不動産売却

沖縄の地価上昇はなぜ起きる? バブル崩壊はいつ? 地価調査から読み解く

沖縄の地価が上がっている理由は、主に2つあります。

  • 好調な観光業が不動産価格を牽引
  • 県内の根強い住宅需要(実需)

それに加えて、一部に海外からの資金が流入していることも影響しています。

ただし、上昇の勢いは弱まってきました。「バブル崩壊」まではいかないまでも、これまでの右肩上がりの状況から、やや成長が鈍化しつつあることは確かです。

この記事では、県の地価調査(毎年7月1日時点の土地の価格を、県が公表するもの)の数字をもとに、沖縄県の地価推移の現状を見ていきます。

この記事は、宅建士資格を保有するアップライト合同会社の立石秀彦が制作しました。

地価は13年連続で上昇中

令和8年の地価調査で、県全体(林地を除く)の平均変動率は5.8%でした。前年は6.1%だったため、若干のペースダウン。

地価上昇は13年連続です。

全国順位では、住宅地が前年まで10年連続で1位でした。令和8年は2位です。商業地は4位、工業地は3位でした。てみましょう。住宅地、商業地ともに、令和7年よりも伸び率が鈍化したことがわかります。

年住宅地商業地
R4(令和4年)2.7%1.9%
R54.9%4.8%
R65.8%6.1%
R75.7%7.1%
R85.3%6.9%

ここ5年間を通して見てみると、平均価格(1㎡あたり)は、住宅地が令和4年の65,200円から令和8年の79,300円へ、約22%上がりました。商業地は180,800円から233,000円へ、約29%上昇しました。

この5年間で地価が大幅に減少したものの、過去2年を比べてみると、伸び率が若干鈍化したととらえることができます。

沖縄の地価上昇の理由は観光と住宅需要

沖縄県は、令和8年の地価調査において、地価上昇の理由を次のように説明しています。

  • 住宅地:持ち家比率が低く、潜在的な住宅需要(いずれ住まいを求める人が多い状態)があります。木造の戸建住宅の普及や、供給エリアの広がりも、宅地の需要を支えています。
  • 商業地:観光産業が好調で、店舗の需要が高まっています。県内の消費も堅調です。
  • 工業地:物流業の増加で、工業用地の需要が強い一方、十分な広さの土地が県内に少ない状況です。

まず、観光業の状況を見てみましょう。

令和7年度の入域観光客数(県外から沖縄を訪れた人の数)は、約1,094万人でした。前年度より9.9%増え、平成30年度の最多記録も9.3%上回っています。県は、国内の観光客が過去最高になり、外国人観光客もコロナ禍前の水準にほぼ戻ったとしています。好調な観光産業が商業地の価格を引き上げていると考えられます。

一方住宅地は、伸び率が鈍化しています。

令和7年の国勢調査(5年に1度、国が全国の人口と世帯を調べる調査)の速報によると、沖縄県の人口は1,468,220人でした。5年前より740人、0.1%の増加で、ほぼ横ばいです。人口が増えたのは18市町村で、23市町村は人口が減りました。

県内の世帯数(同じ住まいで暮らす人の集まりの数)は、651,964世帯でした。5年間で37,256世帯(6.1%)増えています。全国の増加は2.3%です。しかし、1世帯あたりの人数は、2.39人から2.25人に減りました。

住まいを探すのは、個人単位でなく世帯。人口が増えなくても、世帯が増えれば、必要とされる住宅が増えます。たとえば那覇市では、人口が6,552人減りました。しかし世帯は6,904世帯増え、住宅需要はむしろ増えています。

筆者は、県のいう「潜在的な住宅需要」の中身の1つが、この世帯の増加だと考えます。

ただし、観光や住宅の需要が強くても、上昇の勢いは弱まっています。

令和8年の県全体(林地を除く)の上昇率は5.8%で、前年の6.1%を下回りました。県の概要は、その要因として、建築費の高騰、物価上昇、金利上昇、人手不足を挙げています。

つまり、需要は今も強いものの、コストの上昇が重しになり始めた、というのが現状です。

(参考文献)

伸びは地域によって大きく違う

県全体で見ると、上昇は一様に続いているように見えますが、市町村ごとに見ると、動きはかなり違います。

住宅地の変動率(前年比)を見てみましょう。

市町村R5R6R7R8
北谷町1.3%5.7%9.1%11.7%
宜野座村7.7%10.3%10.7%11.0%
宮古島市17.7%17.9%11.2%7.8%
北中城村8.9%16.9%9.4%7.1%

北谷町と宜野座村では、地価上昇率が加速しました。

宮古島市と北中城村は、ピークを過ぎて落ち着き始めました。

北谷町は、都市型リゾートとして県外での知名度が高まり、移住や宿泊施設など幅広い需要が集まっています。宮古島市は、移住や宿泊施設の需要が続く一部の地域を除いて、市全体の上昇幅がやや落ち着いてきました。

那覇市の動きも見ておきましょう。住宅地で最も高いのは、那覇市牧志1丁目の1㎡あたり375,000円です。国際通り周辺では、観光需要が裏通りにも広がり、住宅と商業が混在する地域で上昇が目立っています。

住宅地の価格を押し上げているのが、住宅そのものの需要だけではないことが分かります。

沖縄不動産バブル崩壊の兆しは今のところ見られない

沖縄の地価は、長い下落のあとに上がり始めました。

県の資料によると、商業地は平成4年から平成24年まで21年連続で下落しました。住宅地は平成11年から平成25年まで15年連続の下落です。全用途では、平成6年から平成25年まで20年連続でした。

