前年度比28.4%増と、伸び率では国内客を上回っています。
ただし、外国人客が過去最多かというと、そうではありません。2018年度に次ぐ、過去2番目の水準です。
日中関係の悪化で、11月以降は中国路線の欠航や減便が相次ぎました。クルーズ船の寄港取りやめも重なっています。それでも過去2番目まで戻したのは、台湾と韓国からの伸びが穴を埋めた形です。
観光客が増えれば、宿泊施設や飲食店への投資が活発となり、土地の需要を牽引することになります。路線価の伸びを支えている土台のひとつが、観光産業の活性化にあると考えていいでしょう。
人口増加の中身が変わった

2026年5月1日時点の推計人口は、146万5,543人でした。前年同月比では464人の増加。増減率にすると0.03%です(参考:沖縄県「推計人口」)。
数字だけ見れば、増加は継続しています。しかし、去年までの「勢いのある増加」ではありません。
理由のひとつは人口の自然動態。2026年5月の1ヶ月間で見ると、出生数934人に対して、死亡数は1,119人。185人の自然減です。
ついに沖縄県でも、人口の自然増から減少へ転じはじめています。
現状、それを埋めているのが、県外からの転入です。同じ5月の転入者は5,243人、転出者は5,139人。104人の転入超過でした。
4月は新年度の進学・就職が重なり、3,349人という大きな社会増を記録しています(参考:沖縄県「推計人口」)。
出生率そのものは、今も全国トップです。2025年の合計特殊出生率は1.52。全国平均の1.14を大きく上回っています(参考:厚生労働省「人口動態統計」)。
ただし、その出生率も下がり続けています。2023年は1.60、2024年は1.54でした。3年連続の低下です。
地域による差も、はっきりしてきました。那覇市を含む南部、基地跡地開発が進む中部は、人口を維持しています。それに対して、北部や宮古・八重山といった離島部は、減少が目立ちます。
これは、前のセクションで触れた「上昇率トップが宮古島から名護へ移った」という話とも関連しています。沖縄の中でも、人が集まる場所と、人が減っていく場所が、はっきり分かれ始めています。
県民にとっては今年も「家が買えない」状況が続く

沖縄県内の中古マンション価格は、年収の何倍にあたるか(年収倍率)という指標があります。
2010年、沖縄県の中古マンション価格は県平均年収の5.5倍でした。それが2021年には9.7倍まで伸びています(参考:国土交通省「住宅市場動向調査」)。平均的な年収の約10年分ですから、簡単には手が届かない水準です。
2021年以降の公式発表はありませんが、しかし路線価が上昇し続けているため、年収倍率はさらに上がり続けていると考えざるをえません。今年も路線価、地価公示ともに上昇していますから、さらに「家が買えない」状況になっているはずです。
賃貸物件の家賃も値上がりが続いている
問題は、家賃も同じく上昇していること。前のセクションで触れた名護市の例が分かりやすいでしょう。単身向けマンションが、2年間で43%も値上がりしています(参考:アットホーム「沖縄県の家賃動向調査」)。
家賃上昇は、ジャングリア沖縄の開業をきっかけに大きく変化した北部だけの話ではありません。那覇市周辺でも、住宅供給が需要に追いついていない状況が続いています。
離島部では、事情がもう少し複雑です。観光地としての地価は上がる一方で、地元で働く人の所得は、それに比例して伸びているわけではありません。給料は変わらないのに、住む場所の値段だけ上がっていく……というのが、実感に近いところでしょう。
持ち家を買うには高すぎる。かといって賃貸に住み続けるにも、家賃の負担が重い。沖縄県内では、こうした二重の負担感が、特に若い世代の家計を締め付けています。
住宅供給側も苦慮している
こうした状況を受けて、床面積を小さくする、設備のグレードを抑えるといった工夫で、供給価格を下げようとする新築マンションも増えています。県内に住む子育て世帯などの実需層にとっては物件価格が高くなりすぎて、今まで通りのマンションを作っていたら売れなくなってきているからです。
しかし、それでも住宅ローンの返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が、安全とされる25%のラインを超える家庭は少なくありません。
評価額が高すぎて相続税が払えない問題も
相続の場面では、また別の問題が起きます。地価が上がれば、相続税評価額も連動して上がります。手元に現金がないまま、高額な納税だけが発生し、支払いができないケースもあります。
沖縄には、道路の権利関係が複雑な土地(二項道路、スージグヮー)が多く残っています。相続の手続きが、他県よりさらに面倒になりやすい土地柄です。「先祖の土地を残したいが、納税のために手放さざるを得ない」という相談は、筆者の周辺でも珍しくありません。
トーマ不動産では、ファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフが、こうした相談に対応しています。初回相談は無料ですし、しつこい営業も一切ありません。
お問い合わせ|トーマ不動産
「相続した土地をどうすればいいか分からない」「今のうちに売却すべきか迷っている」という方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)

沖縄の路線価の最新データは、どこで確認できますか?
国税庁の「財産評価基準書」で確認できます。料金は無料で、会員登録も不要です。
サイト内で年分・都道府県・市区町村を選んでいくと、路線価図をPDFで閲覧できます。令和8年分(2026年分)は、2026年7月1日に公開されました。
(参考)財産評価基準書|国税庁
沖縄で路線価図・路線価マップを見られる公的サイトは?
先ほどの国税庁サイトが、最も確実です。ただ、路線価図はエリアごとのPDFなので、地図上で直感的に見たい場合は少し使いにくいかもしれません。
そこでおすすめなのが「全国地価マップ」です。一般財団法人資産評価システム研究センターが運営しています。
地図上をクリックするだけで、相続税路線価と固定資産税路線価、両方を確認できます。地価公示や都道府県地価調査と重ねて見ることもできます。
沖縄県内で路線価が最も高いのはどこですか?
那覇市久茂地3丁目、国際通り沿いです。1平方メートルあたり166万円(令和8年分)。25年連続で、県内トップの地点です。
モノレール駅前に限定すると、県庁前駅が130万円で最も高くなっています。
路線価と実際の取引価格は、どれくらい違いますか?
路線価は、実勢価格そのものではありません。地価公示価格(国が発表する指標)のおよそ8割を目安に設定されています。
つまり、路線価を0.8で割り戻すと、実勢価格のおおよその目安が見えてくる……という計算です。
ただし、これはあくまで目安です。個別の土地の形状、接道状況、周辺の取引事例によって、実際の価格は上下します。路線価だけで売却価格を決めるのは避けたほうがいいでしょう。
土地を購入するとき、路線価をどう活かせばいい?
路線価が高い、あるいは上昇率が高いエリアは、それだけ需要が集まっている場所です。将来的な資産価値の維持という点では、参考になります。
ただし、路線価はあくまで税務上の指標です。自分自身の暮らし方や、通勤・通学の利便性、将来の開発計画といった要素を総合して判断することをおすすめします。路線価が高いだけで「良い土地」とは限りません。
土地の相場感を自分でも掴んでおきたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
路線価を使った土地の評価額の計算方法は?
基本の式は、以下のようになります。
評価額=路線価×地積(土地の面積)×画地調整率
画地調整率は、土地の形(奥行きが長い、間口が狭い、角地であるなど)に応じて補正するための係数です。形の良い整形地であれば1.0に近く、使いにくい形の土地であれば、係数が下がって評価額も下がります。
自分で正確に計算するのは、正直なところ簡単ではありません。奥行価格補正率表や側方路線影響加算率表など、複数の表を組み合わせる必要があるからです。相続税の申告など、金額が重要な場面では、税理士に確認することをおすすめします。
沖縄県の相続税計算で、路線価はどう使う?
亡くなった年の路線価を使います。たとえば2026年中に相続が発生した場合は、2026年分(令和8年分)の路線価で評価します。2025年分ではありません。
路線価は毎年7月に発表されるため、年の前半に相続が発生した場合、その年の路線価がまだ出ていない……という状況も起こり得ます。この場合は、発表を待って申告の準備を進める形になります。
路線価が定められている地域(路線価地域)では、路線価方式で評価します。それ以外の地域(倍率地域)では、固定資産税評価額に倍率をかけて評価する、倍率方式が使われます。沖縄県内には、どちらの地域も存在します。
相続した土地の評価や、申告の進め方に迷う場合は、トーマ不動産までご相談ください。ファイナンシャルプランナー資格を持つスタッフが、初回無料で対応しています。
(参考)お問い合わせ|トーマ不動産
まとめ「沖縄の地価動向に変化が見られた今年の路線価」

2026年の沖縄県路線価は、前年比+6.6%。全国2位という順位は、去年から変わっていません。ただ、中身を詳しく見ると、いくつかの変化があります。
住宅地の伸びでは、東京都に1位の座を譲りました。背景には、沖縄県の人口動態があります。県内でも人口が自然増から自然減へと転じつつあり、県外からの移住によってかろうじて総数を保っている、という状況です。
県内各地を比較すると、上昇率トップの地点が宮古島から名護市へと移っています。背景にあるのは、ジャングリア沖縄の開業といわれています。
土地だけでなく、賃貸物件の家賃にまで大きく影響が及びました。
ざっくりまとめると、沖縄の地価上昇は今年も続いていますが、「宮古島のような観光地がそのまま値上がりする」という去年までの構図ではなくなっています。上がっている場所と、そうでない場所の差も、はっきりし始めています。