平成18年から25年の8年間だけでも、住宅地は累計で7%ほど、商業地は11%ほど下がっています。

平成26年からの上昇で、その下落分は取り戻しました。住宅地は約1.6倍、商業地は約1.8倍です(県の変動率を掛け合わせた概算で、グラフから筆者が計算しました)。

同じ地点で見ると、上昇はさらに大きくなります。

平成25年から令和8年までの13年間で、那覇市の基準地は次のように動いています。

地点平成25年令和8年倍率
松山1丁目(商業・県内最高価格)608,000円1,610,000円約2.6倍
久茂地3丁目(商業)299,000円850,000円約2.8倍
泉崎2丁目(住宅)175,000円374,000円約2.1倍

那覇の中心部は、県平均を上回る伸びでした。ただし、この3地点は県内でも特に価格が高いエリアです。「沖縄全体がこの倍率で上がった」という意味ではありません。

「バブル崩壊は?」という疑問にズバリ答えられる人はいないでしょう。しかし、次の3つのポイントはヒントになります。

1. 住宅地の下落は、継続調査した190地点のうち1地点だけ

住宅地の地価が下落したのは、伊江村の1地点(△1.3%)のみです。横ばいは21地点、上昇は168地点。まだ価格上昇は継続していると考えてよいでしょう。

2. コロナ禍でも、マイナスにはならなかった

令和3年の地価伸び率は、住宅地が約1.6%、商業地が約0.7%まで鈍化しました。それでも下落には転じなかったことは、県内地価の強さを表しています。

3. 全国と比べても、上昇は大きい

令和8年の住宅地上昇率は、沖縄の5.3%に対して、全国で見ると1.0%、三大都市圏では3.2%、福岡県が2.1%です。1月の公示地価でも、県内の全用途平均は6.6%上昇し、東京都に次ぐ全国2位でした。

筆者は現在内地に住んでいますが、内地から見た沖縄の地価の強さは、かなり印象的です。数年前にはとうてい地価が上がると思えなかった今帰仁村でも上昇傾向にあり、名護市に至っては住宅地・商業地ともに二桁台に近い高い上昇率が続きました。

東京のマンション市場は沖縄の先行指標となるか?

東京では、マンション市場に変化が見え始めています。

マンションリサーチ社の調査では、東京23区の中古マンションで、2026年8月の値下げ率が、2024年1月以降で最も高くなりました。都心5区では、値下げの増加と、売れるまでの日数の長期化が同時に進んでいます。

ただし、東京全体が下落に入ったわけではありません。新築マンションの平均価格は、2026年7月も高い水準です。中古でも、エリアや物件によって価格が上昇している場合もあります。

「東京では価格上昇にブレーキがかかり、横ばいへ移行する兆しがある」という状況でしょう。

そんな東京のマンション市場が、沖縄と共通する要因は、2つあります。

  • 金利が上がって、買い手が借りられる金額が減った
  • 建築費や人件費が上がり、価格を押し上げてきた

県も、沖縄の上昇幅が縮小した理由に、建築費の高騰と金利の上昇を挙げています。

一方で、違う点もあります。

東京の話はマンションで、沖縄の地価調査は土地に関するものです。都心のマンションは、国内外の富裕層や企業が多く買っていますが、沖縄の住宅地はそこまで投機マネーに支えられてきたわけではありません。

平成19年ごろも、東京の地価が上がるなか、沖縄の住宅地は下がり続けていました。東京と沖縄の不動産価格が、必ずしも連動しているとは限りません。

それでも、金利と建築費という共通の要因が影響している以上、東京の動きは、沖縄の先行きを考える材料になります。

地価上昇鈍化のサインと売り時の考え方

今年の沖縄県地価調査を精査していくと、その数字には、地価上昇鈍化のサインも出ています。

  • 住宅地・商業地・工業地の3用途とも、上昇幅が前年より縮小
  • 住宅地は、令和6年の約5.8%をピークに、2年続けて縮小
  • 住宅地の上昇地点は、前年の176から168に減少
  • 上昇の勢いが最も強かったのは令和元年で、住宅地が約6.3%、商業地が約12.0%

商業地を全国と比較すると、こちらも変化があります。

三大都市圏の商業地は7.4%で、沖縄の6.9%を上回りました。前年(三大都市圏7.2%、沖縄7.1%)から、差が開いています。

一方で、例外もあります。北谷町や宜野座村のように、上昇が強まっている地域もあります。県全体の鈍化は、すべての地域で起きているわけではありません(ただし宜野座村のようにもともとの価格が低いエリアでは少しの地価の変化が大きく出やすい点に注意が必要)。

売却を考える場合は、県全体の数字より、お住まいの市町村の動きを見てください。自分の地域の相場を知りたい方は、トーマ不動産までご相談ください。

まとめ「今後は上昇幅の変化に注意を払う必要あり」

沖縄県では、令和8年の特徴を、堅調な需要と、上昇幅の縮小の両面から解説しています。

筆者は、今後の焦点は上昇幅の変化にあると考えます。また、観光の好調が続くか、金利や建築費がどう動くかで、地域ごとの差はさらに広がりそうです。

売却や住み替えで相場が気になる方は、お気軽にご相談ください。

(参考文献)

  • この記事を書いた人

立石 秀彦

アップライト合同会社代表社員。宅地建物取引士。不動産会社を約10年経営後事業譲渡し、現在は主に不動産マーケティングや調査を担当。

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